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百十二日目のステータス

遅れてしまったすみません。

今日は112日目です。

ブクマ、評価を頂きありがとうございます。

 本日の天候は晴天。

 2つ目の町は早々に出発していた。今は既に馬車の旅の途中だ。【技能貯蓄】にためた【念力】を使って快速で進んでいる。暫く進んで日が沈みかけた頃に3つ目の町へ到着した。


「ふぁぁ、やっと到着したね。」


【朝からずっと飛ばしてたのに遠かったな。それにしてもやっぱり広かったんだな。】


「そうだね、辺り一面平原だったね。」


 俺たちは半日かけて懐かしの無限平原を横断していた。半日かけるこのルートが無限平原を抜ける最短ルートだときき、無限平原の名は伊達じゃないなと俺は驚愕した。その上、本当かどうか分からないが無限平原は星の果てまで続いていると言われているので無限平原と名付けられたそうだ。かつての俺が死んだのも納得の広さだ。


 そんなこんなでだだっ広い平原で目が暇をしていた俺たちは町を見つけるなり何の警戒もせず入っていってしまった。

 町の雰囲気がおかしい事に気付いたのはもう随分町の中央まで来てしまってからだった。全員が黒衣をまとって身体を隠しているのだ。そういう文化なのだろうか。


 鐘の音が鳴った。

 大きな重低音で身体の芯に響くような音だった。


 ガタンッと全ての家の扉が一斉に開いた。ばたばたと早足で町人はどこかへと向かっていく。俺たちは今すぐこの町を離れるべきだったのかもしれないがどうにも気になってしまって町人の後をついていった。


 辿り着いた先には見上げるほどの高さの真っ白な祭壇がそびえ立っていた。

 その祭壇で片脚の骸骨が町人へ語りかけていた。


【我は異界の門より召喚された魔神である。我が偉業をその目に焼き付けよ!】


 骸骨が両手を空へと向けると雨のようにいくつもの雷が天へと向かって登っていった。町人は皆、その光景をありがたそうに拝んでいた。


【魔法じゃねえか!】


 どう見ても魔法である。ただ、その規模は非常に大きく骸骨の魔法の実力は異常だ。

 それにほぼ間違いなく【念話】で話している。


「ねぇボンちゃん、もしかしてあの骸骨って……」


「おや、新しい信徒の方でしょうか?」


 祭壇横から声が聞こえた。そこには初老の男性がいた。他の町と同じなら彼がこの町の町長なのだろうが、町長よりも宗教の始祖といった雰囲気が強い。

 彼の声に反応して町人たちが一斉にこちらを見た。そのあまりに揃った動きは狂気じみていて恐怖を感じさせた。


【……おや?……おやおや?召喚者殿よ、どうやら私の召喚に使った触媒の片割れがそこにいるようですぞ!】


「おお!それはなんという僥倖か!」


 おかしな話の流れになってきた。

 普通に考えると意味が分からない、けれどその可能性に思い当たるとそうとしか考えられない事実に行き詰まった。


「その骸骨はボンちゃんの骨なの?」


【あぁ、どうにもそうらしい。】


 そうだ、あの骨はアイシアに持っていかれなかった残りの俺の骨だ。自我を含めた力のほとんどは俺に残っているがあの骨にはあの骨にしかない利点があったのだ。


「ボンちゃん、というのは異界の人間の名ですかな?如何にもその通り!彼は異界の門を開くための唯一無二の触媒となりうる存在だったのです。打ち捨てられた洞窟の中で見つけた彼の身体は私にはどんな宝石よりも輝いて見えましたとも!」


 町長、もとい宗教家はそう豪語した。

 異界の人間の骨という切り離す事の出来ない事実がこの場合では最も重要な事実だったようだ。

 そんな事を考えている内に骸骨が目の前にいた。俺は【技能貯蓄】に入れていた最大出力の【念力】をノータイムで発動するが、骸骨に傷を与えるどころか動きを止めることすら出来ず骸骨の前に霧散した。骸骨は俺に触れた。


 ……


【☆♪→×#°¥】


 何かが聞こえる。これは俺の声か?


