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陰陽師の当主になってモフモフします(願望)  作者: 桜 寧音
7章 神の縫い止めた災厄
247/405

1ー5ー2 さて、九州へ

女子部屋の場合。

 わたしが部屋に戻ると、いきなり黄色い歓声が上がりました。


「お姫様のお帰りよ!」


「濃厚な恋人の時間を過ごしたんでしょうね……。だって二時間半よ?」


「はぁー。私もあんなカッコイイ恋人現れないかしら……」


 うーん。予想通り。ハ、ハルくんがあんなにも堂々と見せつけるからですよ!もう!

 お姫様抱っこだけで大丈夫だったんじゃ……。皆さんの前でキスは、恥ずかしかったです。はい。


「消灯ですよね?電気消しますよ」


「はーい。でも、寝かさないよ?」


 完全に目を付けられています。獲物を狙う猛禽類のよう。何で女の方って他の人の恋バナにここまで意義を求めるんでしょうか。わたし、誰かの恋バナなんて聞きたいと思わないのに。好きに恋愛しててください。わたしもハルくんとイチャイチャしてますから。

 電気を消して余っていた布団に入ります。……真ん中なんですね。


「さーて、那須さん?二時間何やってたの?」


「話してただけですよ?」


「キスは何回したの?」


「……三回、です」


「嘘つきー!」


 ドワっと笑いが溢れます。これだけ騒いでると見回りの先生が入って来かねないので、苦手ですけど防音の術式を張ります。ハルくんも昔から隙あればわたしとくっついてた気がしますけど、皆に見せつけてしまったからかなり積極的になってました。コンビニに行くまでずっと手を繋いでましたし、別れる前にキスしましたし。

 お、おやすみのキスなんて初めてしました。う、嬉しかったですけどね⁉︎


「でもでもー。普段って男子寮と女子寮じゃない?学校だってあるし、休日くらいしか二人で会えないよね?せっかくクラス一緒なのに」


「あ。この二人、よく寮抜け出して魑魅魍魎倒しに出歩いてるよ?夜のデート毎日してる」


「何それー!」


 薫さーん⁉︎やっぱりあなたも敵なんですね!それともただ面白がってます⁉︎どっちにしろ、わたしたちの秘密が!祐介さんと薫さんなら知ってるでしょうけども!

 わたしをいぢめて楽しいですか!ああ、とても愉しそう!見たことないような満面の笑みです!


『ニャハハ。それだって坊ちゃんが勘を鈍らせないためのものニャ。デート的な意味合いは少ないのニャ』


「そうなんですか?」


 瑠姫様が実体化してフォローを入れてくれます。ええ、ええ。あれは日課ですから。魑魅魍魎を倒したり、霊脈の様子を見たり、妖が暴れていないかを確認しているだけで、デートではありませんから。

 日課の時はそういう雰囲気になりません。手も基本繋ぎませんし。ハルくん真剣ですからね。陰陽師の鑑です。


「でも、休日はずっと出かけてますよね?」


「最近はかまいたち事件の調査ですよ。デートじゃありません。他の分家の方もいましたし」


 毎回ではありませんが。桑名先輩にも星斗さんにも遭遇しています。あと姫さんにも。だからずっとデートしていたわけではありません。文化祭の直前はそれこそ文化祭準備を手伝っていましたし。

 そうそう。かまいたちさん退院したそうです。蜂谷先生が教えてくれました。これであの兄妹は穏やかに過ごせればいいんですけど。


「そんな危ないことしてたの?」


「明くんはそういう正義感強いですから。プロの陰陽師が狙われるということは、わたしたちも狙われるかもしれません。杞憂でしたが」


「あー。悪い陰陽師だったんだって?殺された人たち」


 それも姫さんが公表していましたね。大峰さんも元朱雀とその一派は許せないとのことだったので姫さんの証言を資料付きで認めて、でもかまいたちさんは殺したことにしていました。生きているんですけどね。

 この一ヶ月だけで随分日本は変化してしまいました。良いことだとは思いますけど、このままだと本当にハルくんは陰陽寮のトップに立たないといけなくなりそうです。しかも早急に。政府も呪術省も酷かったですからねー。後始末に制度の見直しに不穏分子の排除に。やることいっぱいです。


