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異界覇王のテンプレハーレム  作者: 柊屋
二章
14/16

決闘承諾

「何で決闘をしたいんだ?」


「あの戦いの時、貴方の強さを知ったからよ」


それ以上追及するのはやめた。ミラの表情は真剣そのもので真っ直ぐ俺を見据えていた。なら俺は男として剣士として逃げるわけにはいかない。

覚悟を決め決闘の承諾をしようとしたとたん、バン!っと乱暴に扉を開け三人の男達が現れた。


「ちょっと待ってくれないか」


薄い金髪のオールバック。顔はイケメンでその顔は自信に満ち溢れた表情をしており、腰にはキラキラと無駄に光る剣を着けている。

後ろにいる二人は茶髪と赤髪だ。


「僕のミラと決闘だって?すまないけどやめてくれないか?僕のミラに傷がついてしまう」


なぜかキメ顔で"僕のミラ"の所を強調している。ミラの知り合いかな?っと思いミラを見るが明らかに嫌そうな顔になっており、鳥肌が立った細い腕を擦りながら距離を取っていた。


俺は気になった。


"なぜ俺以外にも男がいる?"


ここは女子しかいない学園だ。本来男がいるところではない。あの男の事が気になり、フィリアに聞いてみた。


「なぁ、フィリア。あいつは何者なんだ?」


「あの人はあの四大貴族のレオナルド家の次男。テイル・レオナルド君でこの学園の隣にあるコフセフィン剣士学院の生徒だよ」


「へぇー。あいつ偉いのか…」


言ったら悪いが俺にはただのキザ野郎にしか見えない。制服も着崩れしているし、チャラチャラとアクセサリーを至るところに着けている。正直俺の苦手なタイプだ。


「何で剣士学院の人がここにいるんだ?」


「『繋心契約制度』で来た人だよ。パンフレットにも載っていたでしょ?」


「あ!思い出した!」



『繋心契約制度』


ファルシオン魔法学園とコフセフィン剣士学院の生徒同士を一ヶ月に一回、交換する制度だ。なぜそんな事をするのかというと自分のパートナーを探すためだ。

魔法使いには決定的な弱点がある。


それは詠唱時間。


魔法使いは詠唱中の間何もすることができない。つまり詠唱中に狙われたりしたら終わりだ。詠唱時間は人それぞれで速くも遅い人だっている。

それを補うのが騎士という存在だ。騎士はパートナーを守り、戦う。そんな騎士を育成している学園がコフセフィン剣士学院だ。

生徒交換は自身の賛否で決められるので剣士学院に行く女子生徒はあまり少ない。逆に魔法学園に行こうとする男子は多いらしい。

テイルもその内の一人だろう。


「なあ、ミラ。いつになったら僕と婚約してくれるんだい?」


「お断りよ。それと気安く私の名前を呼ばないでくれるかしら?」


ミラはアメジストの瞳でテイルを鋭く睨んでいる。

相当嫌われているなテイルよ……っと思ったが俺は奴を甘く見すぎていた。


「何でそんなこと言うんだ。綺麗な顔が台無しだよ?まあ、そんな顔でも美しいけどね」


全く気がついていない。この終始キメ顔君はどうやら素敵な頭のお持ちのようだ。そしてナルシスト。どうしたらそんな臭いこと言えるのかそこだけはすごいと思う。本人はカッコいいと思っているっぽいが周りの女子も流石にドン引きしていた。


「ミラ。僕と結婚してくれ」


「絶対嫌よ。貴方と結婚するなら死んだ方がましよ。それに私には好きな人がいるから」


そんなテイルの告白をことごとく切り捨てるミラは全く相手をしておらず、テイルから離れるように俺の背中に身を隠した。周りの女子達から小さな笑いが起き、告白した本人は顔を赤く染め、プルプルとさせ眉間にシワを作り怒りを顕にしていた。


「ふざけるな!お前が誰だか知らないがミラは僕のものだ!こっちにこいミラ!」


「絶対に嫌よ」


「こ、この!」


テイルは怒りの形相でミラに叫びながら、手をあげようとした。

流石にアウトだ。こいつはミラの気持ちを理解せず天津さえ暴力を振ろうとした。見逃せるはずがない。


「【威昂】」


教室内に魔力の渦が渦巻く。しかしこの魔力の波動を感じたのは向けられたテイルとミラとフィリアだけだろう。


“不可視の魔力”


