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タイム・チェンジ  作者: アスカ
2/2

『出会い』

部屋。


地球の日本という国でいうと、

ここは、一般家庭の、高校生の、女子の部屋というべきだろうか。


部屋は1人にしては十分で、

ベッドが一つ

机が一つ

その他諸々あるんだが……

結構広い。


そんな部屋に、

高2の少年が1人、ベッドの上で、寝ながら。


意識を揺らしている。



ーーーーーなんだ、

この一定のリズムは…


鼓動…なのか…


ーーーー生きてる…のか…


ーーー呼吸出来てる……のか…


ーーあれ…刺されたんじゃなかったけ…


ん?刺された?誰が?何を?


俺は…何…を…


ーあれ……俺って……一体……




………









ーーーーいきなりの叫び声が、鼓膜を破りそうになった。



「コルルルルルルルルララララァァ!!」


……えっ?え?何?


「いつまでそうダラァダラァと寝てやがんだあアァアァアァァァ!」


……は?


「オルルルルルルルルルルラァ!早く起きろ!!!このハゲーーーーー!!!」


…いや、多分俺、ハゲてないんですけど!


「オラオラオラオラ、起きろロロロ!!!

邪魔者がー!!!!!!

キモヲタがーー!!

そんなに眠たいんなラァ、ウチが目をこじ開けてやんよ?!」




ーーーーーうわ!目、め、瞼?なんか痛いんだが。。。


ーーウワァー!!!!!!!






…ま、眩しい…。






ーーその時、リンの目に最初に飛び込んだのは、未知の、薄赤髪の美少女の、怒りを現した、嫉妬のような、顔だった。



えっ、え。。。。


だ、、、、だっ、、、、誰。


か、可愛い。


なんだこの可愛さは。


「おい、テンメェ、目、開いたじゃねぇかよ。

いつまで寝てるつもりなんだ?さっさと起きろ、この、」


……何を言ってるんだろう。この子は。


リンは、虚しげな表情で彼女の顔を見つめ続けている。


「返事しろヤァァァァ!」


なんかヤバそうだな…とりあえず、返事だけはしとくか…。



ーーは、はい!




リンは、彼女に向かい、でかい声で、返事をした、

つもりだった。



「なんだぁ?テンメェ。返事もできねぇのか?!おおぃ!返事しねぇとブッコロバッキングするぞ?!」



ーーすまない、初対面ではあるが、彼女がアホそうな少女であることに、即座に気づいてしまった。


ーーーそれにしても、本当に声が出ない。しかも、ここはどこだ?俺は…何なんだ?一体、どういう状況なんだ?

何事なんだ?


あーー!!何もわからん!声が出せねぇし、動けねぇからどーしようもねぇ!


ーそんなリンをさておき、彼女は声を張り上げる。


「あーー!もう!テンメェ、本当に声出せねーのか?!このキモヲタが!!

んー、あーもう!!!」



……一時的、彼女は考え込んだ。



「ちょっと、あんまりこういうこと、したくないけど…、この際仕方ないか…」



ーー彼女の手が、リンの胸に触れた。



リンは、彼女の手から、光が、大量の光が、発されている瞬間が見てとれた。




「スピリット、イン」




ーーーえ?うわーぁぁぁぁぁあ!!!


リンの、声にならない声が、響いた。






闇の世界。


一筋の光も漏らさない。


そこに、少年と少女が、向かい合って立っている。




「ここなら、話せるわね。」


彼女の声だ。


ーーリンは、自分の瞳を使って、彼女の姿形を、上から下まで、確認することができた。


やっぱり、可愛い。


ーそれにしても…この、闇に包まれた場所は……


「え、お、お、お前……」


ーーこ、声が、、、出た!!


ーー間違えなく、この声は、自分の、リンの、声だった。



動揺が、隠せない。



「ふ。うわっはっはっはっ!!

テンメェの言動、草が生えるわ。

何そんなにおどおどしてるのよ。」



ーーこの少女、一体……?



ーと、とりあえず、今は、この喋れる状況を吉と見て、とにかくコミュニケーション取ることに専念しなければ、



「は?はい?て、てか、お前誰だよ。

そもそも、ここ、どこだ、この、闇の、、??俺は、一体…。いや、お前は、誰だ??それより、そもそも、」



ーーーだめだ、何が何だか訳がわからない。落ち着けねー!!!