【☆♪→€°€##】


 どこからか聞こえる。俺の中から聴こえている気がする。


【☆♪・¥$÷%°#☆♪→¥$÷%°#】


 誰かに呼ばれている気がする。誰だ、誰だったか。


「……ボンちゃん!ボンちゃん!!」


 俺は奪われかけていた意識を取り戻した。俺はアイシアの杖のボンちゃんだ。

 骸骨が空っぽの瞳でこちらを睨みつけている。


【寄越せ!寄越せ!寄越せ!お前を吸収すれば我は完成する!寄越せ!お前を寄越せ!】


 異界の人間という記号が重要だったように、欠けた存在という記号は彼にとってとても重要な記号で、許し難い状況のようだ。俺を手に入れる為ならなんでもするといった様子で骸骨が狂ったように暴れ出し、こちらに再度掴みかかってきた。アイシアが魔法で弾き飛ばそうとするが咄嗟に骸骨を守るように統率されて動く町民に魔法を戸惑ってしまい、俺は再び骸骨と意識が接続する。


【ははっ、お前は俺が欲しいのか?】


 けれど、今は先程よりも意識がはっきりとしている。その証拠に魔神へ向けて軽口を叩ける。


【つべこべ言わず寄越せ!全てを寄越せ!今すぐ寄越せ!寄越せ!寄越せ!寄越せ!】


 大きな魔力の奔流が俺を襲う。その力と想いがこれ以上ない程高まったタイミングで俺は【欲求変換】を発動した。


 俺と同化しようと接続している今ならば、俺と元を同じくする身体ならば、この場面だけは俺の【欲求変換】はこの魔神の欲望さえも対象にする、そう俺は確信した。


【あがっ!オォッ!オォオオオオオ!!】


 魔神の絶叫が響く。

 俺を求める欲望が全て俺の筋力値へと変わっていく。魔神の存在の根底にある俺の身体という触媒への欲望までもが消え失せこの世界に留まる事が出来なくなっている。言うなれば未練を無くして天国へ成仏する幽霊のような状況に陥っている。


 そして、全ての欲望を吸い出された魔神は消えた。

 その一瞬だけこの町の全員が放心状態のような空白の時間になっていた。


「ボンちゃん!逃げるよ!!」


 その隙を見逃(みのが)さずにアイシアは俺を魂の抜けた骸骨から引き剥がして町から逃げ出した。

 取り残された町長は町民に俺を追うように命令するが馬車に間に合った俺たちに追いつく事は出来ない。馬車を走らせて町の姿が見えなくなるまで【技能貯蓄】に溜めておいた非常時用の限界ギリギリの速度で逃走した。


 日は完全に落ち、すっかり夜になっていた。

 通常の速度で馬車を走らせる。今日は馬車で夜を明かす事になるだろう。


 俺は【ステータス】を確認した。


ステータス

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名前:ボンちゃん

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種族:ミスリル杖、低位魔神【異邦人】

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性別:男

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年齢:16

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状態:強欲の眷属、筋肉魔神、

精霊鍛治師に鍛えられし杖、憤怒の眷属

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体力:0/0

魔力:3020/3020

筋力:100,000

知力:10

視力:10

聴力:10

運気:10

---------------

恩恵:【ステータス】、【精霊の祝福】

---------------

技能:【不死】、【魔力供給】、

【魔力自然回復<極>】、【念力】、

【怒りの一撃】、【威力増幅<極>】、

【並行射撃<Ⅴ>】、【対魔】、

【硬化】、【念話】、

【筋肉魔神】、【限界突破】、

【気絶耐性<特>】、【欲求変換】、

【疲労無効】、【形態変化】、

【魔力二倍】、【技能貯蔵】

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名前:アイシア・ボーンヘッジ

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種族:人族

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性別:女

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年齢:17

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状態:健康、精霊との友好

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体力:10/10

魔力:171+3020/171

筋力:6

知力:50

視力:10

聴力:50

運気:50

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恩恵:【魔法技能】、【精霊の祝福】

---------------

技能:【火<大>】、【水<特>】、

【風<中>】、【土<小>】、

【精霊視】、【魔力消費減<特>】、

【精霊同調】

---------------

お読み頂きありがとうございました。

田舎に帰ってのんびりすると言っていたはずが恐るべきインフレが起こってしまいました。


今回の話はなかなか書き終える事が出来ず魔神と一緒に発狂しながら作成してました。

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