ミラ・ゼルレイン
遅れてすみませんm(__)m
今回は少し(かなり)適当になってしまったかも知れません
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目を閉じるとあの日のことを思い出す。
ある雨の日。私は家族を失った。
誕生日のお願いで両親と一緒に旅行に行った帰り、悲劇は起きた。
男は一瞬で護衛たちを斬り伏せ、血の海を作っていく。男は私を視界に入れるとニタリと顔を歪ませた。
「見つけたぜぇ。お姫様ァ!」
私を見ながらケラケラと笑い、血のついた剣を舐めた。まだ小さかった私は怖くて怖くてしょうがなかった。
「ミラ。私たちは大丈夫よ。だからあなたは逃げなさい」
お母様は微笑みながら震える私の頭を優しく撫でてくれた。
「お母さんの言うとおりだぞ。ほら早く行きなさい」
お父様はいつも見せてくれる優しい笑顔を見せてくれた。
「いやぁ……お父様ぁ……お母様ぁ……」
私は気づいていた。お父様とお母様はあの男と戦うことを……
「行くんだ!!ミラ!!」
お父様は今まで聞いたことがない程の怒声を上げた。
私は森の中をひたすら走った、両親の無事を祈りながら……。
桃色のドレスはビリビリに破れ、土で薄汚れ、手足には擦り傷などの傷がたくさんできており、顔は涙でぐしゃぐしゃになりながら走り続けた。
翌日、私は近くにいた冒険者に保護された。
私は両親が危ないことを伝えるとすぐさま騎士団が派遣された。
しかし、両親はすでに息を引き取っており、両親が殺されたことを聞いた私は酷い悲しみに襲われ、涙が止まらなかった……。
そして十年の月日が過ぎた。
私はあの日以来誰よりも強くなろうと決心した。
誰かに守られるのではなく、守るために人一倍、強くなろうと努力した。
「ミラ、大丈夫?」
不意に私を呼ぶ声が聞こえ目を開ける。
開かれた目はアメジストのように綺麗な紫色で、銀色の髪のロングヘアー。新雪のように白い肌で常に無表情だがその相貌は絶世の美少女だ。
目の前に心配そうな顔をしている金髪の美少女、フィリアの姿が見えた。
「ええ、大丈夫よ。ちょっと目眩がしただけ」
「本当に?無理しちゃダメだよ?」
「わかってるわ。貴女は本当に心配性ね」
「そうかな?」
「お人好しすぎるわね」
その後は美味しいデザートのことなど話していると――
キーンコーンカーンコーン
授業が始まる鐘の音が鳴り、周りの生徒は急いで席に着いたりしていた。
鐘が鳴り終わるがまだ先生の姿が無く、教室は静寂で支配されていた。しかし、そんな静寂を破ったのはフィリアたちの担任アリア・ルーベルトの悲鳴に近い声だった。
「た、たたたたた大変ですぅぅぅぅ!!!!」
混乱しすぎてあわあわしている彼女はクリーム色の茶髪茶目でボブカットにしており、身長が低く見た目が幼く感じるため中学生くらいに見間違えられることがあるらしい。
「せ、先生!とにかく落ち着いてください!」
「先生。大丈夫ですか!?」
先生の周りにいた生徒が落ち着かせるとようやく興奮が治まり、アリア先生は落ち着いて指示を出した。
「く、詳しくは学園長がお話ししますので全員、速やかに武剣館に集まるようにと……」
☆☆☆☆
武剣館は訓練をしたり、全校集会などに使われている場所だ。今ここにいるのは一年生だけ、二、三年生は遠征に行っているのでかなり広く感じられる。
「何かあったのかな?」
「わからないわ……。けどさっきの先生の慌てようから見るとあまりいいことではないわね」
周りの女生徒たちも同じようにヒソヒソと話し声が聞こえてくる。
そんな事を話しているとステージから灰色の髪に赤目のとても美しい人で同姓の人でも見惚れてしまいそうな美女が現れた。彼女こそファルシオン魔法学園の学園長を勤めており、元五大魔女の一人だった人だ。
五大魔女とは世界最高の力を持った魔法使いに与えられる称号だ。魔法使いの人は誰もが憧れる存在だ。彼女はある日を境に魔法が使えなくなり自ら五大魔女を辞退した。止めた今でも彼女の人気は衰えること無く憧れの存在なのだ。
「皆さん。お静かに」
武剣館に静寂が訪れ、皆、学園長の話に耳を傾ける。
