笑えない状況で笑うために
アースがフレアと連携して襲い掛かってきた前夜は都市範囲で大罪系を全部使った上に、寝込ませる目的で付与してやった。
で、翌朝。こんな時どんな顔をするのか分からないから笑い薬の材料を探そう…というわけで、その隙を見計らって大森林にやってきた。ついでに忘却の薬でも作って色々忘れたいし忘れさせようかなと思う今日この頃…
なんて思ったところでどうにかなるものでもないし、笑い薬の材料探してさっさと…帰る前に墓参りすればするほどフラグ立ってるからもう良いやと思う。それでもするんだけど…そこが灯里たちの眠る場所だからなぁ…
【地図師】のお陰でミケの案内の時みたいな展開にはならずに済むから材料集めながら行ってみるか。【転移】で各集落に行った時よりは魔力消費も少ないし…
◇
というわけで…どういうわけなのと。
本物の灯里たちが眠る広場へとやってきたら、少女たちが磔にされていたでござるの巻…
ドワーフ、ハーピー、マーメイド、アラクネ、ラミア、アルラウネ、スキュラ…うん。間違いなく亜人だ。囲んでるのはそれ以外にも多くの種族が居るが。
「これより、女神アカリ様への捧げ物を行う。像を破壊されたお怒りをこの者たちの命を持って鎮めていただくのだ」
あ、これ自業自得みたいだ。助ける以外の選択肢を見出せない…とはいえ、あかりん菌の解放がなければ灯里の完全復活は無かったわけだし…
とりあえず、どちらにしても無意味に人の命を奪って怒りを鎮めるわけがない。むしろ…いや、灯里に任せてみようか。というわけで灯里を呼び出す。元は剣なんだから召喚出来るわけだし。
◇
寝込んでたら、お兄ちゃんに召喚された。でも、ちょっとタイミングが悪かった。
「どうしてそうなった…」
美徳と大罪、元々の【混沌】はそれを取り込んで【七大罪処刑】になっていた。で、それに私の魂と前の神の力を加えてしまったがために…
「くっくっく…カティナという器を得て私は再び神と………な、何故裸なのに、目の前に男がっ!?」
結果、剣が2つに砕けて私の意識下にあった前の神で吸血鬼の始祖の魂が解き放たれた瞬間、お兄ちゃんに裸を見られて気絶した。
「あー…うん。とりあえず後で話すから服を出してあげて」
「それは構わないが、それより先にあれをどうにかしてくれ」
お兄ちゃんが指差した先には懐かしい場所と怪しげな集団…お兄ちゃんが言うには「あかりん教の盲信者に殺されかかってる女の子たちを助けてやれ」という事らしい。確かに磔にされている女の子たちが居る。
「さすが、お兄ちゃん。ハーレムを増やすために生かそうとするんだねっ!」
「言うと思ったが、早く助けてやれ。ついでにお前の怒りであいつらの目を覚まさせとけ」
「お兄ちゃんの命令とあらば、大森林を焼け野原にしてでもやってみせるよっ!」
「焼け野原はやめろ」
◇
とりあえず、裸なアルビノあかりんもどき…というか、カティナの姿をした何かに服を与えて隠れつつ様子を伺う。
「私は封印されていた像から解き放たれて幻の勇者の兄にして、この世界の神の使徒として蘇りました。ですから、この者たちを捧げ物とするなら生きて捧げなさい。そうすれば兄のご加護が得られるでしょう。しかし、命を奪おうとするならば大森林に災いが降り注ぐ事になります」
妹、ノリノリで新生あかりん教という名のお兄ちゃん至上主義なるものを展開中…まあ、今回ばかりは許してやろう。少ない脳みそで考えた結果なわけだし。
「全ては兄の導きです。それに逆らう者はこの世から消え去るのです…さあ、唱えましょう。ジークお兄ちゃんと」
それはやめろ。マジやめろ。ほら、亜人たちから「こいつおかしい、本当に女神か?」って疑われ始めてるじゃないか。おかしいのは認めるが、本当にどうして女神にしたんだと問い詰めたい。だが、石を投げようとするのはいただけないので神罰という名の雷撃をピンポイントで落としてやる。無論、丸焦げアフロになる程度に抑えてだが。
「逆らえばこうなるのです。さあ、この子たちを連れ帰るというのなら止めはしません…ですが、更に捧げたいというのであれば、それも止めはs…ピギャー」
勿論、そんなハーレム増加を目論む悪の枢軸にも神罰を降り注ぐ事は忘れない。どうせ効果ないけど。
とりあえず、俺も出て行って説教しよう。あかりんもどきは…抱きかかえて持ってくか。
◇
私が気絶している間にお兄ちゃんが降臨して亜人たちに説教して追い払ったらしい。その結果…
「トウマ神に感謝を」
「「「「「「感謝を」」」」」」
お兄ちゃんがモンスター娘ゲットだぜって事になってた。聞けば、「灯里たちが助けた命を400年経ったからといって、先祖の出来事だからといって粗末にするような奴は片っ端からアフロにするぞ」と言ったらしい…あ、私もアフロになってた。
髪を魔法で元に戻して、遠い目をして女の子たちにハグされてるお兄ちゃんを改めて見てみよう…何か調合してる。で、出来たのを飲んだ。けど、そんじょそこらの薬に効果あるのかな…お兄ちゃんならたとえ即効性の毒薬でも効かない気がするけど。
「はっ…お兄ちゃん、そんな事しなくてもお兄ちゃんフェロモンは十分出てるよ」
そうフォローしたら調合してたすり鉢投げつけられた。最近、お兄ちゃんが私に冷たい…




