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2. この先生は早く教師を辞めた方がいい。というか辞めろ。

 俺は1階の地学室の前に来ていた。ここが読書部の活動場所らしい。


(やけに静かだな・・?)


 先生は部員は4名いると言っていた。話し声の1つや2つがあってもいいんじゃないか?


 いや・・ここは読書部だ。つまり、みんな集中して本を読んでいるということか?だとしたら好都合だ。これから毎日でも通うことにしよう。とは言っても・・・・


「やっぱり緊張するな。ドアを開けたら、みんな注目するだろうな・・・・」


 なんだこいつ?みたいな目で見られるかもしれない。いやきっと見られる。


 ん?でもそういえば話は通してあるって、言ってたよな。だったら大丈夫か?


 ああ!君が入部希望の子か。これから一緒に集中して読書に勤しんでいこう!

 はい!よろしくお願いします!


 こんな感じのビジョンが俺の頭の中に浮かぶ。いける!!


 そう思い扉を開ける。あんまり音を立てないように。だってほら?びっくりさせたら悪いじゃん?


 そして俺は4人の少女たちと出会う。




 トランプに集中している4人の少女たちに・・・・




 あれ・・・・?本は・・・・?




「あら?あなたは?」


 1人の少女が俺のことに気づく。それにつられるように他の3人も俺の方を見る。


 あれ?部屋間違えた?


 ここで、すみません!部屋を間違えました!なんてことは言えない。そんなことを言えば・・


 え?ここが読書部であってるわよ?と返され、そこから何だかんだで入部することになる流れだろ?なんて恐ろしい作戦だ!だが俺には通用せんぞ?こういう時の対処法は・・


 俺はくるりと体の向きを変えると、すぐさま全力疾走で地学室をあとにする。


「え!?ちょっとま・・」


 俺に話しかけてきた少女は驚いたような声を出していたが、そんなことは気にしない。今はとにかく逃げるんだ。あの空間はヤバイ。俺の危険予知センサーが異常に反応している。足を動かすことに集中するんだ!やはり安息の地はマイホームしかない!親がうるさいのは面倒なことだが、我慢するとしよう。


 俺は靴箱まで走り、帰るために上靴を履き替えようとする。が・・・・


「何やってるんだ?水無月?」

「げ!」


 よりにもよって山田先生に会うなんて・・


「水無月?なんで入部届を持ったままなんだ?」

「今日は体調が悪くて。また後日に出しに行くことにします」

「その割には全力疾走したりと元気な様子だな?」

「僕は全力疾走しないと死んでしまう病気にかかっているんです!」

「いま止まってるじゃないか」

「はい。先生に呼び止められたせいで死にました。埋葬されるために家に帰りますね」


 俺はニコっとしながら先生を見る。先生もニコっとしながら手をぐるんぐるん回している。どうやら戦闘態勢に入ったようだ。


 だが甘い。俺は先生との会話の最中に靴の履き替えに成功していた。


「すみません!帰らせてもらいますね!」


 俺は足の速さには多少自信があった。逃げ切れる!そう確信した時・・


「授業中のお前の態度」

「は?」


 何言ってんだこの人?


「お前は気づかれてないと思っているのかもしれないが、バレバレだぞ? 随分と楽しそうに本を読んでいるもんじゃないか」


 な!?ばかな!?俺の完璧な計画がバレているだと!?この男何者だ!!


 ちなみに水無月は気づいていないが、本を隠すための教科書が逆さまだったりする。


(間違いない。この男は透視能力を持っている!)


「まあお前は小テストの成績が悪いわけじゃないから大目に見てとろうと思ったんだが、困ったなあ」


 先生は俺を脅すように言う。というか脅してる。俺は今、脅されている!!


「このままだとうっかり手が滑って、お前の成績表の素行の項目をD評価にしちまうかもなあ」


 成績表の評価は4段階で表される。Dは4段階の中で、もっとも下の評価だ。そんなもんつけられちゃ、進級が怪しくなる。


「さてと、奇跡の大復活を遂げたようなんで、読書部に行ってきますね!」

「おう。先生は嬉しいよ」


 誰かこいつを首にしてくれ。まじで頼むわ・・・・





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