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俺は私になった。  作者: 雪村 敦
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十三章 予感

「久しぶり!先生はみんなの元気そうな顔をみれてうれしいぞ!まぁそうそう事故とかに巻き込まれる人もいないと思うけど。」

 勝間田先生の冗談交じりな話の後、体育館に集まって全校集会がある。その後は、教室に戻って今後の予定を知らされる。夏休みの宿題が明日提出だって言われて、今日持って来るのを忘れて正解だと思った。

 先生の話が終わって、さっさと帰ろうと鞄を持って教室を出ようとすると、後ろから腕と肩をつかまれる。

「西住!」

「ちょっと待て!」

 振り向くと、音無(おとなし)右田(みぎた)が必死に俺を引き留めている。その後ろでは、仮名(かりな)もこっちに来る。

「西住!お前宿題終わってんだろ!」

「宿題写さしてくれ!」

「……やってないのか?」

 途中俺の実家に来てた時、宿題してたところをみなかったから、もうやってるのかなって思ってたけど、やってなかったんか。

 音無と右田がまっすぐこっちを見る中で、向こうで仮名がため息をついてる。

「西住すまん。俺も終わってないんだ。」

 あれぇ!?

 仮名って勉強できるのが取り柄じゃなかったっけ!?

「なぁ!頼む西住!」

「お前だけが頼りなんだ!」

 いやこいつら俺以外に友達いないだけだろ。

 まぁ俺もボッチ属性強めだったけど、こいつらよりかは友達居たし。

「……分かったよ。どこでやるんだ?」

「部室かなぁ。」

「わかった。でも俺今日宿題持ってきてないから、1回家に取りに帰るわ。」

「わかった!」

「部室で待ってるぞ!」

 2人とも、鞄を持ってそそくさと教室を出て行き、その後ろを通りぬける仮名が、小さい声で「わりぃな。」って言いながら行く背中を見て、このまま家でだらけてやろうかと考えるが、今日はバイトが無いし、夏休みに迷惑かけちゃったから、こういうのぐらいは付き合ってやろうと思った。

 教室を出て昇降口に向かっていると、下駄箱で神田先生が待っている。

「あ、西住さん。」

「神田先生、どうかしましたか?」

「はい。これからはこれを携行しててね。」

 そう言って、神田先生はプラスチック製のカードを渡してくる。

 カードには、《私立霧ヶ峰高校(きりがみねこうこう) 自動二輪車免許所持許可証》と書かれている。

「…これは?」

「今回、西住さんの為に例外的に作られた物で、特例で普通二輪免許を所持する事を認めます。あと、通学にも普通二輪を使用する事を許可します。」

 この学校では、原付の免許所持、及び原付での通学が認められている。とはいっても、50㏄までだから、あんまり使ってる人は多くない。と言うかむしろほとんど見ない。ちなみに、原付免許を持ってる人は、原付免許所持許可証を持ってる。

「明日からは、バイクで通学してもいいわよ。それと、学校からそのままバイト先に向かってもいいし。」

「なるほど。それは、今日からでも問題ないですか?」

「?もちろん、今日も問題ないけど、再登校するの?」

「いえ、こっちの事です。ではさようなら。」

「はいさようなら。気を付けてね。」

 神田先生と別れて、家に帰ると、ズボンに履き替え、宿題とスカートを鞄に入れると、ヘルメットとグローブを持つ。腕時計は、ベルトをなじませるために出かけるときは必ずつけている。

 部屋を出て、バイクのリアボックスに鞄を入れると、またがってキックを蹴る。家から学校までは徒歩で20分から30分ってところだ。バイクか車なら10分とかからない。

 学校までの道のりも、下校中の生徒からの視線がすごい。

 それもそうだ。セーラー服の下にスカートじゃなくてズボンをはいて、バイクで学校に向かう生徒なんて、目立って当たり前だ。

 学校について、駐輪場にバイクを停めてハンドルロックをかけると、リアボックスから鞄を出してヘルメットとグローブをしまう。

 トイレでズボンからスカートに履き替えると、旧校舎の中に入り、天文部の部室に入る。

「西住!待ってたぞ!」

 扉を開けた瞬間に歓迎を受ける。

 部室の机には、宿題のプリントや冊子が置かれ、中央にはペットボトルのお茶とお菓子が置いてある。天文台の入り口の梯子の上を見ると、蓋が閉められている。

 何か落下防止で蓋があるらしいけど、観測中に梯子の方に来ることがまずないし、梯子のある所は望遠鏡や機材が置いてあるところから階段で下ったところで、それ以外の所は手すりがあるから、梯子の穴で落下することはないけど、一応あるらしい。今では長期休みとかで学校に来ないときしか閉めてないらしいけど。

