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異界覇王のテンプレハーレム  作者: 柊屋
二章
13/16

編入


カーテンの隙間から朝日が差し込み、太陽の光を顔を浴び、徐々に意識が覚醒していく。


「もう……朝か…」


二度寝をしたい気持ちもあったが何とか堪え、立ち上がると背筋をうっ と伸ばすと骨がボキボキっと鳴った。カーテンを開けると空は雲は一つもない青空が広がっており最高の天気だった。


「とりあえず、シャワー浴びるか」


シャワーを浴びた後、新品の制服を手に取る。フィリアとミラが着ていた黒い軍服のような制服の男バージョンだ。さわり心地もよく着てみるとサイズはちゃんとあっており、身体を動かしてみると全く違和感がなく動きやすい作りになっていた。

そう、今日から颯真はファルシオン魔法学園の生徒になるのだ。



着替えた後は学園のパンフレットを見ながら朝食を取り、後片付けをやりあえるとピンポーンっとチャイムが鳴り誰か来たこと伝えてくれた。

余談だかこの世界のチャイムは一般的な魔道具の一つらしい。


玄関のドアを開けると灰色の髪を腰辺りで纏めた女性。真っ白な肌で赤目の輝きをより強調している。


「おはようございます。学園長」


「おはようございます。アマミヤさん。支度は出来ました?」


「はい、大丈夫です」


今日から俺は生徒なので学園長は俺の事を名字で呼ぶようにしている。因みに俺は学園長のままだ。

石煉瓦の道を歩き学園長に案内されたのは武剣館、日本でいうと体育館のような場所に来た。そこには全校生徒がきちんと並んでおり辺り一面女子で男子など一人もいなかった。


「アマミヤさんはこちらで待機していてください。私が呼びましたら登壇して挨拶をしてもらいます」


「わかりました」


学園長と別れ個室に待機していると話が始まったのか学園長の声が聞こえ始めどうやら俺の事を話しているようだ。


「なんか…緊張してきたな」


この学園には千人近くの生徒が在籍している。その中、一人で挨拶をするので緊張しないわけがない。


「それでは皆さんに新しい生徒を紹介します」


学園長の声が聞こえるとざわめきが起こり出したのが颯真の耳にもしっかりと届いていた。


「ではアマミヤさんに登壇してもらいましょう」


目を閉じて深呼吸をする。


(よし!)


ステージに立つとそれは凄かった。女子生徒全員から視線を向けられ、隣同士でなにやらひそひそと話している。


「あ、あれが男の魔法使い?」


「……すごくカッコ良くない?」


「イケメンだ…」


颯真の耳には女子達の声は小さすぎて全く聞こえていなかった。颯真は視線を気にしながら少しはや歩きで学園長の元に向かった。


「それでは挨拶をお願いします」


祭壇に立つと、女子達の姿が全体的に見える。すると見覚えのある彼女達がいた。


フィリアとミラだ。


フィリアは颯真に向かって手をブンブンと振っており、その横ではミラがフィリアを落ち着かせようとしていた。颯真はそんな彼女達に手を振り返すと挨拶をし始める。


「はじめまして、ソーマ・アマミヤと申します。唯一の男性魔法使いとか言われてますが気兼ねなく仲良くしてもらえると助かります」


簡単に挨拶を言い頭を下げるとポツポツっと拍手が出て来てやがて武剣館に大きな拍手の音に包まれた。



「ふぅ、緊張した」


挨拶した後は特になにもなく終わり、解散となった。今は先程待機していた所で学園長と一緒にいる。


「あまり緊張していなかったように見えましたが」


「そうですか?」


「はい。ちゃんと挨拶できていましたよ」


「ありがとうございます!」


「ふふふ、それでは颯真さん。貴方に紹介したい人がいるのですが」


「紹介?」


「貴方の担任の先生です」


「えっ?どこにいるんですか?」


キョロキョロと周りを見てみるが俺と学園長しかいない。すると学園長はそんな俺を見て微笑みを浮かべていた。


「ふふふ、私の後ろにいますよ」


と言われ学園長の後ろに視線を向けるとそこには栗色のボブカットの小柄な女の子がいた。


「え?この人ですか?」


かなり驚いた。見た目は中学生と変わらないくらいで学園長の背中にくっつきプルプルと震えていた。


「すみません…彼女、男性が苦手なので…」


学園長は少し困った表情を浮かべていたがここは元々女子校だ。男性が苦手な人がいるのはゼロではないと最初から考えていた。


「いえ、気にしないでください。…えーと、ソーマ・アマミヤです。よろしくお願いします」


「ほら、アリア先生も」


学園長は背中にくっついている彼女の背中をポンっと優しく背中を叩いた。


「は、はいぃっ!……ア、アリア・ルーベルトですぅ…よろしくお、お願いします…」


「は、はい」


彼女は涙目になり、頭をブンブンと高速で頭を下げてるので、もう見るのが可哀想になってきた。そんな彼女を学園長がよしよしっと頭を撫でているので、もうその光景は完全に親子だ。


