九章 記憶
2020/7/21 16:15頃、加筆いたしました。
それより前に読まれた方は違和感を覚えるかもしれませんが、ご了承ください。
……。
…どれくらい眠ったのだろう。
…ここはどこなのだろう。
……だめだ。目が明かない。
……私はどこにいるんだろう。
ゆっくりと体中の感覚を確認していく。
体は少なくとも動かない。手や足には、靴を履いてる様な感覚はなく、手袋とか靴下も履いてなさそう。
でもそれ以上は分からない。
……多分横になってるんだろうけど、ここはどこなんだろう。
――私は、誰なんだろう――――――
あれからどれくらいたったのか分からない。
頭を整理しようとしても、なぜか頭の中にある情報は見当たらない。
私は誰で、私は今まで何をしてきたのか。何も思い出せない。
どこかで私は、何かに巻き込まれたのだろうか。
また時間が過ぎた。
結局自分が誰なのか分からない。
今日が何日なのかも分からない。
仕方がない、眠ろう。
今度は、目覚められると良いな。
しばらく時間が過ぎて、なんだか今日は体調がいい気がする。まるで目覚められそうなくらい。
目覚められそうなくらい?
じゃぁ起きれるんじゃない?
やってみるか。
ゆっくり、閉じていた瞼を持ち上げるために、筋肉に力を入れていく。
久しぶりに開いた眼は、光を取り込むことはない。
失明でもしてるのかな?
いや、どうやら私の眼には問題はなさそうだ。
ゆっくり顔を傾けると、窓から見える景色は暗く、夜の様だ。
周りを見渡すと、見える景色は見覚えが無い天井に壁。
「……どこだろう。ここ。」
今自分がいるのが病院だと気づくことが出来ず、結局そのまま眠りにつく。
次に目を覚ますと、もう朝だ。
よかった。私の眼は光を受け付けてくれるみたいだ。
すると、向こうに見える扉が開いて、白い服を着た女性が入って来る。看護師だな。
「失礼しますね。…って言っても、起きてないか~。」
そんなことを言いながら、カートを押してベットの足の所まで歩いてくる。
「……すみません。」
「え!?」
ゆっくり上半身を起こして、看護師の方を向くと、看護師はびっくりして尻もちをつく。
「だ、大丈夫ですか!?」
ベットから降りようとすると、体中に激痛が走る。
「っ!」
「あ、動いちゃだめです!まだ絶対安静ですから!」
「ぐあぁ!!」
すごい勢いでベットにたたきつけられる。
「あ、ごめんなさい!」
一瞬意識飛びかけた。と言うか飛んだ。
目を開けると、知らない人たちが私のベットを囲んでる。
「涼さん、お目覚めになりましたか?」
体を起こそうにも、体が動かない。
「あぁ、体は動きませんよ。先ほどは、うちの看護師が申し訳ありませんでした。」
「内科部長、外科部長が到着しました。」
「鷲尾内科部長、お待たせしました。」
「中園外科部長、お待ちしていましたよ。すまない、私と中園外科部長以外は外に出ていてもらえるかい?」
初老位と言った感じの武井と言う男が一言声をかけると、看護師やほかの医師たちは病室を出ていく。そこでようやく、ここが病院だと気づく。
「…さて西住さん、痛みなどはないですか?」
「……えっと、西住さん?私の事ですか?」
「「………え?」」
白衣を着ている男女2人は、お互いの目を見て、悩み込んでしまう。
「……記憶障害か。」
「精神科の先生を呼びましょう。これは専門外です。」
「そうだな。」
その後、精神科の先生が来て診察をした結果、頭部損傷による記憶障害と言われた。
そして、診断を出された後、さっきの2人からいろんなことを教えてもらう。
私が今、記憶障害で、元の人の記憶がない事。
この体に入っていた人の名前は西住 涼と言う事。
涼さんの通っていた学校は霧ヶ峰高校と言う事。
その日の夕方、お父さんとお母さんが来て、先生たちから、私の事で説明を受ける。
その後、お父さんとお母さんも立ち合いの元、けがの状況を教えてもらう。頭は5針縫うけがをして、肩の亜脱臼、また、全身打撲など、完治には時間がかかるとのことだ。私の事を、涼さんの事を知りたいけど、とりあえず今はけがの完治に努めよう。
2週間後、けがはほとんど直ったから、退院して家に戻った。
涼さんの家は、本土からフェリーで1時間の所にある離島で、お父さんは漁師をしているらしい。
「涼、おかえりなさい。」
「涼、とりあえず、無事でよかった。」
お父さんもお母さんも、何かよそよそしい。
それもそうか。だってこの2人は、涼さんの両親であって、私の両親ではない。
特に何もないまま時間が過ぎて、何事もなく布団に入って眠りについた。
――――――――――――
2階では、涼が部屋で寝ている中、1階の居間では、両親とスーツ姿の女性が机を挟んで座っている。
「涼さんの件、一刻も早く記憶が戻ることをお祈りしております。」
「先生、あいつの記憶なんですけど…。」
スーツ姿の女性が、お見舞いの言葉と言うと、お父さんが話し出す。
