さらばこの世界。よろしく異世界
あれここは?
目が覚めると怪しい金貸しが目の前にいた。
俺が金を借りた時から2年も経っていると言うのに相変わらず鋭い目つきをした男性の姿のままだった。
とりあえず状況よくわからないので彼に話しかけることにした。
「あの一体ここはどこなんでしょうか?私はトラックにぶち当てられて多分死んだのだと思うんですが。痛みも感じませんし見たところ体に傷もありません。」
「おっしゃる通りあなたは死にました。
ここはまぁ死後の世界と呼ばれるやつですね。
本来ならばこのまま違う次元に記憶を無くした状態で転生することになるのですが、あなたは私との約束を覚えていますか?」
「死んだばっかりなのに普通に借金の話をしてきますね。えーまぁ覚えていますとも。死んでも金を返せとのことでしたよね。てっきりよくある冗談なのだと思いましたが、どうやらガチのようですね。」
「そうです。なのであなたには死んだ後にも働いてもらおうと思います。」
「確か生前の私の手元には40億あったと思うのですがそれは?」
「もちろん回収しました。なのであなたはあと60億円の借金があります。」
「今までの話を聞くとあなたは人間では無いようですね。神様なのでしょうか?」
「いいえ。この世界では悪魔と呼ばれる存在でしょう。契約をし、契約に背いた者の魂を喰らう。
そういう仕事を続けています。」
てことはもし、期限内に借金を返済できなかったら俺も魂を食われてしまうって言うことなのか?
だとしたら大変だ。今まで築いてきた社長の立場はきっと死後の世界ではなくなっているだろう。そんな状況で60億なんてもの大金を返せるわけがない。
「察しがいいですね佐藤さん。
その通り。返済ができなかったら無に還ることになります。」
「あんた心が読めるのか!?」
「まぁ死後の世界がどうとか言ってる時点で人智の範疇を超えているのですから。そりゃそんなこともできます。」
「なぁそういえば俺はどんな世界で働くことになるんだ?」
「死後の世界と言ってもあなたが元いた世界とは違う
別世界で働くのです。
その別世界はいわゆるこちら側でのファンタジーと呼ばれる世界です。
まぁあちら側の世界からしたらこっちがファンタジーなんですけどね。にしても段々と敬語が崩れていますね。余裕が無くなったからでしょうか。」
「その通りだよ。いきなり別の世界で金稼ぎって言われてもどういう労働をするんだ?」
「それは自分で考えてください。私はただ勝手に契約前に死なれるのが困るので、金儲けの場を提供しているだけにすぎません。」
「おい待ってくれ。あちら側の通貨は日本円に両替できるのか?」
「はい。と言うよりかはあちら側の世界の言語などが
全てあなたの世界の言語に置き換わるのです。
なので円表記になっているので大丈夫です。」
へえ、そりゃまた便利なことだ。
どうせ事故で死んじまったんだ。
別世界でもなんでものし上がってやるぜ。
「その心意気大切ですよ。それじゃあ早速…」
体が光出したと思うと、そのまま眩い光に包まれた。
眩しさのあまり目を閉じた。
そして目を開けたかと思うと、そこには人で賑わう商店街に俺はいた。