ウィンチェスター
「よし、これで、チュートリアルは、終わりだな。」
チュートリアルでは、銃の買い方や撃ち方、そして、様々な、ゲームの説明などなど、一連の説明を受けた。
まずは、武器を買うために、お金が必要なため、武器や装備などを必要としない、バトルロワイヤルに、潜る必要が、ありそうだ。
バトルロワイヤルとは、百人で、戦場に降下し、その場で武器や防具を拾い、戦う試合の事だ。
また、このゲームでの、貨幣の単位は、ヘリルと、リル、というので、表されている。
相場は、一ヘリルが、約一ドル、つまりは百円。
一リルが、約一セント、一円だ、ただ、相場は変化するため、円高のときに、購入すれば、お得、というわけだ。その逆もしかり。
硬貨には、種類があり、現実のお金で買った、硬貨は、日本では、現ヘリルと呼ばれ、現実のお金に、還元ができる。
その逆で、試合で手に入れた、ヘリルは、内ヘリルと呼ばれ、ゲーム内限定で、使える。
プレイヤーとトレードすれば、この二つを交換することが可能だが、それはかなり大変だ。
普通のリボルバーが、約十一ヘリル、アサルトライフルになると、五十ヘリルはする。
だが、武器にも需要と供給があり、人気、不人気で、値段が上下するそうだ。
そして、一回のバトルロワイヤルで、稼げるお金は、一位で、五十内ヘリル、二位で、三十五内ヘリル、三位で、十内ヘリル、そして、試合中に、一人倒すごとに、五内ヘリル手に入るそうだ。
ランク五になるまでは、NPC、つまりは、ノンプレイヤーキャラが、バトルロワイヤルで出てくるので、お金を稼ぐチャンスだ。
※
「一、二、三、四………」
「うむ…二百内ヘリルは、集まったな。出店をまわってみるか。」
*
「いらっしゃい。」
「あと百ヘリル……少し、防具に使いすぎたか、黒コートは五十ヘリルもしたしな……ん?五……ヘリル?リボルバーより安いな。」
そこには、五ヘリルと書いた、値札と、引き金の周りが、不思議な形をしている、散弾銃?が立て掛けてあった。
「すみません、これは、どのような銃なのですか?」
「これは、ウィンチェスターM1887、レバーアクションを採用した、散弾銃だよ。」
「なぜ、これほどまでに、安いのですか?」
「この武器は本当に売り上げが悪くてね。相場がかなり低いんだ。まあ散弾銃ならみんな、ポンプアクションかガス圧式のやつを買うからねぇ。」
「ではこれを……二丁、売ってください。それと、銃弾と、背中に二丁差せる、ショルダーホルスターを。」
「背中のホルスターはオーダーメイドだから、八十ヘリル、ウィンチェスター二丁で十ヘリル、銃弾はおまけしとくよ。」
「ありがとうございます。」
「さっそく、使ってみようかね。」
そして僕は、装備持ち込みありの、三十人形式のバトルロワイヤルに参加することにした。
このマッチのルールは、
武器は二つまで。
武器の種類制限なし。
ウェイト制限あり。
スポーン地点は、一キロずつ離れている。
最後に生き残った人の勝利。
参加料は五内ヘリル。
一位が参加料総取り。
となっている。
「スポーン地点は草原、スナイパーに狙われないように、動いた方がいいな。」
ダァンッ!
銃声が聞こえた。
ここは草原だから、音は聞こえにくい…
「近いな。」
音からして、たぶんサブマシンガン持ちと、ショットガン持ちが、争っている。
僕は銃声がする方へ向かった。
そこには一人立っていた。
僕はすぐさま、バレないように、草むらに隠れた。
どうやら、サブマシンガン持ちが勝ったようだ。
行くしかない、戦場では、やらないと、やられる。
僕は、草むらから飛び出した。
相手が僕に気づく、そして銃を構える。
だがもう遅い、その時にはすでに僕は、相手の正面にゼロ距離でいた。
「なっ!早いっ!」
すぐさま、背中に差したウィンチェスター二丁を抜き、敵のお腹の辺りに、二本の銃口を向け、そして……
ズドンッ!
カチャッ
ライフがゼロになると、ノイズのようなエフェクトとともに、体が消える。このゲームは、15歳以上対象だが、血などの表現はなく、傷ついた場所は、赤いエフェクトにより、表現される。
「残り十八人……それにしても、再装填が大変だな……!! そうか、こうやって回せば。」
カシャッカッ
もともと、再装填は、片手でやっていたが、どうやら、この銃は、両手持ち推薦らしい。だが、今考えた再装填により、かなり楽になった。後に聞いたが、どうやら、この方法は、スピンコックと言うらしい。
「ふむ…かなり楽になったな、この調子で行くか。」
ズドンッ!
カシャッカッ
ズドンッ!
カシャッカッ
「なんなんだよあいつ!あんなに戦いなれてるやつ、初めて見たぞ、こっちの動きが、読まれてるみてぇだ!」
「くそっ! ウィンチェスターなんかに負けてたまるかっ!」
ズドンッ!
カシャッカッ
「WINNER、Saburo0406」
「ふむ……この武器は使いやすいな。あと二丁くらいあれば、もっと回転率が、上がるんだが……」
*
「すみません。」
「おう、また来たか。どうだい、その武器の使い心地は。返品は受け付けないよ。」
「いえいえ、本当に使いやすいですよ! できれば、あと二丁売って欲しいのですが……それと、二丁の、ウィンチェスター用の、腰につけるホルスター。」
「お兄ちゃんも物好きだねぇ、あとで金返せ、とか言うなよぉ、銃弾はおまけ。」
「毎回ありがとうございます。」
「あなた。」
「いや、いいんだよ、その銃買ってくれて、うちも助かってんだから。」
「ねぇ!」
「では、僕はこれで…また来ます。」
「あいよ、またな! 兄ちゃん。」
「ねぇってば!」
「おや? すみません、お嬢さん、なにか?」
「私と勝負しなさい!」
「?」