第十六夜 「記憶をとりもどせ!」
こんばんわ!
那祢です。
今回は記憶。
主人公は誰なのか?
そして写真の人物は?
またあとがきで!
「えっ!?」
俺は動揺した。
動揺せざる終えない状況なのだ。
写真に写っている少しチャラい姿の男。
二枚目はコンビニのカウンターで欠伸をしている。
初めはドッペルゲンガーではないかとまで思ったのだが・・・・・
それは紛れもなく俺自身だった。
なぜか頭の中では本人と言っている。
「ぐっ!!!あっ!頭がっ!!」
いきなり頭が痛くなる。
ハンマーで軽く叩かれた感じだ。
ズキンではなくゴン。
そんな感じだ。
頭を抱えて踞る。
「ど、どうしたのっ!大丈夫?」
泥棒兼、人探しさんは俺の事が気になったようで状態を聞いてくる。
ー ズキンっ! ー
「うっ!」
痛みの強い頭痛が来た時だった。
ー あれっ?俺、知ってるぞ。 ー
これって家の近くにあるファミリーマークと言うコンビニで働いるやつだ。
深夜帯で暇な時間が多く商品陳列したり機械のメンテナンスしてた時だな。
ここの廃棄するお弁当に命を繋いでたな。
あれ?
廃棄したものを食べる?
俺ってお金持ちの両親の息子ではなかったのか?
ー ズキンっ! ー
「ぐあっ!」
さらに先程より痛い頭痛が押し寄せる。
「ねえっ?本当に大丈夫なの!?」
人探しさんが聞いてくる。
大丈夫のはずがない。
俺は何かに裂かれている気分だ。
俺の両親は・・・・・・
俺は思い出してみる。
両親・・・・・・・・・・
「あっ!」
そうだ。
両親は・・・・死んでいる。
飛行機事故でだ。
いや、事故ではないか。
二人は同じ会社で働いており上司と部下の関係だった。
そして二人で海外出張に出掛けた際、敵の飛行機と思い軍に撃ち落とされたと言われた。
その為、俺が朝昼夜とバイトを掛け持ちして妹を育ててき・・・・・・
ー ズキンっ! ー
「ぐわーっ!!!」
頭を抱えて叫んでしまう。
大事な事。
妹。
そうだ。
妹を忘れていた。
高校生三年生の妹がいた。
名前は・・・・・
「朱音」
「えっ?」
「むふっ!!!」
彼女の事を思い出したらいても立ってもいられなくなった。
妹は何をしているんだ!
俺はここにいていいのか?
いや、彼女が心配だ!
家に帰らなければっ!
それならばここは?
何故俺はここにいる?
何があったのか?
さらにさらに奥深く思い出してみる。
「あがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
裂かれる感覚が体を押し寄せる。
俺は・・・・・
俺は・・・・・・・
俺はっ!!!!
「俺は玄一郎。」
「えっ?あっ!貴方が!」
「・・・・・・・・・・・」
驚く人探しさん。
それに反しぐったりする泥棒のアイツ。
何もかも思い出した。
俺は玄一郎。
朱音の兄貴、荻山玄一郎。
アパートの一番下で妹と二人で暮らしている。
大好きな食べ物は妹が作るシチューで嫌いなものはパセリだ。
顔も似ていない妹、朱音がいる。
勉強が出来て学校で人気者。
しかしスポーツ系が苦手と弱点がある。
ちなみにナイスボディー(死語)だ。
最近、妹が学校で流行っているゲームを欲しがっていて彼女がためている妹貯金を使わせるわけにもいかずアルバイトづくしだった。
あと、誕生日が近いからプレゼントとしてね。
そしてから銀行の帰り道・・・・
あれっ?
帰り道・・・・・・
そうだ!
帰り道に!!!
俺はすかさずアイツの胸ぐらをつかむ。
「ひはっ!!ふ、ふふふぇ・・」
「ちょっと!?どうしちゃったの?いきなり!こたえなさいよ!」
胸ぐらを掴んだつもりが胸までつかんでしまった。
少し震えている。
そうだよな。
「人探しさん、なにも言わなくてごめんな。」
「人探し・・・・。あっ!そうか。自己紹介してなかったね。私は中・・・・」
「いや、いまはそれはいい。」
俺は彼女の自己紹介を遮った。
そして話を続けた。
「記憶が戻ったんだよ。今までの記憶が。」
「そうなんだ!じゃあ写真の人は・・・」
「ああ、それは俺だな。探偵に依頼するなんて金持ちがいたようだがな。」
「えっ?ご両親ではないの?」
「二人は飛行機事故で死んでいない。」
「じゃあこの依頼者は誰なの?」
「多分、そこにも罠があるんだろうな。そこにいるんだろ?入ってこいよっ!」
「ふっ!むふー!」
俺は扉に向かい怒鳴った。
アイツが叫んだが無視をした。
ー ガチャ・・・・・ ー
扉が開いた。
そこには執事とメイドが立っていた。
今まで見たことの無い怒りに満ちた鬼の形相のふたりが。
記憶を失っていた主人公。
彼が思い出したものは?
あと数回で終わります。
それまでご愛読していただければ嬉しいです。
またよろしくお願いします。
那祢でした。