百日目のステータス
今日は100日目です。感慨深いです。
また、累計10万pv突破しました。これもひとえに皆様のおかげです。ありがとうございます。また、ブクマ、評価、感想もありがとうございます。
本日の天候は晴天。
今日は戦場に赴き、分家の皆様とユリアの顔合わせだ。敬称を付けるべきはユリアの方な気もするが今更だろう。
ずらりと整列した分家筋の臣下に俺とアイシアは後ずさりしてしまうが、ユリアちゃんは全く動じず彼らの前に立った。彼らからの視線を受け止めるその姿は確かに貴族をまとめる大貴族の姿だった。やっぱり公的な場ではしっかりとユリア様と呼ばせよう。
「皆、この地を守り続けてくれて御苦労だった。総指揮権は私に移るが基本的にはこれまで通り分家当主に指揮を行ってもらう。良いな。」
「はっ、誠心誠意務めさせて頂きます。」
「よし。それから私の護衛については問題無い。ここにいるアイシアに任せるのでエマにはお前たちと共に戦場を任せる。」
その一言で歓声が上がった。本家でも有名な騎士であるエマが参戦してくれると聞けばそれも当然だろう。だが、その中で一人の若い男が手を挙げていた。
「ユリア様!その女にユリア様の護衛が務まるとは思えません!どうか私にユリア様の護衛をお任せください!」
「それは、主家の言葉に逆らうという事か?」
流石にこの場面でそんな事を言うやつがいるとは思わず驚いたが、ユリアは冷静に対応している。いや、少し怒っているようだ。眉間にシワが刻まれている。
「ユリア様相手に謀反を起こす気はございません。ですがっ!戦うのは私たち、そして部下たちなのです。どこの馬の骨とも知らぬ相手にユリア様を任せられるほど私は図太く生きていません!その役目私にやらせてください!」
「話にならんな。何故私が強い者を廃して敢えて弱い者を側に置かねばならん。」
そうだぞ、残念だったな。それに俺は馬の骨じゃなくて人の骨だ。
「それは私がその女に劣るということですか!」
「口に気をつけろ。アイシアを侮辱することは許さん。それにな、話にならんと言ったのだ。劣るなどという話ではない。」
ユリアがこちらをちらと見た。まあそういう事だろう。
俺は優しく【念力】を発動してやった。筋力値で100も出していない程度だが、立つのもままならないようで地面に縫い付けられている。
男は悔しげにこちらを下から睨みつけてくるが身動きは出来ない。自然とこちらはそれを見下す構図になる。周りの分家の者たちはその様子にアイシアを見直しているようだ。主家に逆らう気はなくとも少なからずアイシアの実力を疑問視していたのだろう。
そういう意味では彼は良い道化をしてくれた。
「分かるな。これが現実だ。私の側にはアイシアがいるから問題ない。そう理解してくれ。」
「はい……分かりました。」
【念力】を解除すると男はとぼとぼと去っていった。合わす顔が無いのだろう。
その後、これといった問題はなく顔合わせが終了した。ユリアやエマ、分家の当主様に謝られてアイシアは気まずそうだ。イザベラがそれを察して早々にアイシアを部屋へ帰してくれた。
人の多さや【念力】で抑えていた時に向けられた敵意に心がざわつくのか余り眠れない様子だったが、暫くするとアイシアは眠りについた。
俺は【ステータス】を確認した。
ステータス
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名前:ボンちゃん
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種族:杖、高位魔族【異邦人】
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性別:男
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年齢:16
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状態:強欲の眷属、筋肉の限界を超えし者、
名工に鍛えられし杖、憤怒の眷属
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体力:0/0
魔力:1210/1210
筋力:684
知力:10
視力:10
聴力:10
運気:10
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恩恵:【ステータス】
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技能:【不死】、【魔力供給】、
【魔力自然回復<特>】、【念力】、
【怒りの一撃】、【威力増幅<特>】、
【並行射撃<Ⅲ>】、【対魔】、
【硬化】、【念話】、
【筋力三倍】、【限界突破】、
【気絶耐性<特>】、【欲求変換】、
【疲労無効】、【形態変化】
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名前:アイシア・ボーンヘッジ
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種族:人族
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性別:女
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年齢:17
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状態:健康、精霊との友好
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体力:10/10
魔力:161+1210/161
筋力:6
知力:50
視力:10
聴力:50
運気:50
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恩恵:【魔法技能】、【精霊の祝福】
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技能:【火<大>】、【水<特>】、
【風<中>】、【土<小>】、
【精霊視】、【魔力消費減<大>】
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【あ?】
【ああああああああ!!!!!!】
俺は焦りのままに【念話】で大声を上げていた。次いで【念力】でアイシアを揺らす。何度も何度も揺らす。暫く揺らしてやっとアイシアは起きた。
やっと眠れたと思ったらすぐに起こされるのでとても眠そうだったが、俺の様子が異常なことに気付きすっかり目が覚めたようだった。
【アイシア起きろ!起きてくれ!時間が無い!!】
「どうしたの?もしかしてすぐ近くに敵が潜伏してる?」
【違う!そうじゃない!なんでこんな大事なことを言わないんだ!!】
「ごめんなさい、何の事か全く分からないわ。大事な報告を忘れていたなら今からでもユリアのところに行きましょう。」
真剣な声色で問い詰めるがアイシアは困惑するばかりだ。
【おい、嘘だろ……分からないっていうのか。自分のことだろ?もしかして今がいつか分からないのか?】
「どういうこと?」
アイシアは本当に分かっていない様子だ。見当もつかない様子に俺の方が間違っている気がしてくる。
けれど、そんな事は無いはずだ。
だからこそ俺はその事実を確認する為に答えを告げた。
【アイシア、今日はアイシアの誕生日だったんだろう?】
「え?」
【え?】
アイシアが間の抜けた返事をした。そして、俺は戸惑って同じ返しをしてしまう。
もしかして違ったのか?いや、ステータスの年齢は上がっているから間違いないはずだ。
「あはっ、あはははっ。すっごい焦ってるから何事かと思ったら私の誕生日で焦ってたの。ふふっ、なにそれ。おっかしい。」
【お、おかしくない!大事なことだろ!】
「うん、そうだね、大事な事だね。……ふふっ、あははっ、あははははっ。」
【あーもう!笑いすぎだバカ!】
アイシアは暫く笑い続けた。俺もバカらしくなってアイシアが笑うのを辞めるまで黙って待った。決して恥ずかしさから目を逸らした訳じゃない。
「ごめんごめん。でもおかしくておかしくて、ふふっ、それで誕生日のお祝いでもしてくれるの?」
「あっ……何も考えてなかった。俺に出来ることなら何でもする。何でも言ってくれ!」
起こしときながら何も無いって本当にダメだな。俺に出来ることなんてろくにないし困ったな。アイシアも困るだろう。
「何でも?本当に?」
「あぁ、何でも良いぞ。」
「じゃあ、ずっと一緒に居て。」
アイシアは暫く悩むかと思っていたのだが即座に、とてもあっさりと呟いた。
そんな事で良いのか、と問うとアイシアはそんな事が良いんだよと笑っていた。
ろくに何も出来ないのだ、この約束ぐらいは果たそうと俺は心に誓った。
100日目記念サプライズを仕込んでみたのですがどうでしょうか。お楽しみ頂けていたら嬉しいです。
もっとネタを埋め込めるように頑張りますので100日記念にブクマ、評価、感想など頂けると幸いです。くださいorz