「じゃあさ、那須さん。難波君の弱点とかないの?正義感あるとか実力あるとかだと、完璧すぎてつまらないじゃない?」


「うーん、弱点……。ああ、寝相はいいんですけど、寝起きは頭が全然働いてないですね。覚醒するまでに時間がかかります」


『確かに。坊ちゃん起きるまでが面倒ニャ』


「……瑠姫さんは式神だからわかるけど、何で那須さんも知ってるの?」


「難波の実家にいる時は、わたしが起こす係でしたから」


「結局惚気じゃない!」


 ……まあ、そうですね。でもわたしだけの秘密ってわけでもないですし。わたしだけの秘密は別にありますから。式神の皆様は知っていますけど、人間で知っているのはわたしだけです。素晴らしい優越感。


「あと、料理は全然ダメですね。味覚は良いんですけど、作るのは調理実習くらいしかやったことないとか」


『まあ、家だとあちしか奥様が作ってたからニャー。陰陽大家の御曹司に料理をやらせることが間違ってるのニャ』


「そうよ。それじゃあ弱点とは言わないわ」


「他に……?霊気はわたしより少ないですね」


「珠希ちゃんが多すぎるだけだと思うよ?」


 全員に頷かれます。いえ、それはそうですけど。改めて言われるとわたしがおかしいみたいじゃないですか。

 わたし、これでも抑えるの大変なんですよ?神気も多いので、制御が大変で。実技の授業とかまた五月みたいに失敗しそうで怖いです。ハルくんに迷惑かけたくないですからね。


「あ、普通の遊び全然知らないです。トランプのルールとかもわたしが教えたくらいなので」


「うわー。陰陽エリートあるある……」


「他は、えっと……。瑠姫様、何かあります?」


『動物に目がニャイ』


「見ればわかります」


 あれだけゴン様を可愛がっていたら、そうですよね。狐が大好きは同じだし、他に弱点……?陰陽師としてはどの性質の術式も満遍なく使えますし、プロの九段に匹敵する実力。

 法師や姫さんなどにも有望視されていて将来有望。他にありますかね?


『ああ。女たらしニャ。坊ちゃん昔からモテるのに、すっごく鈍感で女の子を落としてる自覚なしなのニャ』


「それです!わたしもすっごく苦労しました!」


「わかるー。っていうか、あれでモテないわけがない」


「でも中学の時はサボり癖があったから、そこまでじゃなかった……ああいや、ごめんなさい。同じクラスの子でも何人か好きって言ってた。孤高なところが良いとかなんとか。住吉君も居たんだけどね」


「孤高なんてマイナスポイントにならないでしょ」


 コミニュケーション能力が低いとなったらマイナスポイントかもしれません。でもハルくん、交流が狭いだけで空気読むことも会話も問題ないですからね。やっぱりマイナスじゃありません。


「苦手な術式とかないの?」


「ありませんよ?呪術が苦手って言ってましたけど、比較対象がおかしかっただけですから」


「比較対象?」


「昔法師と術比べをして惨敗したらしくて。それで苦手意識があるだけですね」


「あの法師と⁉︎難波君って何者なの!」


「難波君、なんだよねえ」


「……うん、しっくりきた。天海さんもだいぶ染められてきたね?」


「だって、プロが解決すべき事件とか解決しちゃってるんだよ?ただの同級生じゃないって中学の時から知ってたよ」


 ウンウン。彼氏が褒められるというのは鼻が高いです。ハルくんはどうしても表立って活躍して有名になるとかって気概はないですけど、ちゃんと評価してくれる人はたくさんいるんです。

 これで大天狗様も撃退しかけたって知ったら皆さんどれくらい驚くでしょうか。腰抜かすでしょうか。……言いませんし、言えませんけど。


「うーん、弱点らしい弱点じゃなかったな……。じゃあ那須さんだ」


「そうそう。一度聞いてみたかったんだよね」


「なんです?」


「そのおっぱい、どうやって手に入れたの!」


 そこですか?って、何で皆さん手をワキワキさせてるんです?わたしの胸ばかり見て……。あ、瑠姫様、離れないでください。


「確保ー!」


「とりゃああ!」


「ひゃああああああっ⁉︎」


 揉みしだかれてます!皆さん女性でしょう!手つきがいやらしいです!四対一は卑怯ですって!


「お、大きい……」


「ズシンってくる。ここまで来ると感動だね……」


「珠希ちゃんの、お風呂で浮いてたもんねえ……」


「何カップ?」


「Dです!身長が低いからそう見えるだけで!」


「ええー?測り間違えてない?」


「いやいや、絶対もう一つサイズ大きいでしょ」


 い、いやーーーっ⁉︎


次も二日後に投稿します。

感想などお待ちしております。

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