1ニチメ
今日は115日目です。
「1ニチメ」と「115日目」の二話です。そんなに長くないです。
また、総合評価1500pt突破しました。ありがとうございます。
私の前には沢山の魔物がいた。
魔物はオーガと呼ばれる魔物で、単体でもC級冒険者パーティでの討伐を推奨される魔物だ。それが8頭もいた。
護衛の臨時パーティとして集まったメンバーは皆逃げ出した。私と商人、それと馬車だけが残されてしまった。
孤児院から独り立ちして初めての依頼で死ぬなんて、妹たちに合わせる顔がないわ。そう思うと、ただ諦めるなんて嫌で私はなけなしの魔力で魔法を発動した。けれど、それは集中力が全く足りておらずいつも以上に小さな球となってオーガのお腹でぱちりと弾けて消えた。
オーガたちは怒るわけでもなく、ただニヤニヤと笑ってゆっくりと迫ってくる。
「ははっ、もうどうせ助からないんです。貴方も逃げてもらっても構いませんよ。」
「そんな事する訳ないじゃない!私は護衛を見捨てるようなクズには死んでもならないわ!」
護衛の商人さんが虚ろな目でそんな事を言うが、そんな事をしたらそれこそ孤児院の皆に合わせる顔がない。私は立派な冒険者になると誓って孤児院を出たのだ。最初くらい、最後くらい、ちゃんと冒険者をするんだ。
私はそう意気込んで魔法を打ち続けた。けど、それももう弾切れだ。
「こんな時じゃなければ素敵な出会いに感謝していましたよ。いつか商会を持とうと思っていたんです。」
「きっと出来るわよ。」
肩で息をしていた。そんなのただの強がりだ。
「そうですね、その時は貴方の顧問商会になりますよ。」
「それは贅沢ね。」
そんな未来はきっとやってこない。私はここで終わりなのだ。
そう諦めかけた時、目の前のオーガたちが山に押し潰されるみたいに一気に潰れて真っ赤な池になった。
魔力を感じた。振り返るとそこには芸術品のように鮮やかな杖を持った一人の綺麗な女性がいた。
それが、私と彼女との出会いだった。