表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
145/294

百四十一日目のステータス

今日は141日目です。

感想ありがとうございます。

 今日の天候は晴天。

 残念ながら今日は素敵な朝というわけにはいかない。A級冒険者チームに殴り込みに行くのに爽快な気分になどなれない。


「ボンちゃん、私、邪魔にならないように頑張るね。」


【あぁ、俺はアイシアと居たからここまで来れた。これからもずっと一緒だ。】


 アイシアと言葉を交わし、彼らのホームへと入った。

 ヴァルキュリアから彼女たちが知る限りの彼らの情報を教えてもらっていた。

 彼らはここ半年で急激に成長したチームで、メンバーのほとんどがゴロツキや山賊崩れの柄の悪い奴らだという。普段は好き放題やらかすが、リーダーの言い付けだけは何があっても破らない事で有名だという。

 リーダーの名前はガイルス・ブラッドリヒ、ゴロツキどもを率いてA級冒険者チームにまで昇格させた傑物だ。彼無しではこのチームはC級すら怪しい統率の無さだという。

 また、彼自身の強さも戦況を1人で変えるほどの実力と噂されている。


 ガイルスの手下に案内されてホームの中を通り抜けると、中庭に位置する場所に訓練場があった。流石、A級冒険者チームのホームだ。

 訓練場の中央にはガイルスが一人で立っていた。


「普通の冒険者なら怖気付(おじけづ)いて逃げ出してたが、なんとなく来るだろうなと思ってたぜ。」


「それはどうも。」


「んで、決闘っつうんだからタイマンだろ?お前らはどっちが戦うんだ?」


 ガイルスの発言にアイシアは驚いていた。俺も内心驚きを隠せない。


「何の話をしているの?」


「それだよ、それ。その杖にも感情があるだろう?その杖とお前で二人じゃねえか。」


 どういった方法かは分からないがガイルスは確かに俺を認識しているようだ。アイシア一人に戦わせるわけにはいかない、それなら俺が戦うしかないだろう。


 俺は【形態変化】で人型に変形した。俺たちを連れてきた男が驚く声やガイルスの感嘆の声が聞こえた。

 

「へぇ、久々に手強そうな相手だ。お前が戦うのか?」


【ああ、俺が戦おう。】


 人型に変形したので擬似声帯を震わせても良いが【念話】になれているので【念話】を使った。

 アイシアは何かを言おうとしたが、自分では勝てないと思ったのか俺を送り出してくれた。

 ガイルスは剣帯から右手で剣を抜いて構えた。装飾の一切ない、剣身のみのような見た目の無骨な剣だ。


「それじゃあ、やろうか。」


 予備動作を感じさせない踏み込みでガイルスが消えた。内側から【念力】を発動させ、外側へ放つと後方斜め右に圧力を感じた。力を込め勢い良く弾いた。


 速い。技能か身体能力か分からないが視覚的な能力ではガイルスを認識することは難しい。けれど、【念力】で対応可能な範囲か。


「変な能力してやがるな。」


 吹き飛ばしたガイルスは余裕の雰囲気でこちらを眺めていた。その余裕を歪めてやると意気込んで【念力】を放った。

 ガイルスは透明なはずの【念力】を簡単に回避していく。最高速度が負けているので【念力】でガイルスを捕まえられない。

 ニヤリとガイルスが笑った。


【見えてるって言いたいのか?】


「お前の能力が潰すという事情を発生する概念系の能力じゃなくて良かったぜ。俺は目が良いからよ、小さな埃の動きからお前のその技能の動きが手に取るように分かる。」


 それはもう目が良いなんてレベルじゃねえだろ。だが、ヒントを貰ったなら生かすしかない。

 俺は極小サイズの無数の【念力】でガイルスを攻撃した。


「甘いな。」


 ガイルスが剣を一閃すると俺の【念力】が崩壊した。魔力の繋がりを斬られた感覚がした。


「お前に俺は捉えられない。お前の負けだ。」


 ガイルスがその言葉を言い切るかどうかと言った時に俺は筋力値任せの自分でも認識できない超速移動でガイルスに接近し、広範囲を潰す【念話】を【技能貯蓄】によりノータイムで発動した。


