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えっ?吾が輩に何か?  作者: パンダ玉子
第一章 プロローグ
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宿屋

 ギルド長に別れを告げ、冒険者ギルドを出ると日が暮れかかっていたので一路宿屋へと向かうことにするのじゃ。


 この街で吾が輩が泊まる宿屋は決まっておる。

 スカーズという名の宿屋でハンターをやっていた主人がつけたのじゃが、傷を追っても生き抜いて帰ってこいという意味を持つらしいのじゃ。

 生きていれば何とかなるもんじゃからのう。 帰って来れる場所があるのは素晴らしいのじゃ。

 ちなみに主人は傷なんかないぞ。吾が輩が治してしまったからのう。



 宿屋が見えてきたのう。意外とでかい建物なんじゃよ。

 地下付き三階建てで一階は受付、お風呂、厨房、食事スペースがあり、二·三階は宿泊部屋、庭には厩舎がある。 地下は受付の奥と厨房から入れて食料庫と主人一家の居住スペースとなっておる。

 なぜ詳しいかって?

 吾が輩が建てたからじゃ。 ダンジョン創作魔法でちょちょいのちょいじゃった。 地下なのに空が見えるという親切設計じゃ。



 宿屋へと入り受付へと向かうと10歳程の女の子が受付をやっておった。


「いらっしゃいませ」


 愛想の良い可愛い子じゃのう。 飴ちゃんをあげよう。 簡単に受けとったのう、危機管理大丈夫かのう?


「2週間ほど世話になろうと思うのじゃが、部屋は空いているかの?」 

「少しおまちください、おかーさーん!!」  



 トコトコと受付の奥へ行ってしまう、可愛いのう。

 少しすると女将さんを連れ戻ってきた。


「あらっ! 魔王さんじゃない! お久しぶりでございます」

「えっ!? この人がマオーさんなの?」


「はい、吾が輩が魔王さんじゃ。 久しいの女将さん。 娘さんが生まれた時期はいたが、前回立ち寄ったときは見かけなかったのう」


「前回来てくださったときは、この子お昼寝中でしたからね。 ハンス呼びますか?」


 主人のことじゃな。


「今回は泊まるのでな、後で会えるのでよいのじゃ」

「あぁ2週間程という話でしたね。 マリー、お部屋に案内してあげてね」

「はーい!」


 マリーちゃんというのか本当に可愛いのう。 宿屋の看板娘じゃな! 飴ちゃんをあげるのじゃ。 また簡単に受けとったのう。  そういえばもう1人、倅が居ったはずじゃが。


 マリーちゃんの後に着いて行き、部屋まで案内される。 3階の1番奥の部屋の前に着くと。


「こちらがマオーさんのお部屋となります」


 うむ、いつもの部屋じゃな。 というよりドアに魔王さん専用って書いてあるのう。 いつの間にこんな立て札を取り付けたんじゃろうか?


「ありがとうの、マリーちゃん」


 スッとマリーちゃんの手が延びてくる。

 最早、貰える前提なんじゃな。 可愛いからあげるけど、多めに飴ちゃんを渡しておくのじゃ。


「マオーさん、ありがとー」


 今までで一番の笑顔を見せてくれたのう。 心が癒されるようじゃ。 対して荒んでなかったのだがのう。 筋肉に脳をやられておったかのう。

 そんなことを考えながらトコトコ去っていくマリーちゃんを見送り部屋へと入る。



 とりあえず空間魔法を使い部屋着に着替え、ベッドに腰かけ、念話を繋げる。


『あー吾が輩、吾が輩』

『はい、どちらの吾が輩さんでしょうか?』

『お主、あれじゃのう。 分かってて、よくやるのう。 こちら魔王さんじゃ』

『魔王さん、テンプレってやつですよ。 こういうコミュニケーションも大切なんですよ』


 言ってることは分からなくもないけどのう。

 長距離念話で吾が輩っていうのは、吾が輩かデー○ン閣下くらいしかおらぬと思うのじゃ。


『時に魔王さん。 どちらにいらっしゃるのでしょうか? コダマさんからは散歩に行ったといわれましたが、ご夕飯はどうされますか?』


 ふむ、出掛ける時返事してくれたのは本当にコダマだったのじゃな。 意外と綺麗な声をしておったのじゃ。 レアじゃの! なんかテンション上がるのう。

 そんなことを思いながら掻い摘んで説明。


『ということで、ご飯いらないのじゃ。 大丈夫かのう?』

『はぁ···。 帰ってこないのは問題ないんですけど、ご飯の連絡はちゃんと下さい。 作る人にも迷惑がかかるんですから!』


 帰らなくても問題ないのかのう。 寂しいのう...。

 というか冷めてきた夫婦みたいな会話みたいじゃのう。 ご飯は時空間魔法でどうにかなるから迷惑にはならんがのう。 ちょっとからかってやろうかの。


『なんじゃ、チャムよ。 お主、寂しいのかのう?』

『な、何をおっしゃっているのですカ!? ベツニソンナコトアっルワケナイジャン』

 