「アリア先生。彼を教室に案内してください」


「は、はい!」


その後、学園長と別れるとアリア先生と共に教室に向かった。向かう途中、何か話そうと思ったがアリア先生は終始プルプルと震えているので、とても話せる状況ではなく沈黙が続いた。やがて教室についたのかアリア先生は足を止めた。


「こ、ここで待っていてください…」


「あ、わかりました」


俺にそう告げるとアリア先生は右手右足を一緒に出し、まるでロボットのようにかくかくしながら教室の中に入っていった。因みに俺が編入するクラス1・Sクラスだ。この学園にはSABCDの五クラスあり、実力を図ったグラス分けになっている。少し待っていると突然教室内にキャー!とかやったぁ!など聞こえてきた。


「ア、アマミヤ君。教室に入ってきてください」


アリア先生から呼び出され一呼吸して教室に入室する。教室は日本の大学の階段教室になっていた。当然女子しかいないが俺のような黒髪は誰一人おらず、皆カラフルな髪の色をしていた。俺が入ってきたとたん全員の視線が俺に突き刺さった。視線の中には大半が好意的な視線で少数は興味がないような視線だった。


「ソーマ・アマミヤです。よろしくお願いします」


――と短く挨拶をするとアリア先生に好きな所に座っていいと言われたのではじっこの方に行こうとしたら金髪の美少女が俺に手を降っていた。


「ソーマ!こっちこっち!」


フィリアだった。先程、武剣館で見たがまさか同じクラスだとは思わなかった。


「フィリアもこのクラスだったのか」


「ミラも一緒だよ!」


フィリアの隣には銀髪の美少女。ミラがいた。彼女は先程まで寝ていたのか少し寝癖ができて小さなあくびを漏らしていた。


「ミラも一緒か。よろしくな」


「ええ、こちらこそよろしく」


フィリアの隣に座ると授業が始まった。


「今日は歴史の授業をしたいと思いますが…今日はアマミヤ君が編入してきたので軽くおさらいしたいと思います」


アリア先生は先程までおどおどしていたはずが授業が始まったとたん、顔をビシ!っと真剣な表情になった……が、アリア先生は生徒の方を向いておらず顔を思いっきりそらしているので全く決まっていなかった。


「いつもあんな感じなの」


横からフィリアが耳打ちをして教えてくれた。アリア先生は男性恐怖症の他に対人恐怖症らしい。一体先生の過去に何があったのだろうか……



魔法。二千年前に突如として生まれた存在。魔法は自分の身を守るため戦い、傷ついた身体を癒す神の力とも言われた。魔法には火水風土雷氷光闇の八種類で属性は人それぞれ十人十色だ。そんな魔法を使う人達を魔法使いと呼ぶ。この学園では魔法を学び、将来、人の役に立てるような冒険者、騎士団などに入れることになっている。



授業が終わり休み時間になると颯真は女子達に質問攻めにあっていた。


「ア、アマミヤ君って本当に魔法使えるの!?」


「身長いくつですか?」


「す、好きな人っていますか!?」


このように質問の波がどんどん押し寄せてくるのだ。

男の魔法使いは珍しいかも知れないがこれはちょっと大袈裟すぎじゃないか?っと思っている颯真。一方女子達は少し違った。確かに男の魔法使いは貴重だがそんなことより颯真の容姿の事だ。この世界では黒髪黒目は一番美しいと言われる。それに加えて颯真の顔はかなり整っており美の種族エルフを軽く越える容姿なのだ。顔は美しいではなくかっこいいと言った方がいい。しかし、そんな事を知らない颯真は勝手に勘違いしていた。


「え、えーと…」


どう返事を返したらいいか困っている時に救世主は現れた。


「皆、少し落ち着きなさい。ソーマが困ってるじゃない」


そうミラだ。このクラス、いや全校生徒はやたら美人が多いのだ。その中でもフィリアとミラはずば抜けていた。ミラが注意すると皆、はっ!っとなり冷静になったのかごめんねっと謝ってきた。


「あ、ありがとうミラ。助かったよ」


「いえ、気にしないでそれよりいいかしら?」


ミラは銀色の髪を耳にかけると真剣な表情で口を開いた。


「私と決闘(デュエル)してもらうわ」


「はっ?」


一瞬何を言われたか分からず俺や周りのみんなもポカンっとしていた。颯真はその言葉を理解した瞬間。ミラは更に追い討ちをかけるように


「拒否権はないわよ?」


と綺麗な笑顔で言われ逃げ場を無くした。


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