 机に宿題を置き、俺はソファに座る。

「宿題とっととやっちまえよ~。どうしてもわかんない時は写してもいいけど、できるだけ自分でやれよ~。」

「もちろん!」

「わかってるよ。」

 3人とも、集中してるようで、一言も話さないでペンの音だけが聞こえる。

 あ、本かなんか持ってくればよかった。

 図書室に行こうにも、音を出しちゃうと邪魔になるんじゃないかって思うと、ソファから動けない。

 クッションを抱きしめて、暇だな~と思っていると、ソファで寝てしまった。


――――――――――――

 2時間ぐらい経ったころ。

 もともと頭がよかった仮名が最初に宿題を終わらせる。

「終わったー!!」

「なぜだー!」

「俺たちは終わっとらんぞー!」

 2人が叫ぶ中、仮名は椅子を立ち上がる。

 その瞬間、仮名のおなかが鳴る。

「…そいやぁ、今日午前だけだったけど、飯食ってなかったな。」

「宿題に集中してて、忘れてたな。」

「じゃぁ何か買ってくるよ。購買もやってるだろ。」

「そうだな。西住、何食う……。」

 3人が振り向くと、ソファで横になって寝ている西住がいる。

「…寝ちゃったのか。」

「……起こさないように天文台で食うか?」

「いや、あの扉開けるのと結構音するからダメだろ。仕方ないからここで食おう。購買の食堂でもいいけど、西住置いていくわけにはいかないし。」

「じゃぁ、西住の分は俺らで出そうぜ。今日宿題見せて貰ってるし。」

「そうしよう。」

 全員300円づつ出して、右田が購買に走る。

 音無は、右田を見送りながら終わった分の宿題をしまう。

 仮名は、右田を見送りながら宿題をしまって、椅子に座る。

「…そう言えばさ、樫田(かしだ)、またセクハラしてるらしいな。」

「ああ、あのロリコンか。」

 樫田とは、霧ヶ峰高校の体育教師だ。陸上部の副顧問で、顧問の宮藤(みやふじ)とはソリが合わず、方針も違う。だけど、顧問の宮藤は全国大会への出場経験もあり、教師としての腕も確かなため、陸上部の生徒からは慕われている。

 一方で樫田は、現役時代も教師になってからも目立った出場経験はなく、技術も無い。その為、陸上部の生徒だけじゃなく、一般生徒からもウザがられている。

 そんな樫田だが、前に何回か生徒にセクハラ行為を行って停職になったことがある。それからしばらくはやっていなかったらしいが、最近またやり始めたらしい。

「うちのクラスは樫田の担当じゃ無いけど、噂じゃ西住の事よく凝視してるらしいぜ。」

「狙われてんのかな。西住。」

「さぁ。ただ、狙われてるってのは確かだと思う。」

「じゃぁ、俺達だけでも守らなきゃな。右田にも伝えとこう。」

「音無、女子にも何人か味方つけとこう。お前の方が俺とかよりいいだろ。」

「わかった。何人か声かけとくわ。」

 2人が机で向かい合って話していると、丁度右田が帰ってくる。

「ただいま。西住起きた?」

「いや。まだぐっすり。」

「やっぱこれが西住っていまだに信じられないよな。こんなかわいい顔して。」

 3人が西住の顔を見て、そのまま右田が買ってきた弁当を食べる。

 その3人を、西住は薄目で見ていた。

 今回は3日か4日で更新できました。

 前のあとがきに追記で書いた本日中に更新はできませんでした…。

 申し訳ない。

 言った次の日に思いっきり嘘ついちゃいました。

 明日(もう今日)で学校の前期授業収めなので、これからは更新が滞らずに更新できると思います。

 ただ、友人と原付ツーリングしてたり、教習所行ってるかもしれないので、やっぱり1週間ぐらいかかるかもしれません(笑)。

 ただ交換しようと思ってたスプロケとチェーンが届きません…(泣)。

 まぁ気長にお待ちください。

 いつもあんまり感想とかレビュー貰わないんですが、たまに貰う感想やレビューってかなりうれしいです。

 数日前にもらった感想も時折読んで励みにしています。

 ぜひとも感想やレビュー頂けるとありがたいです。

 やる気に直結するから。

 ではまた次回お会いいたしましょう。

 ではでは~。


―追記―

2020/8/14 22:45

 新章、本日中に更新できるように、頑張ります!(吹雪風)


―追記―

2020/8/15 0:08

 新章最速とはいかず…。

 さすがに期末試験2教科やった後に4時間バイトやってからの爆速執筆は無理がありました……。

 できるだけ早めに新章お届けしますのでしばしお待ちを……。

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[気になる点] 誤字:停職 そんな樫田だが、前に何回か生徒にセクハラ行為を行って定職になったことがある。
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