「先生は、男の頃の記憶を持ったまま女子として生きていくのと、何も知らないまま女子として生きていくのと、どっちがいいと思います?」
「……。」
スーツ姿の女性は、うつむいて悩む。
「……こればっかりは、本人次第だと思います。わたしは、彼女の教師でしかありません。彼女を考え、導くことはできますけど、彼女を誘導することはできません。」
「…神田先生、あなたはいい先生なのですね。」
それから、一言もしゃべることなく、神田先生は島の民宿に向かった。
――――――――――――
変な夢を見た。
目が覚めて上半身だけ起こして夢の事を考えても、やっぱり変な夢だった。
見たことない部屋で、机を囲んで男子3人と一緒に話していた。
「……なんだったんだろう。」
確か、彼らは私の事を≪リョウ≫と呼んでたな。
≪リョウ≫ってのは誰なんだろう。
次の日も夢を見た。
今度は学校の廊下のようなところで、スーツ姿の女性と話しているところだった。
分からない。
この風景が何なのか。
その次の日も夢を見た。
今度は学校の廊下なのは一緒だけど、今度はスーツ姿の男性と話してる。
次の日は教室で違う男子と。
次の日は教室で男女と。
次の日はバイクで走っている。
次の日はアパートのようなところで本を読んでる。
そして、色々な生活を見て気づく。
この夢は、≪リョウ≫って人の日常生活なんだ。
次の日の夢は、今までよりも鮮明で、目が覚めてもしっかりと覚えている。
おそらく図書館のようなところで本を読んでいる。随分難しい本だ。旧かな文字が多く、言い回しが難しい。
机には、他にも何冊か本が置いてある。
題名は、【ふらんす物語】と【夢の女】?
私は知らないな。≪リョウ≫さんは頭がいい人なのかな。
その後は、本をしまって家に帰るようだ。学校から結構近いところにあるアパートに入っていく。一人暮らしらしい。高校生なのに一人暮らしってすごいな~。
夕食を食べてお風呂に入ると、初めてリョウさんの顔を見た。知らなかった。男子だったんだ。
服を着てヘルメットをもって家を出る。バイク乗りなのかな。
アパートの駐輪場に行くと、黄色いナンバープレートのついてる濃い緑と白いパーツのバイクの横に行く。
こういうバイク人気なのかな。そう言えばこんな感じのバイクここの家の前にも停まってた気がする。
バイクで周囲を走りまわると、薬局に入っていき洗剤とかの雑貨と牛乳とかの食料品を買って家に帰る。
ここまでは特に何もない。この夢はいったい何なんだろう。
そのまま家に帰って布団に入ってそのまま寝た。
いつもなら、ここで夢が覚めるはずなんだけど、今日は覚めずに、次の日の朝を迎える。
え?これはいったい何なの?
すると、リョウさんが目を覚まして、ベットからゆっくり起き上がると、視界の中に髪の毛が降りてくる。
え?昨日までリョウさんって髪短かったよね!?じゃぁ結構時間が経ったのかな。
リョウさんは、そのまま体をみたり触ったりしていることから、戸惑っているのが分かる。
『あー。あー。こんにちは。』
声を出してみてる。
あれ?この声聞いたことある気がする。
ベットから立ち上がり、脱衣所に行って、ゆっくり鏡に顔をのぞかせる。
あれ?この顔、どこかで…。
意を決したように、鏡の前に立つと、そこには見覚えがあるとかいうレベルではない、見慣れた人が立っていた。
「……あれ、私だったよね。」
夢で見た少女は間違いなく私だった。
じゃぁ、この体の持ち主の涼さんは≪リョウ≫さんだって事!?
寝起きで頭が回らないなか、さらに混乱することが起きて、もはや私は何が何だか分からなくなっていた。
いや~前話までまぁまぁな高頻度更新をしてきたんですけど、今回は少し期間が開いてしまいました。
これはひとえに、大学の課題のせいですな。課題が多すぎるのです。
まぁ時間が取れるときに書いて更新していきますので、気長にお待ちください。
そう言えば、明日から『まいてつ Last Run!!』発売ですね。
自分は2月ごろに一番高い奴を予約したんですけど、残念ながら明日は夜まで講義が詰まっているので買いに行けそうにありません……。
これこそぴえんですな。
明後日は学校が休みなので、教習所帰りに横浜のソフマップに行こうと思います。
では、今後とも私と私の小説をどうぞよろしくお願いします。
あ、感想とかは気軽に書いていただければ幸いです。レビューとか感想は割と励みになります。
ではでは~。
―追記―
2020/7/21 16:20
読み返してみたら書き忘れているところがあったので修正および加筆いたしました。
できれば加筆はしたくなかったのですけど、物語的に書いておいた方がいいかなと思ったので書き足しました。
―追記―
この作品を書いてるときはまいてつの発売延期を知りませんでした…。
コロナに災いあれ。
……3ヶ月は長いぜ…。
…ていぼう日誌でも見るか。