街へ向かいましょう。
「急だけど、街に戻ろう」
焚き火が揺れている。
学ランを乾かしつつ、カロリーメ○トを夕食としてゆったりと過ごしていた。
「…あぁ、いや。一旦様子を見に行こうって意味」
「一旦…か……。…何か目的はあるの?」
「情報が欲しい」
「ゾンビの?」
だったらさっきのが良い例じゃないか。
実はめっちゃ弱い。
「……それもそうだけど、とりあえず行こう」
「うん…。いいけど……」
純平にしては珍しく歯切れが悪い。
「……和樹はおかしいと思わなかったか?」
「ゾンビが異常に弱いのを?」
「そうじゃなくて。こんな山の中にゾンビがいるのを、だ」
うん。まあ、確かに。
「街中で感染してやって来たのかな」
「チャリで二時間の距離を2日間で来れるか?」
そっか…。
「俺が思うに、考えられる可能性は2つある」
「ほぅ」
「まず、この山の登山者が感染した説」
「……でもそれだったら、この山の近くにゾンビがいなければならないよ。それに…あのゾンビの格好はとてもラフだったし」
「まあ、それは一旦置いといて……、もう一つは、ゾンビが何者かの手によって運搬させている説」
「…う~ん、無くはないけど…」
「………」
「早く走れるゾンビがいるとか!」
「それめっちゃ怖くね?」
「……うん。怖いね」
想像したくない。
「……明日の遠征はそういうことをまとめて確かめよう」
遠征って……。
そんな大袈裟な…。
「でも、街の様子は気になるだろ?」
街の様子…。
「うん。気になる」
山の中にいたからこそ、情報でしか知らない現状を知りたい。
今、何が起こっているのか理解したい。
「だよな」
力強く純平が頷く。
「というわけで明日は5時起床」
「えぇ~~~!?」
「探索時間確保のためだ。仕方ないだろ」
「ガッツリ寝たいのに……」
まぁ、街へ行くことを考えればしょうがないか…。
その日は高揚する気持ちを抑えながら、眠りについた。
作者の私用(大学受験なんですが…)で、しばらく執筆を休みます。
進路が決まり次第、執筆を再開します。
気長にお待ち下さい。




