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とらのあな特典SS 保育園 ナーシャバージョン

 実家に保育園から突然連絡がきた。

 人手が足りず、ナーシャを貸して欲しいと。


「がんばるニャあ! お子様相手は任せるニャん!」


「ちょっと待てナーシャ! まだ出番が早すぎる!」


 【保育】の称号を持つナーシャにはうってつけの仕事だ。しかし、俺はナーシャが子供を相手にしているところを見たことがない。

 正直、ナーシャが上手く子供をあやせるのか不安があるのだ。


「俺も一緒に行くからちょっと待っててくれ」


「わかったニャん。ご主人様早くしてくれると助かるのニャあ」


 ナーシャは獣人族、しかも猫族だ。万が一興奮して子供に怪我をさせてはいけない。あまり雌猫には効かないというが一応マタタビを持参してゆく。

 ごめんなナーシャ!


「じゃあ行くか。自慢の【保育】を活用できるからってハメを外すなよ?」


「わかってるのニャあ」


 ワクワクを抑えきれないでいるナーシャ。単純に子供が好きなのかもしれない。


 保育園に着くとそこは地獄だった。

 小さい子が叫び、走り、先生の言うことをまったく聞かず本能のまま動いている!


「ナーシャ、これは断って帰ったほうがいいんじゃないか?」


「腕が鳴るのニャああああ!!」


 俄然やる気になったナーシャがそこにいた。

 仕方なく園に入ると先生があたたかくお出迎え、なんてことはなく、先生方から救援要請がきた。


「あなたがナーシャさんですね! お願いします! もう手一杯でてんやわんやなんです!」


「任せてほしいのニャあ! それで何歳を担当すればいいのかニャん?」


「あそこの三歳児たちを……」


「む、三歳児とニャん! 手強いけど頑張るニャあ」


 先生が指差したのは芝生の上を縦横無尽に走り回る子供たちだ。恐らく一人で二〇人は面倒を見ないといけないだろう。というかこの惨状、園が運営されているのが不思議なレベルだ。

 ナーシャはその三歳児がいる園庭に足を踏み入れ、深く息を吸い込み園庭中に響き渡る大声を発した。


「集まるのにゃあああぁぁ!! ナーシャお姉ちゃんが来たのにゃあああぁぁ!!」


 何事かと子供たちがぞくぞくと集まってくる。

 俺には無邪気な子供たちにしか見えない。


「おねえちゃんだぁれ?」

「おねえちゃんだっこして!!」

「あっちいっておいかけっこしよ!」

「しっぽはえてるよ、みんなしっぽしっぽ!!」


 みんなてんでバラバラの反応をするが、最後の尻尾にはみんながみんな食いついてきた。


「わ~きれいだね~」

「ひっぱったらどうなるのかな」

「いいにおいがするよぉ」


 それぞれ尻尾を好き勝手に触り引っ張る子供たち。無邪気に尻を叩いたりする子までいる。


「誰かニャああ? 誰が尻尾を弄ってるのかニャああ? そういう子は食べちゃうのニャああ!」


 「「「「「きゃああははははっ」」」」


 一斉に逃げ出す子供たち。ナーシャは獣人族持ち前の脚力で次々に捕まえてゆく。それでもしっかり子供たち全員を目で追っているようで、危ない真似をしている子を優先的に捕まえ捕獲、一人でいる子にまずはターゲットを絞っているようだ。


「ニャあああ! 捕まえたのニャん!」


「だっこしてはしってぇぇ」


「仕方ないのニャあ」


 二、三人を抱っこしたまま走るナーシャ。獣人族になって力が上がったことでできることが増えていると思われる。この調子なら何人産んでも大丈夫そうだな!


 ふと疑問が浮かぶ。はたして獣人族は一度に何人産むのだろうか?

 まさか三つ子四つ子じゃないだろうな…………少し心配になる。なぜ俺が心配しないといけないのか、という疑問はこの際置いておこう!

 気が付くと俺の周りに猫が数匹集まっていた。マタタビ目当てらしい。

 ナーシャに使う事態にならずに済んで良かったわ。

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