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俺は私になった。  作者: 雪村 敦
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プロローグ

 その日はいつも通りの日常だった。

 いつも通り学校へ行って、授業を受けて、友達と馬鹿話をして、図書室で少し本読んで、家に帰る。普段と何か違うとすれば、少し熱っぽいってところくらいかな。

 実家が地方の島で、中学は島から船で30分の本島にあったが、高校はさらに遠かった。遠くまで通うんならもうちょっと都会の方で一人暮らししちゃえばいいんじゃないかって話になり、俺は市内で一人暮らしをすることになった。市内と言っても地方なのに変わりはないが、島に比べれば随分と都会だ。ほとんど住宅街だけど。

 アパートの住人達の自転車や原付が停まっている駐輪場の前を通ってアパートの2階につながる階段を登る。

 自分の部屋の前につき、カギを開けて中に入ると、いつも通りの光景だ。いつも通りの、ある程度片付けられた部屋、玄関横に置いてあるバイク用のヘルメット、シンクに洗われていない朝食の食器、洗濯のされていない服やタオルなどが散らばる床。

 男子高校生なんてこんなもんじゃないかな。

 いつも通り軽い自炊から明日の朝食の準備。

 毎日外食や弁当ばかり食べてると、食費が高くなってしまう。高校に入学してすでに3ヶ月。そろそろバイトをしてもいいかな。バイト先ももう見つけてあるから、あとは面接を受けるだけだ。履歴書も作ったし。

 自炊をするとは言っても、凝ったものは作れないから、適当に肉を炒めてそのまま米と食べる。最近のお気に入りだ。

 夕食を食べると、食器を洗い、米を研いで炊飯器に入れる。

 基本的に大した趣味はないが、唯一の趣味は読書だ。

 読書をしていると、時計の針が9時を指す。

「…風呂入んなきゃな。」

 読んでいた本を置き、風呂場に向かう。それと一緒に洗濯するために洗濯物を持っていくと、自分の着ていた制服と一緒に洗濯機に入れる。

 洗濯をしている間に風呂に入る。俺はシャワー派だから、あまり浴槽を使った風呂に入らない。

 風呂を出て体を拭き、髪を乾かす。

 洗濯機の残り時間を見ると、後20分はある。家事などもすべて終わらせているため、やることがない。

「……久しぶりに走るか。」

 パンツをはき、上にシャツを着るとズボンをはき、腕時計をつけて財布と携帯、鍵をまとめたカラビナをもって玄関に向かい、玄関でジャケットを着て、ヘルメットとグローブをもって部屋を出る。

 アパートの階段を降りて、駐輪場につく。

 駐輪場には、住人たちの自転車や原付が並んでいる。その中から黄色いナンバープレートの付いた緑色の原付の横に立つ。

 ヘルメットをかぶってグローブをはめ、鍵を回してニュートラルに入っているのを確認する。スタンドをしまって駐輪場の外まで出ると、またがってキックをけると同時にアクセルを軽く開ける。

 軽快な音を立てて始動したエンジンをしばらく暖気して、シフトを1速に入れてスロットルを回す。

 住んでいるアパートの近くから、少し離れた駅前まで走ると、そう言えば洗濯用の洗剤が少なくなっているのを思い出し、近所のドラックストアに向かう。

 駐輪場にバイクを停めると、後ろについている金属のボックスを開けて、ヘルメットとグローブをしまい、鍵をかけて店に向かう。

 洗剤のほかに、牛乳や卵を購入してバイクの元に戻ると、後ろの金属ボックスからヘルメットとグローブを取り出してつけると、開いたボックスに買ったものをしまうと時計を確認する。そろそろ家を出て20分くらいたつ。

