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83にちめ

83にちめです。「83にちめ」と「九十三日目」は同日です。

今日は2話投稿です。

 ダンジョン探索3日目。

 2日目と同様に順調に登った烈火の獅子は無事に10階層から15階層に辿り着いていた。


「おめでとう。これで烈火の獅子の試験は終わったようなものです。後は私の試験です。烈火の獅子を連れて20階層までお送りしましょう。」


 少し不安はある。

 以前は私のミスで苦戦した。今回もそうならないとは限らない。けれど、自分を信じることが大事だ。


(私は強くなった。そうだよね、ボンちゃん)


 水属性<小>魔法・針水


 私は下層と同じ魔法を16階層の魔物へ放った。それは魔物の毛皮に阻まれ敵を貫くことが出来なかった。


 混合<小>魔法・針風水


 風属性の推進力を重ねた針水、それは魔物の毛皮を容易く引き裂き貫いていた。


(いける。魔力消費2で倒せるなら全く問題ない)


 私はこの結果に自信を持った。敵を次々に妥当し、更には一撃で2体抜きする事もあった。

 自分は確かに強くなったのだと実感し、私はダンジョンを登っていく。

 けれど、20階層に到達した時に自分の疲労度に驚いた。普段なら余裕だというのに何故か。ボンちゃんからの【魔力供給】が無いからだろう。自分の魔力が随分と減ってきたのだ。おそらくまだ4分の1程度はあるだろう。だから20階層を戦うぐらいは大丈夫だ。

 そう思った私は残りの力を使い果たす勢いで先を目指した。そして、珠のような汗が浮かび、視界が少しぼやけてきた時に転移装置を見つけた。

 私はやりきったのだ。


 それが油断だったのだろう。

 横から突然衝撃を感じるがなすすべもなく吹き飛ばされてしまう。数度地面に叩きつけられダンジョンの壁にぶつかって止まった。

 頭も強く打ったようで立ち上がることが出来ない。視界もかすみ、寒気がする。耳だけがまともで音だけが聞こえる。


「女日照りの俺様達の為にわざわざ女を連れてきてくれてありがとよ。」


「兄貴!!そいつもなかなか良い女だったのに良いんですか?」


「あ?こいつは単独でB級になるような、しかも戦闘力だけならA級クラスかそれ以上だって噂の女だぞ!そんな女を生かしておくわっ」


「ぎゃあ!!」


「なんだ!!なんで兄貴の頭が弾け飛びやがった!!」


 近くに誰かがいる気がする。

 でも、全然嫌な気はしなくて、


(ボンちゃん?)


「遅くなった。本当にすまない。」


 初めて聞くその声はなんだか安心する声だった。私は安心して眠ってしまうのだった。

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