並大抵の人は感じることは愚か見ることもできない。

【威昂】は怒りや殺気の攻撃的な感情を相手にぶつける力。この世界にも【威圧】というスキルがあるがそれよりも遥かに強く相手を怯ませることから相手の心臓、……いやすべての臓器を停止できるほどの威力を持つ。

流石に威力は大分押さえているがそれでも身体の自由を奪うほどだ。

確か前にもガイ……ゲイル?だっけ?忘れたがそいつにも【威昂】を使った覚えがある。


「な、ななんだ!か、身体が動かない!」


ゆえに気づかない。自分の身体がなぜ動かないことも分からないだろう。頭で理解できていなくても本能は理解している。


「お、おい。どうしたんだよ」


テイルの後ろにいた茶髪の男が心配して声をかけるがテイルの様子は治らない。

テイルは顔を血が抜けたように青白くなり、両手で身体を抱き締め身体をブルブルと震わしている。


「悪いな。流石に威力が強すぎたか?」


敢えて挑発的にテイルに話しかけ、威力を落とすとテイルは顔色が少し直り始めた。テイルは俺がやったことに気づいたのかキッ!っと睨み牙を向けてきた。


「お、お前がやったのか!さっさと解除しろよ!僕を誰だと思っている!レオナルド家の次男テイル・レオナルドだぞ!」


四大貴族だが知らないが俺にとっては同じ人間だ。日本生まれの俺に初対面の奴に敬意を示せと言われてもできるはずがない。本当に尊敬できる人だけに俺は頭を下げる。


「そんな事知るかよ」


俺が興味無さそうに呟くとテイルは俺の顔を見てなにやらハッ!っと思い出したようで顔をにたりと口角をあげる。


「そうかそうか、お前があの男の魔法使いの平民か」


「…それがどうした」


「いやぁ君はいいよねぇ。魔法が使えたりとか竜を倒したとか……。でっち上げの嘘をついているのに魔法学園に入れたんだから」


「なに?」


「だから、君は竜を倒したと言っている偽物。分かるかい?調子に乗るのもいい加減にしてくれないか?」


いちいちうざいと思う。どうして初日にこんなやつに絡まれなければいけないんだろうと思っていると隣にいたフィリアがお怒りのご様子でテイルを睨み付けていた。


「ふざけないで!ソーマは嘘つきなんかじゃ……」


「フィリア。ありがとう。けど大丈夫だから」


「ソーマ……」


フィリアの声を遮るように手を前に出し、落ち着かせる。自分のために怒ってくれた事は嬉しい。けどあいつはあれでも貴族だ。もし俺のせいでフィリアに何かあったりしたら元も子もない。


「君は挙げ句の果て女の子に守ってもらうことしかできないのかい?」


バカにするような口調で言われ挑発と分かっていながらもこいつに少しイラッとしてしまう。その顔に気づいたのかテイルはニヤニヤしながら俺に指を指し、告げた。


「この僕と決闘してくれないか?もし魔法を使えるのなら僕と決闘できるよなぁ!」


まさか今日1日で二度も決闘を申し込まれるとは思ってもいなかった。決闘を申し込んだテイルに慌ててミラが会話に入る。


「ちょっと待ちなさいよ!私が先に決闘を申し込んだのよ!」


「安心してミラ。僕は勝って君をこの男から守るから。僕が実力の差を教えた後にもう一度決闘してほしい」


この勘違い男、痛すぎる。

こいつはもうどうしようもないな。しかし決闘はどうしようか。確かに嘘と言っても仕方がないのかも知れない。俺が魔法を使ったのは竜と戦った時だけだ。あの場には俺とフィリアとミラしかいなかったため確証はないだろう。ここはテイルとの試合をしてもいいかもしれない。いつまでも嘘つきなど言われなくないしな。


「もし僕の決闘を受け取らなかったらミラは僕が!いただく。君が受けて負けても同じだ。分かるか?君は受けるしかないんだよ」


「…分かった。テイル・レオナルド。決闘を承諾しよう」



俺が決闘の承諾をすると周りの女子達のざわめきが波紋のように広がっていく。


「ちょっとソーマ!私との決闘はどうするのよ!」


「すまん。今回は身を引いてくれ。アイツとの決闘が終わったらいつでも決闘に誘ってくれても構わないから」


ミラは数秒の沈黙の後溜め息を吐きながらもその顔は笑っていた。


「はぁ、しょうがないわね。決闘はまた今度にしましょう。それより絶対に勝ちなさいよ」


「ソーマ!私も応援するから頑張ってね!」


「ああ、任せろ」


――――――――――――――――――――――

テイル・レオナルド君。自分で書いておきながらヤバイ奴ですねww


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