 キックでエンジンをかけて、家に向かって走り出す。

 家に着いたら、エンジンを切って後ろの金属ボックスから買ったものを出して、アパートの2階に登る。

 自分の部屋に入ると、ヘルメットとグローブを置き、ジャケットを脱ぐ。牛乳と卵を冷蔵庫にしまって、洗剤を脱衣所の棚にしまう。

 洗濯が終わったものを風呂場に干し、換気扇をつけておく。こうしておけば明日の朝には乾いている。

 明日の授業の支度をして、寝巻に着替えて布団に入る。俺は結構睡眠時間を取りたい派なので、割と早めに布団に入る。

 そうしていつも通りの日常が過ぎながら、明日からもいつも通りの日常が続くのかと思うと、少しおっくうになりながら目を閉じる。

「ん…、ん?」

 朝、深い眠りから意識を覚まし、目を開く。いつも通りの天井。枕元に置かれたスマホを手に取り、時間を確認しようとすると、いつもの感覚と何か違う。

 明確に感じた違和感を言うと、何かスマホが大きい。

 だが、寝起きではそんなもんだろう。

 いつもなら、朝は強いはずなんだが、なぜか今日は妙に目覚めが悪い。と言うか、体が重い。脳が覚醒していないと言った方がいいのかもしれない。

 そんな中、重い体を持ち上げて、いや、体もなぜかいつもの感覚通りに行けば妙に軽い。精神的な問題ではなく、物理的に軽い。

 寝起きの頭の中で、いくつものバグが発生しながらも、どうにかベットから起き上がり、ベットのふちに座るって下を向くと、肩から髪の毛の束が垂れ下がる。

 垂れ下がる?

 そこで俺の頭はようやくバグを認識し、自分の体に起こった違和感の原因を探ろうと処理を始める。

 まず最初に感じた違和感であるスマホのサイズ。目に見る限りでは横の枕と比べてもサイズが変わらない。だが、それを自分の手で握ろうとすると、やはりおかしい。

 明らかに手のサイズとスマホのサイズが合っていない。

 次に脳の覚醒の遅れ。いつもはもっと早く覚醒して、もっとスムーズにベットから起き上がれるはずなのに、明らかに今日は時間がかかった。

 次は体の重さ。()()()には頭が覚醒していないために体は重かったはず。なのに()()()にはかなり軽い。それと同時に、ベットのふちに座ったとき、体のサイズがおかしいと感じた。いつもなら、ベットのふちに座ると、膝がベットの高さより高くなるはずなのだが、今日はぴったりだった。それに、着ている服が、昨日はまぁまぁ緩い服だったが、今はとても緩い。

 そして、最後に感じた違和感である髪。頭を触ってみると、間違いなく長い。それも前とは比べ物にならないくらいに。前の髪の長さは男子にしては少し長いくらいだったが、今では男子にしてはかなり長く、()()に見間違えてもおかしくないくらいに長い。

 ん?()()

 頭の中の違和感を整理していると、その結論にたどり着き、急いで鏡の前に向かうが、立ち上がって歩き出した瞬間に床に倒れ込む。

 足の長さが短くなっているのに、いつも通りの走り方をしたため、すぐに転んでしまったのだ。

 そこで落ち着くために、一度声を出してみる。

「あー。あー。こんにちは。」

 自分の耳で聞こえる声が間違いなく高い。

 それと同時に、今までの行動を振り返り。自分の中でありえないほど冷静な自分に驚く。

 そして立ち上がり、脱衣所に入ると、換気扇の音が鳴り響き、昨日の洗濯物がかかっている。

 恐る恐る鏡の中を覗き込む。横からひょっこりと顔をのぞかせている少女がいる。

 そして、意を決して鏡の前に立つと、先ほどの少女が目の前に立っている。

「……。」

 俺が最初に目を付けたのは、着ている服だった。

「…服が変わってないと言う事は、改変されたのは俺の体だけか?」

 自分でも驚くほど冷静な言葉が口から飛び出した。

 初めましての方は初めまして。お久しぶりですの方はお久しぶりです。大和 戦治郎と申します。

 今までミリタリーネタで書いてきましたし、今連載しているものもミリタリーネタなのですが、本作品はガラッとネタを変えて、日常系の性転換ものです。(まぁ転生ものも一度上げましたが、今では削除してしまいました。)

 自分も学校などがありますので、そこまで頻繁に更新できるかはわかりませんので、お気に召しましたら、気長に待っていただけるとありがたいです。

 あ、この作品のジャンルに『私小説』と書かれていたと思いますが、これは自分が体験したわけでは無く、夢でこういうものを見たので、その夢をもとに妄想を膨らませたものです。

 私小説とは、自分が体験したもの。いわゆる、『体験談』の様な意味があるそうです。自分は夢でこれを体験したので、体験談と言えなくもないのではないかと思ったため、このタグをつけました。

 この内容の事を体験した人が居れば間違いなくニュースになってますよ(笑) 

 では、この作品がお気に召しましたら、次回の投稿でお会いいたしましょう。

 ではでは~。


―追記―

2021/1/12 17:43

 誤字を発見したため、修正いたしました。

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