「ふ。その慌てようにも、とても草が生えるわ。裸地から草原に変わりそうよ。落ち着きなさいよ。」



ーーいやいやいや、この状況で慌てないやついるか?



それにしても、この少女は、絶対この状況について詳しそう、知ってそうだな。落ち着いて話さなければ…。


ーーはじめに聞かなきゃなんねぇのは…



「る、るせぇ!

とりあえず……

お前は、、、一体、、、誰だ?」



「最初にそんな質問する?

私の部屋のベッドで勝手に寝てたの、あなたの方じゃない。

私の名前くらい、知ってて当然じゃない?

だから私、とても怒ってんのよ?」



ーーーーは?!こいつ、何言ってんだ。


ーーーそーいえば…俺…寝る前…


いったい…何を…



「返事くらいしたらどーなのよ?

あんた、現実の方で、目は開いてたけど、何も話さないし、動かないから、もしかして、と思ってここにきたのよ。」


ーー彼女の言葉にリンは質問の矢を飛ばす。


「ここ?そーだ!ここってどこなんだよ?」


ーーーリンの言葉に、彼女は落ち着いて答える。



「ここ?あー。ここはね、貴方の精神よ。つまり、貴方の心の中。私と貴方は今、精神同士で語り合ってんのよ。

現実で貴方、何も話さないんだもの。

こうするしかなかったのよ。」


ーーーどーゆーことだ。彼女は人の心の中に入れるっていうのか?


「それはな!!!俺の自分の意思で話してなかったんじゃなくてな!

声が、、そう、声が出なかったんだよ!!!

動けもしなかったし。」


ーー彼女は、なにかに気づいたかのように、話を進める。


「そーよね。やっぱりそーゆーことなのね。

貴方、そーよ、貴方はね、

私の推測、まぁほぼ確定ともいっていいわね。それによるとね、」


ー彼女は一体何を、言ってるんだろう。



「は?何?推測?確定?

なんだっていい!!

それによるとなんなんだよ!!!」


ーー彼女は、その口を軽く開き、彼に、告げた。





「 貴方ね、


あっちで



死んだのよ。 」





ーーーえ。



ーー何かがおかしいと思ってた。



ー俺は、何かがおかしいと思ってた。



この状況が。この全てが。この俺が。



今の全てが。何もかもが。




それが今、一つの線になった。


途中からちぎれた、一つの線に…。



ーーーでも、それでも、やっぱり、記憶は蘇らない。。。。。のか。。。


ーーーそれは、死んだ後の世界では当たり前のことなのか?


記憶をなくすことは、、、。


ーー人間として、俺は、一体何を、人生のうちにしたんだろう。


ー何か残せていたのか…。


記憶がないってことは、そういうことなのか?


俺は…何もできていなかったのか…。



「あんた、さっきから何震えてんのよ。

このハ、、、いえ、なんでもないわ。

とにかく、この場所で話せるのも、時間の問題。

そろそろ、リミットがくるはずだわ。

あんた、精神の解放を行いなさい!

そしたら、現実の方でも自由に行動できるはずよ!」


「る、るせぇ!!

いきなり死んだことを告げられて、動揺しない奴がいるかよ!

そ、それより、精神の解放ってなんだよ!ど、どうやって…」


ーーリンの話にかぶせて、彼女は語る。



「はぁ。疲れるわ…。このキモヲタが…。

あのね、精神の解放ってのは、そのままの意味よ。

あんた多分、今、生前の記憶がないはずよ。

それ、この世界では珍しいことだわ。

だから、精神の解放が必要なのよ。

そうでもしないと、あんた、ここから出ても、現実の方で自由な行動ができないわ。」



ーーーそうだ!俺は、現実?とやらの方で動けなかったし、話せなかった。



ーーーーーこの状況にリミットがあるなら、先にこの状況をクリアして、現実?とやらの方で彼女にはたっぷり話を聞く方が良い選択だろう。


ーーだったら、この状況を、この場所を、一刻も早く抜け出し、再び現実とやらの方に戻らなくては!



ーとにかく今は、それが一番だな、、




「人を、キモヲタ呼ばわりすんなぁ!!

そんなことは、分かったから!

