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俺は私になった。  作者: 雪村 敦
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十章 俺の記憶

 私が変な夢を見るようになってから1週間、学校が始まるため、1人暮らしをしているというアパートに戻る日が近づいてきた。

 1人暮らしをしているというアパートを知らないため、一度お母さんと見に行ったが、そこは、リョウさんが生活していたアパートであり、(すず)さんが生活していたアパートでもある。

 そこから、私が夢で見ているのは、深層記憶にあるリョウさんと(すず)さんの記憶なんだとわかるが、すべての記憶が戻ってるわけじゃない。それに、肝心なものは分からない。

 多分記憶があれば、本当に女性になったのか、リョウさんと(すず)さんの関係が分かるはずだ。普通に考えて男子が女子になるなんてありえない。

 それに最近は、昼間でもたまに記憶が見えることがある。

「涼~。ちょっといいか?」

 お父さんが下から呼んでる。

「はーい。」

 居間に向かうと、お父さんが座っている。

「涼、明日一緒に釣りに行かないか?」

 …釣りか。()()()()()()()んだよな~。

「……いいよ。明日の朝ね。」

「よし!明日の朝5時に出るぞ!」

 そのままお父さんは家を出ていく。

 それを見送ると、自分の部屋で本を読む。

 私の仮説なら、ここはリョウさんの部屋になると思う。実際、この部屋に置いてある本はどれも古い難しい本ばかりだ。

 ≪広津 柳浪(ひろつ りゅうろう)≫、≪水上 瀧太郎(みずかみ たきたろう)≫、≪永井 荷風(ながい かふう)≫、≪久保田 万太郎(くぼた まんたろう)≫……。

 どれも知らない作者ばかりだ。

 あ、永井荷風は知ってる。この前夢の中でリョウさんが読んでた。

 とりあえず、分かりやすそうな、有名な作家を選ぶ。

 ……。

 少し違う感じのものを見つけて手に取る。

 著 ウラジーミル・ナボコフ ≪ロリータ≫

 外国人の作品なのかな。

 翻訳って書いてあるし、どこの国かな。

 そんなことを考えながら、手に取ってページをめくる。

 前書きでは心理学者が語り、この本は犯罪者が獄中で書き残した手記と言う形で書かれていることを知る。

 主人公であるヨーロッパ人主人公である文学者のハンバートと言う人物は、少年時代にアナベルと言う少女とした性行為を忘れることができず、彼女が亡くなり、ハンバートが大人になってからも少女の様な未熟な体の女性と関係を持つことで、それを思い出してきた。

 ここまで読んだところで、自分も幼女体系なのを思い出して少し背中がヒヤッとするが、それでも読み続ける。

 アメリカに亡命したのちに、下宿先であるシャーロット・ヘイズの娘であるドローレス・ヘイズに一目ぼれをする。このドローレスの愛称がロリータの様だ。

 その後、シャーロットと結婚したハンバートであったが、ロリータが長期で不在の時、ハンバートの本心を知ったシャーロットと言い争い、怒ったシャーロットは怒りの中家を出て、周りを確認せずに道路に出てしまい、結果としてシャーロットは事故死する。

 ハンバートは、ロリータに母親は病気であると嘘をつき、彼女を連れてアメリカ中を回る旅に出る。そして、ハンバートはロリータと性的な関係を持つようになっていく。

 ここまで読んだところで、耐えられなくなり、本を閉じて本棚に戻す。

「……私これ苦手かも。」

 小説ってシナリオとかで好き嫌いがあるけど、私は嫌いらしい。

 そこの横にあった夏目漱石の≪こころ≫を手に取る。

 夜になって、夕食を食べてお風呂に入って眠りにつく。

 その夜見たのは、お父さんと釣りをしているところだった。

 今まで見た夢から、多分これは(すず)さんの時だと思う。

 お父さんと釣り竿をもって船の前後で釣りをしている。

 それを最後に、それ以降何もなく眠る。

 目が覚めると、目覚ましが鳴る10分前だ。

 昨日見た夢をもとに、動きやすい服装と、ライフジャケット、麦わら帽子をもって居間に行く。

 居間にはもうお父さんが居て、机に鍵が付いたカラビナが2つ置いてある。

 片方は、使い込まれたカラビナに、家の鍵と、鍵が何本かついている。もう1つは、新品と言った感じではないが、もう1つの物よりも新しく、まだアルミの感じが残っている。こっちは、家の鍵と、あと鍵が2本ついている。片方は、古いカラビナについてる鍵のうち1個と同じ感じだが、もう1つは、何か家の鍵の様な感じだが、家のではなさそうだ。

