緑はリラックス効果があります。
カロリーメ○トをパクつきながら空を眺める。
何か…、長い1日だったな…。
結局ゴミ置き場以外でゾンビを見ることはなかった。
何度も言うようだが、あれは絶対にゾンビだ。
今、そのゾンビから逃げているんだよな…。
やっぱり実感がない。
「純平」
「どした?」
「信じてくれてありがとう」
それは凄く自然に口から出てきた。
僕が純平の立場だったらゾンビなんて絶対に信じなかっただろうし、何もできなかっただろう。
しかし、彼は聞く人によっては下らない妄言を信じ、ここまで連れてきてくれた。
恥ずかしさ云々を抜きにして、改めて感謝を伝えたいと思った。
「……別に。俺と和樹の仲だろ」
それだけ呟いた純平は、昔からずっと変わらない微笑を浮かべていた。
謎の沈黙。
…やっぱり慣れないことをするもんじゃないな…。
恥ずかしい…。
「あっ、それとさ」
「ん?」
「和樹は正しかったよ」
そう言いながらスマホをこちらへ見せてくる。
?
スクショ…かな?
どうやらネットニュースのスクショのようだ。
「和樹の家にいた時点のネットニュースだ」
「えっと…、『○○県○○市の県立○高校で暴力事件』……。これって……」
「速報で回ってきた。警察も出動したらしい」
「じゃあ、やっぱり……あれはゾンビだったのかな」
「………。…間一髪だったな」
……ってか、それよりも…。
「……もっと早く教えてくれても良かったんじゃないの?」
「お前パニクるだろ」
「……否定しない」
ホラゲーとかは好きだけど、驚かないわけではない。
結構パニクる。
「ここは圏外だから、明日は麓へ降りて情報を集めよう」
「うん、分かった」
今街はどんな様子なのか。
考えても考えても、普段通りの街の風景しか浮かんでこない。
それほど僕にとって慣れ親しんだものだったのだろう。
***
その後は軽く予定をたてて、寝ることになった。
気にもたれ掛かって寝るため、熟睡は出来ないだろう。
それでも目を閉じると、自然に眠気がやってくる。
疲れた。
あんなにチャリを漕いで、山を登って、高校に入って一番運動したかも。
父さんと母さんは大丈夫かな。
海外でも同じことが起こっているのだろうか。
昨日の今頃はゲームしてたなぁ。
頭を空っぽにしようとすればするほど、様々なことが思い浮かぶ。
あっ……、そうだ。
純平からギャルゲー借りなきゃ……。
その前に……、前…借りたやつを……。
返さ…、な……。
……………。