オープンワールド
「ふっふっふっ……これは、私の勝ちは決まったようなもんね!」
「おや?マナさんは、自信がおありのようで。」
「準備はいい?」
「ええ、いいですよ。」
「くらいなさい!! フルハウスよ!!」
「おや?これはこれは、フォーカードです。」
「へ? ……なんなのよ! なんでそんなに、強いのよ!! もう、何をすれば勝てるのよ?!ビリヤード、ダーツ、ポーカー、色んなことをしたけど、全部負けだわ!」
僕達は寂れたバーに来ていた。お酒も出るが、年齢制限がある。ちなみにマナは注文出来ない。注文しようとすると、目の前に警告文がでてくる。つまりは未成年だ。
このゲームには様々なスポンサーがついており、服もブランド物があったり、お酒も銘柄がたくさんあり、賑わっている。
「いやはや、時間だけは、持て余していましたから、様々なことを、試していたため。」
「? 三郎って、無職なの?」
「まあ……そのようなものです。」
「ふーん。」
「じゃあ…次は……早食いで勝負よ!!」
「!!」
*
僕達はラーメン屋に来た。
「お待ちどう!」
「どちらが早く、このお店特製の、特盛しょうゆラーメン戦艦級を完食できるか、勝負よ!負けた方が、ラーメン奢りよ!」
「僕、早食いは、得意じゃ……」
「よーい、スタート!」
「な?!」
肉厚でジューシーなチャーシューと、艶やかな麺、半熟の味玉、歯ごたえ抜群のメンマ、その上に山盛りに盛られていた、もやしを僕はかじっていた。
これ以外は、食べるのを想像するだけで胃もたれと、胸焼けを起こしそうだ。
戦艦級のラーメンは、ちゃくちゃくと、僕の胃という本拠地を攻撃していた。
「はぁ〜美味しかった〜。」
「?!」
彼女は僕がもやしを攻撃している間に、この戦艦級のラーメンを落としたというのか!まるで戦術兵器のようだ。
「やった!!!やっと三郎に勝ったぁ!!」
「むぅ〜……」
これでは、孫に顔向け出来ん。
「なによ三郎!もやしを前歯でかじってるだけで終わり?男のクセにヘタレね!」
妻にも顔向け出来ん。
「マナさん……僕のも…食べていいですよ……」
「本当?!やっ……しょ、しょうがないわね、下僕の尻拭いは、しないといけないわね。」
「あわわわ……」
戦艦級のラーメンをあんなに軽々と……
やっぱり凄い人達なんだ!
三郎とマナが勝負した時、一人の女の子が観戦していた。ルールの設定時に、オープンバトルか、クローズバトルか選択ができ、マナはその時に……
ふっふっふ、こいつの、痴態を世界に知らしめてやるわ!
ということでオープンバトルにしていた。結局、一人しか観戦はこなかったが……
それがこの子
観戦では、その人の一人称視点で見られるため、迫力が凄く、人気だ。ちなみに観戦は、シアタールームという、ベースキャンプにある専用の施設ですることができる。
そこは、ネカフェのように区切られていて、中に入り、パネルで、操作することにより、観戦ができる。
「わぁ! すっごい! 早い! ビューンって、でシュッて避けて……撃たれたと思わせてガバッとして、カッコイイ…僕もこうなってみたいなぁ。」
「WINNER、Saburo0406」
さぶろう……さん、か……
「三郎さん、あの人の強さの秘訣を知りたい!」
*
僕とマナは、オープンワールドで、モンスターを狩ることになった。オープンワールドでは、荒野や森、熱帯雨林、雪山、などなど、様々なフィールドがあり、場所によって難易度やモンスターの種類も違う。
今回は、荒野に来ていた。荒野では、プレイヤーが多くいる。そのためプレイヤーキル多発地帯だ。オープンワールドではアイテムドロップが有効なためだ。
ひび割れた地面。
やせ細り、葉も生やさなくなった木。
半壊した家。
そして、西部劇でよく見る、転がるあれ。
オープンワールドには、街もあり、荒野の首都、【リフト】は、いかにも西部劇っぽい木製の、建物が多く並んでいる。
ここでしか買えないアイテムも、少しはあるが、やはりほとんどは、ベースキャンプで買える。
だが、食べ物や娯楽などは違う。
【リフト】では、賭け事が主軸だ。スロットはもちろん、ポーカーにブラックジャック、ルーレット、的当てゲームだってある。
賭け事には、現ヘリルも賭けることができ、一攫千金だって夢じゃない。
ちなみに【リフト】の人気メニューはタコスだ。
まあ、僕達は【リフト】には用はない。
今はモンスターだ。モンスターからは、お金がドロップするため、お金稼ぎには有効だ。
荒野にはナメクジのようなモンスターや、アリジゴクのようなヤツもいる。
たまにレイドボスの巨大ミミズもでてくる。
そんな荒野で僕達は、お金稼ぎに勤しんでいた。
カチャッカッ
ダンッ
「これで終わりか……」
「まあ、私にかかればこんなもんね……!!女の子が襲われてるわ!」
「どこですか!?」
「あそこ!」
「マナさんは、彼女を守って援護射撃を。僕は彼女の加勢に行きます。ハンドシグナルは覚えていますね?」
「もちろんよ!」
襲われている女の子は、水色の髪で、ショートカット、弱気な目をしていて、その目は水面のように綺麗な、水色だ。
たぶん、僕達を尾行していた女の子では無いだろうか。とにかく助けなければ。
「おら、金と装備を出したら倒さないでやるよ。」
「あんまり、手荒なマネはしたくねぇんだよ嬢ちゃん。」
敵は四人、二人サブマシンガン、二人アサルトライフルだ。
「いける!」
「おい!誰か走ってきてるぞ!」
「仲間か……撃て!」
ダダダダダダッ!
僕を狙い、銃弾が飛び交う。
二十五メートル。
避ける。避ける。避ける。
十五メートル。
「くそっ!なんで当たらねぇんだ!」
十メートル。
敵がリロードをする。
五メートル。
背中のウィンチェスターを抜く。
ゼロメートル。
ダンッ!ダンッ!
サブマシンガン二人。
二本のウィンチェスターを再装填をかね空中に投げる。
一人に回し蹴りを食らわす。
腰のウィンチェスターを抜く。
横たわった敵を。
ダンッ!
カシャッカッ
もう一人へ向け構える。
「おいっ!!こいつがどうなってもいいのか!?」
敵が水色髪の女の子を人質にとった。
僕は、手に持っているウィンチェスターをホルスターにしまい、すかさず、宙を舞っているウィンチェスターを、受け止め、背中のホルスターにしまった。
「そうだ、武器をしまえ。動くなよ。」
僕はマナに向けハンドシグナルをする。
「仲間はお前だけだな?」
ダァンッ!
マナの銃弾は男の頭部に直撃、ヘッドショットだ。
「大丈夫かい?お嬢さん。」
「あの……えっと……」
「どうしたんだい?」
「そのぉ〜………弟子に……」
「はい?」
「弟子にしてください!!」