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アニメイト特典SS 保育園 パティバージョン

パティが俺の元に一枚のチラシを持ってきた。そこには保育園の一日体験入学の文字が書いてある。最近【保育】の称号を持っている人が少ないらしく、少しでも適性がある人物を探しているようだ。


「パティは【保育】の称号があるのか?」


「称号はないが、子供は好きなんだ。自分の赤ちゃんができるまでに慣れておきたくて」


 これはかなり意味深な発言だが、たぶんそこまで深い意味はないんだろう。

 チラシを見ると乳児から六歳児まで体験コースがあるようだ。


「じゃあ体験は乳児担当で決定だな」


「そうだな。それが目的で私も参加を決めたんだ」


 こうして二人で保育園の門をくぐった。

 見回せば同じように体験入学の人が数人確認できる。


「少し緊張してきた。エルフの里では赤ちゃんは殆どいないから、赤ちゃんを抱っこしたことがないんだ」


 表情が徐々に強ばる珍しいパティがそこにいた。

 寿命が長いエルフは数も少なければ当然産むのも少ないだろうしな。

 園長先生が現れ、体験入学だということを告げると乳児室へと通された。

 いくつものベビーベッドが並び、そこには可愛らしい赤ちゃんが一人ずつ寝かされている。


「この子はもうすぐミルクなので、この子の担当になっていただきますね」


 先生がミルクの用意をしに行くと、パティがベビーベッドの中を覗き込む。

 その瞳は希望に溢れ、キラキラと輝いている。


「本当に小さいのだな。手なんて小指を握られる程度の大きさしかない」


「俺は赤ちゃんを抱っこしたことがあるからな。俺が先に抱っこしてみせるよ」


 園長先生がミルクを持ってやってくると赤ちゃんを抱っこし、抱き方、ミルクのやり方を懇切丁寧に教えてくれる。命そのものだから当然ちゃ当然だ。

 そしてまずは俺が抱っこをしてみせる!


「よしよし……あ~怖くないですよ~」

「あう……うう、んん、んぐんぐう、んぐんぐ」


 泣きそうになった赤ちゃんだがミルクには目がないようで、口元に持っていくと勢いよく飲みだした。


「あらっ、上手いわね。抱き方も悪くないわ」


「ゼオリスはスゴいな! まるでお父さんみたいだ」


 パティの褒め方が微妙すぎて素直に喜べない!


「次はパティがやる番だな。首が据わってるっていっても、強くはないから気をつけてな」


「あ、ああ。き、気をつける!!」


 結構ガチガチに緊張しているパティに赤ちゃんを渡すのが怖い!

 それでも落さないようには気をつけてるから大丈夫だろうけど。


「ここ、こうでいいのだろうか! 既に泣きそうになってきてる……どうしようゼオリス……」


「固いと抱き心地も悪いからな。もっとリラックスして、こう左右に揺らしてあげればいいよ」


 抱いていると慣れてきたのか、少し表情に柔らかさが出てくる。

 その表情は慈愛に満ちて天使、いや、女神といったところだ。

 赤ちゃんを見つめると当然パティの胸も目に入る。本当に赤ちゃんができたら巨乳になりそうだ――――っと、今考えることじゃなかったな!


「パティは何人くらい子供が欲しいんだ?」


「エルフは妊娠しにくいから、欲を言えば何人でも欲しい」


 赤ちゃんを見つめながら爆弾発言をするパティ。

 それはもう妊娠してなければ年がら年中してもいいという発言ではないのか!

 まあそんなはずはなく、パティは相変わらず女神の微笑みを赤ちゃんに向けている。


「ゼオリス、そんなに見つめてまた抱っこしたいのだな?」


 今度はパティから俺へと赤ちゃんを渡してきた。

 しかし、俺に抱っこされた赤ちゃんは突然泣き出し、泣き止む気配がない。

 そうか、煩悩と邪念に塗れたお父さんに気付いてしまったんだね!

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