「涼、こいつをお前に返しておく。」

 そう言いながら、新しい方のカラビナを渡してくる。

「これは?」

「お前のだ。この家の鍵と、向こうの家の鍵、それとカブの鍵だ。」

「カブ?」

「バイクだよ。家の前に停まってるだろ。あれの鍵だ。」

 そう言えば、リョウさんや涼さんが乗ってるバイクが同じって事は気付いた。そして、家の前に停まってる3台のバイクのうち、1台がそのバイクだと言う事にもこの前気づいた。

「…道具とかはもう昨日のうちに船に積み込んでるから、行こうか。」

 カラビナをベルト通しに掛けると、玄関を出る。

 玄関の外では、ヘルメットを2つ持ったお父さんが立ってる。その後ろには、バイクが2台車道の方に停めてある。

「ちょっと運転してみろ。」

「……私が?」

 お父さんは無言でうなずく。

 乗り方や、エンジンの掛け方を教わると、シフトの入れ方を教わる。

 その時、急にバイクの記憶や、バイクに乗ってた時の記憶、感覚とかが思い出されてくる。

 少しクラっと来るが、まぁ問題ない。

 危うく()()を倒しかける。

 でも、その記憶のおかげで、問題なく乗れる。

「お、お前、思い出したのか?」

「……。」

 どう言おう。

「…なんとなく、バイクの乗り方を思い出した。」

「…!そ、そうか!」

 お父さんは、どこか嬉しそう。

 そりゃ、自分の娘が戻って来るならうれしいよね。あれ?息子?どっちだ?

 お父さんとバイクで漁協に向かい、そのから船で釣り場に向かう。

「涼!釣りのやり方とかわかるか?」

 昨日見た夢を思い出してみる。

「大丈夫!」

 お父さんから釣り竿を受け取った瞬間、昨日見た夢よりも鮮明に記憶が思い出されてくる。

「……くっ!」

 今度はひどい頭痛に襲われて、膝をつく。

「大丈夫か!?」

 親父(・・)が慌てて駆け寄ってくる。

 色々あって、親父(おやじ)も神経質になってるらしく、いつもは船の上で絶対に走らない親父が走ってくる。

「…大丈夫。親父(おやじ)、どっちが多く釣れるか勝負しない()?」

「……お前。………あ、ああ!望むところだ!」

 親父は、ずいぶんと嬉しそうに竿を持って船尾の方に走ってく。

 その日は、俺の勝ちだった。

 そして、俺自身が、ほとんどの記憶が戻っていることに気付くのは釣り場からの帰り道、親父の船の上で、ここ数日の事を思い出した時、同時に記憶のないころのことも思い出して、そこで気づいた。

 港に戻って、釣れた魚をクーラーボックスに入れると、家に帰る。

 帰って、そのまま後かたずけを親父に任せ、居間にいるお袋の所に行く。

「あら涼。おかえりなさい。どうだった?」

「ただいま、お袋(・・)。長い間待たせちゃってごめん。これで、ちゃんとただいまって言えるよ。」

 少し照れていると、お袋が真顔で涙を流し始める。

「お、お袋!?」

(すず)!」

 固まっていると、お袋が俺を抱きしめる。

「ど、どうしたんだ!?」

 お袋の声が聞こえたからか、親父が走ってくる。

「……。」

 さすがの親父も状況を察したのか、優しく俺達2人を抱きしめる。

 久しぶりに親父とお袋に抱きしめられて、俺は子供の頃を思い出して男子の記憶を1つ1つ確認していった。

 いや~お久しぶりです。大和です。

 今回も遅れました~(笑)。

 実はこれ書いてるとき学校で試験があったので試験の片手間で書いてました(笑)。まぁその影響でかなりの駄作になっちゃいましたけど、今週で大学の試験とはおさらばできるので(一時的に)、次回からは力を入れて書いていこうと思います。

 あ、夏休み編は今回で終わりです。

 水着回とかなくてごめんなさい…。

 やっぱTS系と言えば水着回とかですよね~。でもこのストーリーだと水着回より先に釣り回が来てしまいました……。

 次回からは日常に戻ります。

 でも、夏休み終わっても水着回はありそうです!

 そう!

 水泳の授業ですね!

 まぁ自分の高校は女子水泳なかったんですけどね…。

 中学時代と小学校時代などを思い出しながら書いていこうと思います!

 いや、書いていくと思います!

 書くかなぁ。

 自分でも書くか確証がありません(笑)!

 まぁ少し時間がかかると思いますけど、気長にお待ちください。

 ではでは~。


―追記―

2020/7/29

 一部ルビを振り忘れているところがあったため、ルビを追加しました。

 また雑談になっちゃうんですけど、この小説を読んでると脳裏によぎる『お兄ちゃんはおしまい!』…。

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― 新着の感想 ―
[一言] PCゲーム”あいまいみすと”も衝撃です。
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