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百一日目のステータス

数分遅れました、ごめんなさい!

今日は百一日目です。

後ポイントが1000到達しました。ありがとうございます。

 今日の天候は晴天。

 今朝のアイシアは騒々しい声で目覚めさせられた。素早く着替えて何事があったのか確認に行くと、前線が活性化したとのことだ。

 恐らく竜の着陸を見られていたか、密偵が潜んでいた事でこちらの総大将の到着が敵国へ伝わったからだと思われる。準備が整う前に総大将を討とうという考えだろう。そうなってしまえば、こちらの面子は丸潰れで士気も底まで落ち、向こうは士気を大いに上げて略奪に来るだろう。

 恐らく前線は陽動で、敵の怪物級の存在が潜伏している部隊がこちらのどこかに近づいてきている事だろう。ユリアもそう考えているのか精鋭に付近の捜索を行わせている。


 甲高い笛の音が聞こえた。敵発見の合図だ。

 続いて敵潜伏部隊発見の報告がされた。

 そして、別の場所から甲高い笛の音が鳴った。続くように複数箇所、計7回、笛の音が鳴った。


「多過ぎる。敵はどれだけの規模で来ている!」


「それが、敵部隊は各自一人で行動している模様。発見され次第、逃走するばかりで戦意が見えません!」


「まさか、(くだん)の怪物は一人で攻め込むつもりか。ええい!どこだ、奴はどこから来るつもりだ。」


 ユリアはだんだんと痺れを切らしてきているようだ。イラつくユリアを嘲笑うかのように再び笛が鳴った。恐らくこれも外れだろう。これでは鬼ごっこでもしているようだ。


「何か音が、聴こえる?……ボンちゃん!上!上から来てる!」


 アイシアの感覚は俺よりも鋭くいち早く気付いたようだ。上へ意識を向けると何かが物凄い速度でユリアの元へ自然落下してきていた。


 いつの時代の特攻兵だ!ただの自殺じゃねえか!


 俺は【念力】で弾き返そうとするが早過ぎて捉えられず、かといって待ち構えた【念力】はこの速度ではぶち破られてしまう。

 命知らずの馬鹿を止めるのは諦め、ユリアとアイシアを俺ごと念力で動かして落下地点から遠ざけた。


 ドン、と大きな地鳴りが鳴った。人のぶつかった音とは思えない大きな硬い音だった。

 砂煙が舞う中、人間のシルエットが立ち上がった。


 嘘だろ!あれで生きてるなんて人間じゃねえ!


「はっはっはっ!逃げられてしまったか!小娘!貴様が総大将だな!御命頂戴致す!」


 豪快な声で豪快な物言いをする豪快な男だ。

 こちらへ向かって猛スピードで突進してくる怪物に今度こそ全力の【念力】をぶつける。

 だが、男は【念力】が見えているように(かわ)した。


「これは!そうか!先程の攻撃や回避は君のその杖か!ならば君から殺そう!」


 見えている。間違いなく見えている。こいつは魔眼持ちだ。その上、この動きから馬鹿みたいなステータスの高さだと考えられる。

【念力】頼みの俺にはきついか。いや、負けるわけにはいかない。


【アイシア、時間を稼ぐ。魔法の用意を!】


「分かったわ。」


 突進してくる怪物に対して俺は球形の【念力】を大きくしていくように発動した。

 逃げ場の無い全方位へ向けての全力の【念力】だ。怪物を弾き飛ばす事には成功したが、奴は【念力】を見て自分から弾かれにいったせいでダメージは与えられていない。

 時間稼ぎにはなってもやはり掴み上げて潰さないと致命傷は与えられない。


 水属性<特>魔法・渇水


 俺を介して発動した渇水は以前の蛇の姿とは比べものにならない程大きい。その姿はもはや東洋の竜のようだ。竜は羽も生えていないというのに恐るべき速さで突進し、怪物を飲み込んだ。


「やった!!」


「おお!やったか!」


 アイシアとユリアが、そして集まってきた周囲の兵士も歓声をあげた。


「こんなものは!俺には!効かん!」


 しかし、怪物は生物から水を奪うはずの渇水を中から弾き飛ばした。怪物は無傷だった。

 怪物は怒りの表情を浮かべ、こちらへ突進してくる。周りの兵士は魔法を放つが気にも留めない。


 やばい。動揺で上手く【念力】が使いこなせない。

 力の出せなかった【念力】は怪物にいとも容易く破られた。後数歩踏み込めばこちらがやられる。


 そんな時、俺の横を何かが横切った。

 黒い鞭が怪物を打ち付けると怪物は天高く舞い、前線まで、もしくは敵国まで飛んで行ってしまった。


「ホームランだニャア!!」


 呑気な声だった。

 一匹の猫が居た。煤被りの灰色で、毛並みの綺麗な猫だった。尻尾だけが黒く染まっている。黒い鞭だと思ったそれは猫の尻尾だった。


「ニャーハッハッー!気分爽快だニャア!」


 というか猫が喋っている。

 アイシアもユリアも俺も、この場にいる皆の視線は一匹の猫に吸い寄せられていた。

 猫はその事にようやく気付き、丸まった。


「ニャア!!そんなに見るなニャア!!さ、さらばだニャア!!」


 猫はそう言って跳躍して姿を消した。


 逃げた……

 取り残された俺たちはただ呆然としていた。


 敵が撤退し、前線での小競り合いが収束したとの報告にやってきた兵士により俺たちは正気を取り戻し平常に戻った。兵士達も上官の指示に従い撤退しているようだ。けれど、皆どこか落ち着かない様子だ。


「ねぇ、ボンちゃん。あの猫ってきっと魔族だよね。」


【間違いないだろうな。味方、なんだよな?】


「多分ね……強かったね。」


【あぁ、敵の男も、あの猫も強かった。あの猫がいなかったら……】


 そこから先はもう何を言っていたかおぼろげだ。ただ脱力感と無力感だけが俺を支配していた。


 俺は【ステータス】を確認した。


ステータス

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名前:ボンちゃん

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種族:杖、高位魔族【異邦人】

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性別:男

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年齢:16

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状態:強欲の眷属、筋肉の限界を超えし者、

名工に鍛えられし杖、憤怒の眷属

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体力:0/0

魔力:700/1210

筋力:696

知力:10

視力:10

聴力:10

運気:10

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恩恵:【ステータス】

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技能:【不死】、【魔力供給】、

【魔力自然回復<特>】、【念力】、

【怒りの一撃】、【威力増幅<特>】、

【並行射撃<Ⅲ>】、【対魔】、

【硬化】、【念話】、

【筋力三倍】、【限界突破】、

【気絶耐性<特>】、【欲求変換】、

【疲労無効】、【形態変化】

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名前:アイシア・ボーンヘッジ

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種族:人族

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性別:女

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年齢:17

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状態:健康、精霊との友好

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体力:10/10

魔力:161+700/161

筋力:6

知力:50

視力:10

聴力:50

運気:50

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恩恵:【魔法技能】、【精霊の祝福】

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技能:【火<大>】、【水<特>】、

【風<中>】、【土<小>】、

【精霊視】、【魔力消費減<大>】

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お読み頂きありがとうございます。猫可愛い。

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