百二日目のステータス
今日は102日目です。
今日の天候は雨天。
あまり眠れなかったようでアイシアは早朝から魔法の訓練をしていた。
落下してくる雨を魔力で自分の支配下に置き、貯めていく。少しずつ大きくなり、小さな家なら丸呑みにするほどの水溜りが宙に浮いていた。アイシアは苦しそうな顔だが、水溜りの成長し続ける。
そして、二階建ての屋敷の天井よりも高くなった頃に集中が切れたのか水溜りが弾けた。俺は咄嗟に【念力】で水を屋敷の外へ向かって押し流していた。
「アイシア、随分と無茶をするのだな。君に客が来ている。屋敷の応接室で待たせているので付いてきてくれ。私たちにとっても大事な客だ。」
エマさんはそう言ってさっさと屋敷へ入っていった。慌ててアイシアも追いかけていく。
応接室でよく見知った顔を見た。
ドワーフのガルムさんが高級そうな椅子に座っていた。何故こんなところにいるのだろうか。
そして、彼の膝の上には尻尾だけが黒い灰色の猫が寛いでいた。何故彼と一緒にいるのだろうか。
「シャルに聞いたがどうにもボロ負けだったらしいな。」
猫の名前はシャルというのか。
シャルは優雅に毛繕いをしている。
アイシアは昨日の戦いを俺の事をボカしながら伝えた。ガルムは知っているが応接室には他の者がいるので配慮してくれたのだろう。
だが、そのせいか少し話が長くなってしまっていたかもしれない。痺れを切らしたシャルが
「長いニャア!要件だけ簡潔にだニャ!ニャアがニャアを特訓してやるから、棒切れは御主人様と遊んでろニャア!」
と叫んだ。器用に立ち上がってアイシアを指差す姿はどこか微笑ましい。
「まぁ、そういう事だ。アイシアはまだ強くなれる。それにこの杖はまだまだ強化する余地がある。だからまあお前らはこれからだ。」
ガルムさんが励ましてくれた。
その後、ガルムさんはシャルの事やここにいる理由を教えてくれた。ここには前線への武器を作りに来てくれたようで、シャルは鉱山で餓死しそうになっていたところを救い飯を与えたところ懐かれたのだという。
ガルムさんは街を離れないと思っていた。ガルムさん曰く、
「鉱山はドワーフの魂だ。その魂を守る為に戦ってくれているのに俺らが知らんぷりはできねえよ。」
それで前線にやってきたらしい。同じような理由でやってきたドワーフたちは多く、そのおかげで前線が保たれている。
また、シャルのおかげで敵の重要注意人物は敵国の僻地へ吹き飛んだ為、再び前線が活性化するまでに少なくとも3日は大丈夫だろうとの事だ。
「早速行くニャア!ニャアの訓練は半端にゃいニャア!」
そう言ってアイシアを連れてシャルはどこかへ消えた。
「儂もそろそろ帰りますわい。武器を納めるくらいしか出来んけども、頑張らせてもらいます。」
そう言って俺とガルムさんもユーフラテス家の屋敷を後にした。そうして俺とガルムさんは鉱山付近にある鍛冶場に居た。
鍛冶場には炉に火がくべられ、ドワーフたちが各々の魂を込めた武器を作っていた。ぶわりと熱気が舞い、滴る汗は地面に落ちる前に蒸発して消える。陽炎で部屋が歪んで見える。
「儂はあの頃よりも随分と腕を上げた。無茶な注文でもこなせるだろう。だからな、明日の朝お前さんの要望を聞いてやるから今日はよく考えてみろ。」
ガルムさんが俺を作業台に乗せてそう言った。
ここにいるドワーフ全員が強力な火耐性持ちであろう事は察せられた。帰ってきたガルムさんに向ける他のドワーフたちの尊敬する視線でガルムさんがドワーフの中でも優秀なドワーフだと確信出来る。
【あぁ、分かった。ありがとう。】
俺は自分の今後について考える事にした。
俺は【ステータス】を確認した。
ステータス
---------------
名前:ボンちゃん
---------------
種族:杖、高位魔族【異邦人】
---------------
性別:男
---------------
年齢:16
---------------
状態:強欲の眷属、筋肉の限界を超えし者、
名工に鍛えられし杖、憤怒の眷属
---------------
体力:0/0
魔力:1210/1210
筋力:708
知力:10
視力:10
聴力:10
運気:10
---------------
恩恵:【ステータス】
---------------
技能:【不死】、【魔力供給】、
【魔力自然回復<特>】、【念力】、
【怒りの一撃】、【威力増幅<特>】、
【並行射撃<Ⅲ>】、【対魔】、
【硬化】、【念話】、
【筋力三倍】、【限界突破】、
【気絶耐性<特>】、【欲求変換】、
【疲労無効】、【形態変化】
---------------
お読み頂きありがとうございました。
ブクマ・感想・評価などして頂けると嬉しいです。
今回は話の継ぎ目の回になり、悩みながら書いていました。