「一年生の皆さん。今からなぜ皆さんを集めたのかをお話したいと思います」
学園長は【伝声】の魔法を使い、武剣館全体に聞こえるようにし、告げた。
「……現在、私たちが住んでいる王都に魔物の大軍が攻めてきています」
魔物が攻めてくる事を聞いた生徒たちは驚愕したが学園長はそれを無視して話を進める。
「白竜魔法騎士団・黒獅子騎士団は王の護衛に向かっており、上級生は遠征に行っており今この王都を守る矛と盾はありません。
もしこのままでは王都は魔物たちに蹂躙され、国が滅ぶと言ってもいい災厄が来ます。災厄を阻止するためには貴女たちの力が必要になります」
静まり返った武剣館に一人の女子が手を上げた。
「学園長」
「はい。ミラ・ゼルレインさん」
「学園長のお話しによると私たちに戦えということですか?」
「そうです。ですが戦うのは貴女たちだけではありません。冒険者ギルドや剣士ギルドが魔物撃退の作戦に中心的に動く事になっています」
不安そうな顔をしているが冒険者ギルド・剣士ギルドの名がでるとホッと安心したようで顔には安堵の表情がチラホラと見えてきた。
「わかりました。王都を守るために私は行かせてもらいます」
「学園長。私も戦います!」
「フィリア……」
「ミラはすぐ無茶しちゃうから私、心配なんだよ?」
「ふふふ。ありがとう」
ミラとフィリアが行くと言うと周りの生徒たちも戦う覚悟をし、皆頷いていた。
魔物が王都に到着するまであと一時間……。
☆☆☆☆
新しい情報では魔物の数は二万を超え、ゴブリンやオークが多いらしく、魔物の大軍は王都の東西南北からそれぞれ向かってきており、一番数が多い方向は北だ。
俺が所属している剣士ギルドは魔物が最も多い北の最前線で魔物を出来る限り減らす、背後には学園の魔法使いや冒険者ギルドの魔法使いが自身の最大魔法で総攻撃する。
他のギルドは東西南で魔物を一掃した後、北へ応援に向かうようになっている。
颯真はいつもの黒い和服を纏っており、腰には【虐刃】を着けている。戦いに備えていつでも身体を動かせるようにストレッチを念入りにしておく。
「あっ……。ソ、ソーマ?」
ふと自分の名前を背後から呼ばれ、首だけ振り向くとそこには黒い軍服のような制服で左胸には青い刺繍で学園校章が縫われている学園制服を着ているフィリアと銀髪の美少女がいた。
「やっぱりソーマだ!」
フィリアは俺の顔を見ると可愛らしい笑顔を向け、彼女の狐耳と尻尾がフリフリと揺れていた。
「貴方がソーマ?初めまして、私はミラ。フィリアの友達よ」
銀髪の美少女が俺に手を差し出し挨拶をしてきた。俺は差し出された手を握り握手をする。
「俺は颯真だ。よろしくなミラさん。俺のことは気軽に呼んでくれ」
「さん付けで呼ばれるのは苦手なの。ミラだけでいいわ」
「わかった。ミラって呼ばせてもらうよ」
「ええ、構わないわ。……それに貴方のことはよくフィリアに聞いてたから会ってみたかったの」
「フィリアが?」
「ミラぁ!それは言わないって約束したのにぃ……!」
フィリアは急にあぅあぅと慌てだし、ミラをポカポカと叩いていた。
「あはは。二人とも仲がいいんだな」
颯真は仲良さげな彼女たちを見てつい笑ってしまった。
「「・・・」」
颯真は返事が来ないなと思い二人を見てみると頬を赤く染めているフィリアとミラがずっと俺の顔を見つめていた。
(あれ?どうしたんだ??)
「おーい。フィリア?ミラ?大丈夫か?」
「……え、ええ、大丈夫よ……」
「わ、私も大丈夫……」
「?」
二人の様子が少しおかしいと思ったが気のせいだったらしい。
二人は俺に背を向け、なにやらこそこそと内緒話をしている。
『……話に聞いていた通り、凄まじい破壊力ね』
『うん……』
☆☆☆☆
そしてついに戦いの時が来た。
フィリアたちとは配置が違うため一端別れた。
周りの男たちは大声を上げ、気持ちを高ぶらせている。
「行くぞ!!野郎共!!」
ギルドマスターが巨大な大剣を天に掲げると皆、己の武器を取り出し天に掲げ
「「「ウオォォォォォォォォ!!!!!」」」
男たちの咆哮が天に轟き、魔物との戦いが幕を上げた。




