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陰陽師の当主になってモフモフします(願望)  作者: 桜 寧音
7章 神の縫い止めた災厄
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1ー3ー3 さて、九州へ

男子風呂で。

 あれから俺たちは山を降りてバスに乗って、泊まるホテルにやって来た。すぐに荷物を部屋に運んで、大宴会場で食事。今回はバイキング形式ではなくメニューが決まっていた。豚の生姜焼きにサラダ。あとは味噌汁と刺身がいくつか。

 ゴンに何もあげないわけにはいかないので少し分けると、ぶっちゃけ腹が満ちない。後でホテル抜け出してコンビニでも行こうかと考える。ゴンも食い足りないだろうからコンビニに行くのは確定だな。


 大浴場が使える時間もクラスごとに決まっているので、食事を終えたら少し休憩した後に道具を持って大浴場へ。男部屋は五人一部屋で、その五人で移動して一階にある大浴場に向かった。

 さっさと服を脱いで大浴場に行く。中に大きな風呂が二つと、サウナ。外に露天風呂があるらしい。壁一枚で女子風呂と繋がっているらしく、覗こうとするバカがいるみたいだけど、そんな簡単に覗けたら問題ありすぎだろ。無駄な努力してんなー。

 ゴンの身体にシャワーを当てて洗ってから俺の身体を洗う。毛が詰まったりはしないはず。ゴンの毛って滅多なことじゃ抜けないからな。生え変わるとかもないらしい。


「明は千里眼できるんだろ?やらないのか?」


「犯罪行為だ。それにこれだけ大きなホテルならそういう遠視の術式用の対抗術式組んであるだろ。どんな仕返しくるかわからないぞ。それこそ失明したりとか」


「おー、怖っ。じゃあああいう物理的な覗きしか手段がないわけか」


「……あいつらタマの裸覗こうってか?ぶっ殺す」


「殺すなよー」


 祐介の言葉は守って、覗きをしようとしている不埒な輩を殺さない程度に電撃を浴びせて露天風呂に浮かべておいた。死にはしないだろ。のぼせるかもしれないが。ゴンを少しお湯を入れた桶に入れて、俺も肩まで浸かる。寮で大浴場入る時間には基本帰ってこないし、大きな風呂は久しぶりだ。基本備え付けの部屋の風呂しか使わないからな。


「はー、極楽。先生は酒飲んだりすんの?」


『貢がれたら口にするが、基本飲まねえよ。あれは人間用だから、薄い』


「どんな酒でも?」


『ああ。イモ焼酎とか飲んだけど全然だ。康平に付き合って外国の酒も飲んだが、全く酔う気がしなかったな。お前らガキがいる場で酒なんて飲もうと思わねーよ』


「酔ってるゴンとか見たことないな」


 可愛いかもしれない。ぐでんぐでんのゴン。見たいけど無理強いしたってダメだし、ゴンが酔うとしたら御神酒とかそういうのじゃないとダメなんだろ。狐より何より、身体が神に近いんだから。


「しっかし青春だねえ。なあ、明?三人に告白されてよ」


「そうそう。難波、何でイキナリモテてんだよ!文化祭は何もなかっただろ!」


「立花さんのこと好きだったのに……」


 こういうのも修学旅行のノリってやつか?やけに恋愛絡みの話をしやがって。それと山口は立花さんが好きなら告白してこいって。俺が振ったんだから今フリーだぞ。あっちにとって好みじゃなかったら知らん。


「俺だってイキナリで訳わかんねーよ。文化祭では何もなかった。忙しかったってのもあるんだろうけど」


「やっぱりあの神楽か?」


「それともあの宣言?ステータス気にする女子もいるだろうからなあ」


 そう好き勝手言われるが、本当に理由なんてわからない。今までその兆候があったかどうかすら怪しい。それに告白されてもミクがいるから断るだけだからなあ。ミクもさっき告白されたらしいけど。

 うん。ミクがモテるのはわかるぞ?可愛いし、スタイルいいし。霊気もかなりある。俺の場合はやっぱり姫さんの宣言かなあ。

 四月の事件で誰かを守ったとかないし、俺ってどこかで実力見せたことあったっけ?全力出したのは五月と八月の地元だけ。学生には四月以外見せてないな。それで俺の実力を知っているとは思えない。ミクのだってちゃんとは知らないか。


「どうやったらモテるかなー」


「陰陽術磨けば良いんじゃね?明もそういうの評価されたんだろうし」


「難波、この前の試験順位は?」


「実技一位」


「……ダメだ。こいつがいる限り俺はモテねえよ」


「血筋、実力、容姿が揃ってやがる。そりゃ勝てねえわ」


 容姿ねえ。男だからか、男のカッコいいとかよくわからん。晴明は端正な顔つきだと思うけど、他の人がカッコいいとか考えたことないなあ。男の顔よりは女の子の顔を見ちゃうもんだし。

 比較した結果、ミクが一番だって戻ってくるんだけど。っていうか、ミクを選んだの顔だけじゃないからこの考えがもうダメだな。

 あと試験は総合でも筆記でも一位だったけど、それは言わない。聞きたいのは陰陽術の実技についてだろうし。


「まあ、こんなお狐様にあの狼の式神を二体従えてるんだから、実力はズバ抜けてるよな」


「簡易式神以外ってなると難易度一気に上がるからな。しかも難波の場合式神だけじゃないだろ?」


「プロのライセンス取らないのか?」


「ライセンスを高校生で取ったら五神候補にさせられるんだよ。地元に帰って家を継ぐ予定だったから受けるつもりもなかった」


「へえー。さすが詳しい。五神なあ。朱雀が今空席なんだろ?京都大丈夫か?」


 五神が京都の結界を維持しているという話はすでに一般知識となっている。あと朱雀がかまいたちに殺されたという話と、朱雀が極悪人だったことも報道されている。そんな朱雀を呪術省が庇い立てていたということも知れ渡っている。

 呪術省はなあ。隠したらマズイことをたらふく隠してたからなあ。信用なんて木っ端微塵に弾け飛んだ。


「そのために大峰さんがあっちに残ってるんだろ」


「それもそうか」


 そんな感じで久しぶりの大きな風呂を、ゆっくりと楽しんでいた。覗きをしようとしていた連中は出て行く時に恨めしそうに見てきたが、やってること犯罪だからな?警察に突き出されなかっただけ感謝してほしいんだけど。


次も二日後に投稿します。

感想などお待ちしております。

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