ど、どーやってす…」


ーーリンの話にかぶせて、彼女は語る。



「るせぇの、このキモヲタが…

あのねぇ、精神の解放ほど簡単なことはないわ。」


ーー彼女は一時、考え込んだがすぐに、話し出す。


「し、仕方、ないわねぇ。。

この、この世で一番尊くてかわよいワタクシが貴方のために、見本を見せてやるのだから、感謝しなさい。

見とけや、このキモヲタ。」


ーーー完全に恥ずかしがってやがるこいつっ!まぁでも俺のためにしてくれてるんだし、嬉しいことか。


ーーーいちいち癇に障ってくる野郎だが、見たことねぇ美少女だから、強く言えねぇ…


「キモヲタ呼ばわり、やめろー!!

と、とにかく、わかった、見とく。」


ーリンは、真面目な目で彼女を見つめる。



「う、うん。そんなに真摯に見てもらうと、ウチだって照れるよ?」



彼女は、少し照れた返事をして見せた。



ーーーズッキューン!


か、可愛い。

なんだ今の返事は。


いや、それより、精神の解放の仕方見とかないとな!


「やるわよ!せーのっ!」


ーー何やら彼女は、両手を頭の上にして、、

それで、猫耳を作ってる…?


……え?



「アッチョーーーーイ!


ニャン、ニャン!」


彼女は、とても顔を赤くして、それを行なった。


ーーうわーーー!!!

やばい。

心打たれた。

なんだ今の空前絶後の可愛さは。

今までに一度たりとも見たことねぇぞ!

こんな可愛い奴。


…まぁ、それもそうか、そも、あまり記憶がないしな



「ほら、やってあげたわよ。これが、精神の解放の方法よ!」



ーーは?

こいつ、俺のことバカにしてんのか?


「は?おいてぇ!ふざけんな!

今のかわい…いや、今のふざけたやつが精神の解放?ナメくさっとんのか?」


「るさぃわねぇ。このキモヲタが。

そうよ。今のが精神の解放よ。

こうして貴方と私が話せているのも時間の問題よ。

もうリミットはすぐそこだわ。

貴方もつべこべ言わずに早くやりなさいよ!」


ーーーなんだこいつ、俺を騙してきやがったのか?


「そうやって、かわい…いや、ふざけて、俺を騙そうってのか?そんなのに引っかかる男じゃねぇ!俺は!」



彼女は、憤怒の炎を瞳に灯した。



「はぁぁぁぁぁぁぁ??

調子のんな、

このクソキモヲタニートプリペイドパラレルクソガキハチキレバカクソゲスノキワミオトコイドウカスタムカードが!

テンメェのために、解放の方法をおしえてやったんだろぅが!!!!!

さっさとやれやぁ!!!!!」


ーーーうわ。やばい。


俺は何か彼女の感に触ることを…

やばいことを言ってしまったようだ。



「さっさやれれれぇぇぇぇぇ!!!」


彼女の声が闇に轟く。


ーーーやらざるを得ない状況に俺は置かれたらしい。


「す、すいません!や、やります!」



俺は、即答。


「あ、あ、あ、あーーーん?

やれーーーーーーー!」


彼女の叫び。



ーーリミットまで、残り10秒前



リンは、彼女の腕から発されたその音に、敏感に反応する。



「おい、そこのキモヲタ、や、やばいって!ホントにやばいって!はやく!」


彼女の声が響く、


ーーこれは本当の本当にやばいかもしれない。


キモヲタ?のリンにもすぐ、それだけは分かった。


「あーーもう!

クソッ!

んー、しゃーねーなぁ、!!」


リンは、腹を括った。



ーーーリミットまで、残り7秒



彼女の腕からは、刻々と時間を知らせる音がする。


「そんなセリフいいから、はやくっ!」


彼女が慌てる。



ーーーリミットまで、残り4秒



リンはすぐ、行動に移った。



と思われたが、それはリンではなく、彼女の手によって、促されていた。



リンが、彼女に補助をうけ、両手を挙げ、猫耳を作った。


ーーーー彼女は、彼に声をかける。





「せーのっ!」




そして……


リンはそれとほぼ同時にその呼びかけに応える。




「アッチョーーーーイ!!

ニャン!ニャン!」




……キモい。

男がやると、実にキモい。

↑※第三者の声です。



ーーーー眩い光が2人を包む。

とても明るい光が。



ーーー周りの闇が消えていった。




リンは、薄い意識を段々とこちらの世界へ戻していく。



なんだここは。




ーー現実に…




ー戻ってきた。




ーーーこの、現実とやらで初めてきく、 彼女の声。





「んもう、仕方ないわね。


この、キモヲタが。」




























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