 ガイルスは10mほど移動したようだが、べしゃりと潰れて真っ赤な血溜まりに変わっていた。服や剣は地面に埋め込まれたのか血溜まりと見分けがつかない。


【あの一瞬でそんなに逃げれるのかよ。化け物だな。】


 アイシアの元に戻ろうと振り返ったが、アイシアの様子がおかしかった。


「まだ死んでないわ!!」


【え?】


 俺の疑問が解決する前に結果がやってきていた。人型になった俺を潰れたはずの剣で粉微塵に切り裂いていた。


「いってぇな、このクソ野郎!」


 切り刻まれた俺はどろりと溶けて一塊になり、また再び人型に戻った。

 血溜まりになったはずのガイルスも衣服が黒いぴっちりとした戦闘服に変わっていたが、剣や見た目は元に戻っていた。


「やっぱてめえも不死身かよ。くそめんどくせえ。」


【お前は魔族なのか?】


「あぁ?魔族が珍しいのか?さてはお前、魔族堕ちだな?俺は正真正銘、生まれながらの魔族であり吸血鬼の真祖だ。」


 純正の魔族を見るのは初めてだ。

 これが魔族か。俺が言えた義理じゃないが、死なないなんて卑怯だろ。


「んで、どうするよ?俺は死なねえし、お前も死なねえ。俺は不死身同士で戦うような趣味はねえが、まだ戦うつもりか?」


【俺はお前を血溜まりに出来て、お前は俺を粉々に出来る。けれど、それで決着は付かない。】


「あぁ、そうだな。俺の剣は俺の体の一部だ、何度でも元に戻るし、お前が俺を全力で潰して蒸発させようが俺は生き返る、それが真祖だ。んで、お前は一体なんだ?どこでそんな力を手に入れやがった?」


【教えるつもりはない。だが、確かにこれ以上戦っても埒があかないのも確かだ。ヴァルキュリアの皆に手を出さないと約束するならここで終わっても良いがどうする?】


「そいつらなら既に処罰してこの世に居ねえ。お前が勝とうが負けようが手を出すつもりは無かったさ。そもそもが俺の留守に勝手しやがったクソ野郎なんて生かしておくわけねえだろ。」


【は?それならなんで決闘なんてしたんだ?】


「は?強い敵と戦いたいからに決まってんだろう。分かるだろ?」


【いや、分からねえよ。俺は戦闘狂じゃねえ。】


「戦闘狂じゃねえのにその戦闘力なんて信じられるかよ。はぁ、変な奴がいたもんだな。」


 空気が緩んでしまった。もうすっかり戦う気にならない。その後は少しだけガイルスと話をして、今度また会おうと向こうから勝手に約束を取り付けて解散した。


 アイシアはこの結果にとりあえず喜んでくれ、ヴァルキュリアに報告に行った。ヴァルキュリアの皆も喜んでくれた。またアイシアの帰還を何よりも喜んでくれた。


 俺は【ステータス】を確認した。


ステータス

---------------

名前:ボンちゃん

---------------

種族:ミスリル杖、低位魔神【異邦人】

---------------

性別:男

---------------

年齢:16

---------------

状態:強欲の眷属、筋肉魔神、

精霊鍛治師に鍛えられし杖、憤怒の眷属、

混乱【大】、

---------------

体力:0/0

魔力:5000/6000

筋力:100,000

知力:10

視力:10

聴力:10

運気:10

---------------

恩恵:【ステータス】、【精霊の祝福】

---------------

技能:【不死】、【魔力供給】、

【魔力自然回復<極>】、【念力】、

【怒りの一撃】、【威力増幅<極>】、

【並行射撃<Ⅴ>】、【対魔】、

【硬化】、【念話】、

【筋肉魔神】、【限界突破】、

【気絶耐性<特>】、【欲求変換】、

【疲労無効】、【形態変化】、

【魔力二倍】、【技能貯蔵】、

【調和】、【状態異常固定】

---------------


---------------

名前:アイシア・ボーンヘッジ

---------------

種族:人族

---------------

性別:女

---------------

年齢:17

---------------

状態:健康、精霊との友好

---------------

体力:10/10

魔力:190+5000/190

筋力:6

知力:50

視力:10

聴力:50

運気:50

---------------

恩恵:【魔法技能】、【精霊の祝福】

---------------

技能:【火<大>】、【水<特>】、

【風<中>】、【土<小>】、

【精霊視】、【魔力消費減<特>】、

【精霊同調】

---------------

お読み頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