82にちめ
今日は九十二日目です。
0時目指しますが迷走しているので明日の分も遅くなるかもしれないです
ダンジョン探索2日目。
今日は5階層から出発して10階層以上を目指して貰う。今日で10階層まで行けたなら明日から10階層からスタートして、1日か2日で15階層まで行ってくれるのが理想だ。
戦略は少し変えるようで、前衛組が槍で敵を倒す方針に変更したようだ。盾は持たず敵の攻撃範囲外から先手を打ち、多数の敵は薙ぎ払いで対応するようだ。
これは相手が自分たちより格下で小さい相手ならではの方法だ。格上や大きい相手なら薙ぎ払うことは難しいだろう。
槍は重心が剣よりも先端にありうまく扱わないとむしろ疲労が溜まるが、重心を利用して遠心力で上手く振れると疲労は少なくて済むのだろう。
そこらへんは専門外な私よりレオンとレオナを信じよう。
「転移装置ってなんであるんだろうね?ショートカットしたり逃げ出したりされたらダンジョンも嫌じゃないのかな?」
転移装置で5階層へ移動したグレイのセリフだ。グレイは転移装置に入る際、恐る恐るといった感じなのにハインは楽しそうに一息に突っ込んでいく。双子の姉妹といっても性格は意外と違うのだろうか。
「出て行って欲しいんじゃないかな?ショートカット出来るのは絶対に負ける戦いを魔物達にさせたくないからとかかな。」
「そうなのかな。じゃあダンジョンは魔物想いなんだね。」
「そう、だね……」
魔物を倒しづらくなってしまうのではないかと心配したが、そんな事はなく、むしろいつも以上に熱心に倒していくグレイに安心するよりも心配してしまう。
「魔物想いだって言ってたけど魔物は倒しづらくない?大丈夫?」
「え?今日の魔物強いの?普通に昨日と同じくらい簡単に倒せるよ?」
「そ、そっか。すごいね……」
子供の考えが分からない。
困惑しつつも、烈火の獅子は順調にダンジョンを進んでいく。
ヴァルキュリアの皆ぐらいしか友達がいない私の考えがおかしいのかもしれない。
よく分からなくなってきた。そういう事にしておこう。
10階層までたどり着いた。どうにもレオンとレオナにはこっちの方が合っていたようで順調そうだ。グレイとハインも、剣よりも槍の方が動作が分かりやすいからかやりやすそうだった。
「順調だね。まだやれそうだけど今日は終わりにしようか。明日は10階層から15階層まで行ってみよう。その後は私が20階層まで連れていって試験は終わりかな。」
「「やったー!!」」
グレイとハインが無邪気に笑い、それを他の3人が優しい目で見ている。このパーティとずっといるとハーレムパーティというより家族のような雰囲気を感じる。
これからはあまりハーレムパーティと思わないようにしよう。
解散した後、一度ギルドに報告した方が良いかと思いギルドに向かうと受付嬢さんは疲れている様子だった。
「何かあったんですか?」
「捕まえて移送中だった山賊達が隙を突いて逃げ出したらしくて、王都や付近の森に潜伏している可能性があるんです。それで民衆へのアピールに騎士団が山賊達の捜索に出掛けたんですが、適当に森を散策して帰ってきただけでして。そのくせ冒険者達には騎士団が捜索するから余計な真似はしなくていいって言ってくるんです。おかげですっかり山賊達には逃げられました。酷くないですか?」
「それは、御愁傷様です。私もダンジョンに向かう時には気をつけます。」
「そういえば昇級試験でしたね。調子はどうですか?」
「今日は5階層から10階層まであっさり行ってくれたので明日は10階層から15階層まで行く予定です。その後、私が20階層まで無理矢理引っ張って、ダンジョンを出てから野営でもしようかと思っていましたが、危険ですかね?」
「それは大丈夫だと思いますよ。普段からダンジョン周辺で野営する冒険者は多いので山賊も狙ってこないでしょう。」
「そうなんですか。それは安心しました。ありがとうございます。」
「いえいえ、こういうアドバイスが私達の仕事みたいなものですから!」
そう言って受付嬢さんは胸を張った。
その後、レオンの事をどう思うかなど受付嬢さんが聞いてきたのでパーティの父親みたいだなと思いましたと言うと不満そうだった。恋愛感情的にどうだったか聞きたかったのかもしれないが、私にはよく分からないしそもそもレオンさんがいるのに横取りしようとは思わない。
宿に戻った後ボンちゃんに語りかけたが返事は無く、ただの杖に話しかけるやばい冒険者になってしまった。
「早く起きてよ、ボンちゃん」
今日はいつもより強く杖を抱いて眠った。
お読み頂きありがとうございました。




