二百六十九日目のステータス<1>
遅くなり申し訳ございません。またこれから出るのと、話が長くなるので分割して投稿することにしました。
続きは帰ってきてから書きます。
本日は月明かりの綺麗な夜だ。
日付を越えても俺は敵を探していた。昨日の違和感に似た感覚を探し続けた。けれど、見つからなかった。
もしかすると探し方が悪いのだろうか。
あぁ、そうだ。この敵はエネルギーを吸収するのだ。それならば力の流れる方向が分かれば良いのではないだろうか。
そう考えた俺は回復力を落とすように敢えて意識した。すると力が持っていかれる感覚をよりはっきりと感じた。
……近い?
そう感じた時には俺の身体は半分ほど無くなっていた。
「あぁ、まっじぃなぁ!」
「おい!」
「なに食ったらそんなに不味くなれんだよ!」
「魔力が美味えからって本体も美味いとは限らねえんだな!」
光を時々反射して明滅を繰り返す存在、そんな存在がなにかを咀嚼しながらこちらに文句を言ってきた。ぼんやりと認識できたそれはチャックか何かのようにたくさんの口を身体に縫い付けた上裸の鬼だった。
その口が口々に口を開けて喋っているのだ。おぞましい見た目だ。【硬化】している身体を簡単に食らうこいつは見た目通りの化け物だろう。
【念力】
俺は全力で叩き潰すつもりだった。けれど、【念力】は鬼の近くで分解されて吸収されてしまう。
「うめぇ!」
「あぁ、最高だ!」
「こいつ俺に攻撃しやがったのか!」
「そりゃいけねえ!」
「報復だ!」
そして口が何かを口々に呟くとそれぞれの口から特級以上と思われる様々な魔法が俺を殺そうと牙を剥いた。
【ナメるなぁ!!】
【念力】と【調和】でそれらを無効化すると同時に【怒りの一撃】を放った。
舐めた様子の鬼はまた吸収しようとするが失敗して瞠目した。回避しようとするがその距離で回避しきることは不可能であり身体に深い傷を刻み、右腕の肘から先を飛ばした。
「「「「ぐぅあああああああああ!」」」」
木霊する鬼の叫び。魔力ではダメだ。俺は【形態変化】で失った身体を増殖させながら人型を取りカンスト筋力で地面へと殴りつけて地面に埋め込んだ。
殴る瞬間、魔力が霧散して【形態変化】が解除されかけたが強引に持ち堪えた。
「ふひっ。」
「あははっ。」
「あひゃひゃひゃひゃ。」
死んだかと思えた鬼は地面から生えて嗤った。肉の上から肉がめりめりと生まれだして、最後には皮が覆って身体は再生していた。
「おいおい!」
「さてはてめえ喧嘩慣れしてねえな!」
「力だけは一端!」
「けど、使いこなせちゃいねぇ!」
「力ってのは!」
「「こうやって使うんだ!!」」
鬼の喋る手が動いた。そして、瞬きすらできないほどの速度で俺の身体が左右から一割ずつ無くなっていた。鬼はやっぱり不味いと文句を言いながら喋る手が咀嚼していた。ゆっくりと味わい、飲み込んでから鬼は話し始めた。
「俺は、」
「俺たちは」
「この空間の」
「管理者で」
「暴食にして」
「飢餓を司る」
「魔神だ。」
「てめえに本物の」
「力ってものを」
「見せてやる!」
鬼との戦闘が始まった。
ステータスが書いてないのは269日目が続くからです。




