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80にちめ

寝落ちしたりなんやりで遅くなりました。

今日は九十日目です。

 窓から入ってくる日光が眩しい。ベッドの上で伸びをすると木製のベッドの軋む音がうるさい。高い宿に行けばそれも変わるのだろうか。

 起きてからボンちゃんに声を掛けているが、返事がない。筋トレをしている様子も無いのでどうやら意識が無いようだ。

 ただ、前回みたいに焦ることは無い。


「どうせ筋トレの魔力切れで倒れただけだしほっといたら起きるでしょ。」


 私は一階に降りて女将さんに朝食をお願いした。数分待つと女将さんの娘がお盆に乗せて持ってきてくれた。とても良い子で私もついついチップを渡してしまう。嬉しそうに女将さんのもとへ駆けていく姿がとても可愛い。ベッドが微妙でもこの宿に泊まり続けている理由の大半が宿の人の良さとご飯が美味しいことだ。

 今日の朝食は柔らかいパンに卵スープ、それに腸詰め肉と豪勢だ。柔らかいパンは女将さんの手づくりで、卵や腸詰め肉はパンと交換でよそから貰ってきているらしい。

 甘さを感じるパンに、暖かいスープ、肉汁溢れる腸詰め肉、そのどれもがとても美味しい。この時間が私の至福の時だ。


 朝食を済ませ女将さんに御礼を言った後、私はギルドに向かった。

 ボンちゃんは返事をしないし使い物にならないが一応連れてきた。とりあえず私一人でも出来る依頼、C級以下の依頼にするつもりだ。

 C級以下の依頼なので掲示板を見ていると見知った顔を見つけた。


「今日はハーレムメンバーは一緒じゃないんですか?」


 烈火の獅子のリーダー、レオンだ。赤い髪は珍しく彼を見つけるのはとても簡単だ。

 振り返ったレオンは何故か嬉しそうだった。面倒ごとの予感だ。


「アイシアさん!ちょうど良かった。僕たち今度B級下位の昇格試験を受ける事になったんですよ!」


「へぇ。それはおめでとう。」


「そこでアイシアさんに監督役をお願い出来ないかと思ってたらちょうどやってきたんですよ!これはもう運命ですよね!」


「運命というより因縁かな……まあでも君に興味無い事を知ってくれているからかハーレムメンバーの子たちも私に優しくしてくれるし正直知り合いの方がやりやすいから良いよ。監督役やってあげる。」


「興味無いんですか、そうですか……でも!ありがとうございます!」


 そんなこんなで、私はギルドにB級上位への監督任務の申請と烈火の獅子の指名を行った。以前優遇してくれると言っていた通り私の要望はすぐに通った。

 ギルドの人にはあの大貴族のお抱え魔術師のような扱いを受けたがとんでもない誤解である。ユリアちゃんとは友達になったけど貴族のユリアちゃんの部下にはなっていない。私は公私を分ける人間なのだ。


 とりあえず今日はそれで解散した。ボンちゃんは起きないが軽く魔法を使用した際【威力増幅】や【自然魔力回復】などは問題なく使えているようなので明日から早速ダンジョン探索を行うことにした。最初は少しずつ登るのでめんどくさい階層に行くまでにはボンちゃんも眼を覚ますだろう。

お読み頂きありがとうございました。

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