明らかに質が変わっておるのう。


『おっと、すまんのう。 まさか、そんな状態になるとはのう』

『チッ、チガいますからね。 これッポッチも寂しくナんか、無いンですカラネ!!』

『まぁ、何か問題が起きた場合は直ぐに念話するのじゃぞ』

『ワかりマシた。 私の能力を使えば魔王さん何か居なくても、全然大丈夫なんで、じっくりと育成してください。 では、失礼いたします』


 念話が終わったものの、チャムは頼りなる娘なんじゃがのう。 吾が輩何か居なくても大丈夫は、やっぱり寂しいのう。

 何か悲しくなったけれど、お腹は空いているので食堂へ移動するのじゃ。

 料理をするのはもちろん女将さんではなく、主人の方じゃ。 以前、この夫婦とパーティを組んだときに女将さんの方が作ったことがあってな。 吾が輩の最強さんが逃げ出して死にかけたことがあるのじゃ。

 結婚の報告を受けたときは、主人マジで勇者かよ! って驚愕したもんじゃ。 今ではただの料理好きのハゲじゃけどのう。


 さてと今日の夕飯のメニューはなんじゃろな?

 ガッツリステーキかチキンソテーか悩ましいのう。 カウンター席に座り、どちらにするか考えていると厨房にいた主人から声がかかる。


「あっ! 魔王さん来てたなら声かけてくださいよ」

「いや、ちょっとな夕飯をどっちにしようか考えておったのじゃ」

「ガッツリいきたいならステーキだな」

「じゃがのう。 胃がもたれたらと考えるとのう」


 と腕を組みながら考える素振りを見せると。


「ちなみに今晩のシチューの中にも牛肉入ってるぞ」

「おぉ、ではステーキで頼むのじゃ!」

「チャレンジャーかよ!」


キレッキレなツッコミが入った。


「魔王じゃ!! 美味しいものは更なる美味しさを求めるべきじゃ。 胃もたれなど起こさんわ! 吾が輩は胃袋も最強じゃ」


 そんな事を言っていると厨房からメモを書きながら倅が出てきおった。


「何をしておるんじゃ、お主?」

「魔王さんの名言を書き綴っています!!」


 そんなキラキラした目で見つめんでくれるかのう。 吾が輩の名言のう。 ちょっと気になるのう。


「のう、倅よ。 どんな名言があるのか教えてもらっていいかのう?」


「じゃあ、又聞きで申し訳ないですが父さんを助け「じゃあ!!俺は調理してくるな!」」


 のう、お主の親父逃げたぞ。 まぁよい、続きを聞かせて貰おうかのう。


「詳しくは誰も教えてくれないんですが、僕が好きな名言ですので読みますね。 『死んで守るなど命の冒涜じゃあ! 生きて綺麗さっぱり生き抜いてやれ!!』 です!!」


 あぁ、それなぁ言葉だけなら確かに名言じゃのう。

 ただのう、それ主人の髪がなくなった原因の言葉じゃ。 あれはおぞましい話じゃからのう。


「倅よ。その真実、吾が輩が語ってやろうか? 聞く勇気があるのならばじゃがな?」


 含みのある言い方で尋ねる。


「よろしくお願いします!!」


 ディナーが届くまでの間きっちり話してみるかのう。



宿屋の主人 ハンス 魔王さんが傷を治す際にスキンヘッドにされた元ハンター


宿屋の女将 マイヤー 美人なのに怒ると怖い魔王さんと一緒に旦那の剃毛をした元ハンター


宿屋の娘 マリー 危険なものに対する防衛予知感覚が高い


宿屋の息子 カイン 魔王さんを憧れの人といっている少年


四天王 二人出てきました


念話の相手 チャムちゃん 種族?


城からの返事 コダマちゃん 種族?



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