百十日目のステータス
今日は110日目です。短めです。
ブクマ、評価、感想などありがとうございます。
本日の天候は雨天。
馬車の中で朝食を食べ終えたアイシアは御者席に座っていた。アイシアに落ちてくるはずの雨はアイシアの周りを囲う水の膜に吸い込まれて地面へと流れていく。水の膜は上から下へ激流のような速さで流れ続け、一本のラインを通ってまた上へと汲み上げられている。
【随分、魔法の扱いが上手くなったんじゃないか?】
「そんな、こと、ないよ。集中力が、足りない、のか、喋ることは、出来ても、動けないもん。」
余程神経を使う魔法なのか口を動かすのにも苦労している様子だ。魔法制御の良い訓練になるだろう。集中したいだろうが、そんな魔力の流れを感じてか昨日は見なかった魔物の姿を今日は何度か見ている。
今もこちらに近付いてくる猪のような四足歩行の魔物の姿が見える。二足歩行のオークではない。
今まではとりあえず俺が倒していたがアイシアにも倒させた方が良いだろう。
【あいつはアイシアが倒してくれ。】
「えっ、ちょっ、ちょっ、ちょっと、待って。」
慌てないように慌てるという器用な事をしながらアイシアは魔法を組み立てていた。そして小さなかまいたちのような風属性魔法で猪のような魔物を真っ二つにしていた。
【おお、お見事!】
褒め言葉が届いたのか届いていないのか、アイシアは御者席から馬車の中へ乗り込んできた。
ズンズンとこちらに詰め寄ってきてパッと俺を握ったかと思うと御者席の方へ思いきり投げた。御者席を越えて大きく外へと飛んでいったが、地面に着く前に念力で地面を叩いて馬車の中へ戻った。
【へぶっ!!】
そう思っていたのだが、馬車の制御が外れていて思ったより進んでおらず御者席に勢い良くぶつかってしまった。
「反省しましたか?」
御者席に横たわる杖を掴んでアイシアはきっと眼を鋭くさせ頑張って睨みつけていた。
【反省しました。無茶振りはもうしません。】
「ならば、よろしい。許してしんぜよう。」
【ははぁ、ありがたき幸せ。】
この茶番にアイシアは少し笑っていた。俺も少し笑った。
茶番を終えて、ダラダラと馬車を進ませていると小さな町にたどり着いた。馬の無い馬車に幽霊が出たと町の中に叫んで入っていこうとする衛兵さんを【念力】でなんとか抑えてアイシアに事情を説明してもらった。
設定ではアイシアが魔法で動かしている魔法の馬車ということにして貰っている。
それを告げると衛兵さんはありがたそうに拝んで町長さんに教えてくると言って結局町の中に駆けていった。
「行っちゃったね……大丈夫かな。」
町の中から駆けてきた町長さんはアイシアを盛大にもてなそうとしている。断るのも申し訳なくアイシアは歓待された。
歓待といってもユリアの屋敷で食べた食事の方がお金もかかっていて味も美味しかったが、小さな町で食べられる最大の贅沢だと思える食事だった。
町の皆も集まって祭りのような食事になった。
「なんでこんなに歓待してくださるのでしょうか?」
「北部前線にはこの町からも何人か出兵していたのですよ。それが今回停戦で帰ってこれると手紙が届いたのです。そして、そのタイミングで北部から凄腕の魔法使い様がこの町にやってきたのです。きっと貴女様が頑張ってくれたことも停戦の理由の一つだと思い、ぜひ持て成そうと思ったのです。それにですね、別に関係なくても良かったんです。こんな小さな町に訪れた一時の幸せを祝って皆で平和を味わいたかったんですよ。」
町長さんはそう言って酒を呑んだ。顔を赤くして町民たちの方へと千鳥足で向かって大いに騒いでいた。
アイシアの前には何人も町民が現れて話を求めたので、北部前線の英雄を倒した猫ちゃんの話をしてあげていた。
そうして、初めての町では楽しい夜を過ごした。
俺は【ステータス】を確認した。
ステータス
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名前:ボンちゃん
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種族:ミスリル杖、高位魔族【異邦人】
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性別:男
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年齢:16
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状態:強欲の眷属、筋肉の限界を超えし者、
精霊鍛治師に鍛えられし杖、憤怒の眷属
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体力:0/0
魔力:3020/3020
筋力:1050
知力:10
視力:10
聴力:10
運気:10
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恩恵:【ステータス】、【精霊の祝福】
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技能:【不死】、【魔力供給】、
【魔力自然回復<極>】、【念力】、
【怒りの一撃】、【威力増幅<極>】、
【並行射撃<Ⅴ>】、【対魔】、
【硬化】、【念話】、
【筋力三倍】、【限界突破】、
【気絶耐性<特>】、【欲求変換】、
【疲労無効】、【形態変化】、
【魔力二倍】、【技能貯蔵】
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名前:アイシア・ボーンヘッジ
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種族:人族
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性別:女
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年齢:17
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状態:健康、精霊との友好
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体力:10/10
魔力:171+3020/171
筋力:6
知力:50
視力:10
聴力:50
運気:50
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恩恵:【魔法技能】、【精霊の祝福】
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技能:【火<大>】、【水<特>】、
【風<中>】、【土<小>】、
【精霊視】、【魔力消費減<特>】、
【精霊同調】
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お読み頂きありがとうございました。