70にちめ(八十日目)
0時が不定期更新になりつつある。
今日は80日目です。
ボンちゃんが、私の杖が壊れた。
私が一日中精霊にからかわれた時からボンちゃんの様子はおかしかった。突然叫び出したり、【筋トレ……】【筋トレ……】とぼそぼそとうわ言を言ったり明らかにおかしい。
街に戻ってガルムさんに見てもらわないと、そんな焦燥から私は王都を出て行こうとする乗り合い馬車や商人の馬車に声をかけた。数人に声をかけたところで街に向かう馬車で私を乗せても良いという人が居た。
街から来た商人らしく9歳の娘連れなのでB級の女性冒険者は歓迎だと彼はわざとらしく大きな声を出して歓迎してくれた。B級という言葉を聞いて私が声をかけた人達も驚き断ったことを後悔しだした。
B級の冒険者は少なく、その中でも付き合いやすい冒険者というのは更に少ない。そんな冒険者との友好のチャンスは一つの商売よりも価値のある場合もあるので彼らは後悔したのだろう。
では、何故彼が私がB級だと知っているのかというと彼の護衛を受けた冒険者が私の知り合いだったからだ。
「また会えて嬉しいよ、アイシアさん。」
「貴方のハーレムに睨まれたくないからあんまり近付かないで。」
赤い髪が特徴の男が中心のハーレムパーティ“烈火の獅子”、別名桃色ハーレムさんだ。
「というかC級パーティで強いし女性冒険者もいっぱいいるから私が居なくても良かったんじゃないですか?」
「いやね、彼女たちは私の娘に彼との自慢話ばかりして娘に悪影響を与えそうだったから娘とは話させていないんだ。だから君に頼みたい。」
「あー、なるほど……」
納得し、私は馬車に乗り込んで娘さんとあった。
【筋トレ……】しか喋らなかったボンちゃんが【金髪碧眼幼女だと!?】と喋っていた。なんかムカついたので杖を圧し折ろうとしたが【念力】で対抗してきて、【これもまた筋トレ】と元に戻ってしまったのでため息を吐いてしまう。
「あの、よろしくお願いします。」
「はい!こちらこそよろしくお願いします、お嬢様。」
馬車は王都を出発した。
馬車は何事もなく進んだ。今は野営の時間だ。お嬢様と一緒に料理をしている。というよりお嬢様の料理を私が手伝っている。なかなかに彼女の料理は上手なようで、出来上がる前からお腹が空いて唾液が勝手に出てくるようだ。
完成した料理は私や烈火の獅子にも振舞われた。特別凝った料理ではなかったが塩加減や焼き加減など細かいところにまで気を使ったのが分かる料理だった。
わいわいと料理を食べた。烈火の獅子もお嬢様の料理を褒め称えてお嬢様は頬を染めて照れていた。ボンちゃんがまた何か言っていたがどうせすぐに筋トレに戻るので放置した。
夜の闇が濃くなってきて私はお嬢様とテントで眠ることになった。元よりついでだったのとお嬢様を見ていて欲しいからという理由で見張りは烈火の獅子だけでする事になった。
彼らに感謝をしつつ私はお嬢様に寝物語を聞かせた。しばらくして眠ったお嬢様を見ながら、私もうつらうつらと眠くなってきてお嬢様の隣で眠りに落ちた。
お読みくださりありがとうございました。ボンちゃんが使い物にならないのでアイシア視点です。その為日数も十一日目から数えた日数になってます。




