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お茶会と茶番



「粗茶ですが」



領主の城に通されたウチはそこで番茶のもてなしをされた。ああ、懐かしいなこの味と思いつつお茶を用意してくれた少女を見る。


城塞都市・シラヌイの領主、鬼族の姫…



「ディナちゃん…もしくはお嬢様、お口に合いませんでしたか?」


「そんな事はないけど…今のウチはファルって名前だから。サレナちゃん」


「呼び捨てで構いませんファル様。ボクにはディナちゃんを巻き込んだ罪もお嬢様を救えなかった罪も…そして、アレクくんを苦しめた罪も藤島燈真様を避け続けた罪もあります。しのぶとしてもユーカとしても…このような姿に生まれ変わるまで魔族は醜いと、あの世界に生まれた意味は無いと思い続けた愚か者ですから」



今の彼女には額に2本の角がある。でも、それ以外はさほど変わらない。ウチの記憶の中にあるユーカとしのぶそのまま。外見も何もかも…


ユーカはディナにとって妹みたいな存在の明るい子で、ディナと同じでアレクが大好きだった。でも、ああなってしまった。


そして、転生したしのぶという女の子は沙耶の乳母の娘で同い年ながらも姉妹のような仲だったはず。でも、しのぶはユーカと正反対で無口で人付き合いの苦手な子だった。そんな彼女がとても悔やんだ事がある…大好きなの人と再会したのがその人のお葬式だった。きっとしのぶはユーカそのままで転生していたのだと今は理解出来た。そして、今も…



「許してもらえるよ。少なくともウチはサレナちゃんと一緒にまたバカな事をしたい…ユートの転生した近江くんも含めた4人で、それ以上でバカな事をして笑い合おう?」


「…ですが、今のボクは大魔王の配下です。四天王として従う限り魔族は安泰…この城塞都市は脆い社会です。100年前の愚行で恩を仇で返し勇者ラピスを深く傷付けた。彼女が目覚めれば間違いなく今度こそ魔族は終わります。ですから…」


「それを何とか出来るから幻の勇者なんだよ。ウチらの大好きな人は裏切らなければずっとずっと優しい人だった…だから、許してもらおう?」








「というわけで、サレナちゃんもリーシャちゃんもバカネコ大魔王が発情期に入って襲われる可能性が出てきたからさっさと終わらせようという事になったわけで…」



奏多の大雑把な説明を聞きつつ、殴り倒されたリーシャと、かつての愛剣でセイントドラゴンの魂が宿って俺を刺した事で【神殺しの剣】となった聖剣でセーラと名乗る師匠(笑)を治療しながらバカネコ大魔王は八つ裂きにしようと思い立ったわけだ。


とはいえ、奏多は手加減してなかったなぁ…「お兄の優しさを理解しないで何が愛してるだ」とか「お兄の守りたかった人たちを惨殺して何がお兄のためだ」とか八つ当たりしてたから、こいつ俺より強いんじゃないかとも思えてきた。でも、「ショタになったお兄を育成してもっと格好良くしたかったのに」というのはいただけない。後で問い正すとしよう…



「一人称も呼び方もリーゼアリアちゃんと被るエセ妹だからもっと矯正してあげないとね…」



ちょっと病んでないか、お前…







『カタカタカタカタカタカタ』


「『子孫のためなら何でもする』なんてバカな事を言うなにゃん。子孫のために戦争する骸骨なんてバカだにゃんっ!」


『カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ』


「『死んでも役に立つし守れるなら構わない』なんて身勝手な事を言うなにゃん。竜ちゃんの尊敬する先輩が、友達が、そしてもう1人の子孫で幼なじみだった我輩たちがそんな事許さんにゃん…死んでも役に立つし守れるならあんなクソ兄貴より琉璃ちゃんの役に立ってあげるべきだにゃんっ!」


『カタ…カタ…』


「そうにゃん、『琉璃ちゃん』だにゃん』



どうして『カタカタ』と骸骨の口が動いているだけなのに分かるんだろう…幼なじみだったからかしら。わたしのスキルでも分からないのに…猫耳魔神・・・・っていうだけあるわ。


ちなみに、シュウちゃんはわたしの横で倒れてる。さすがにレベル1では無理だったわね…まあ、死んでなければ勝ちだし。



「そろそろ出番みたいだからスタンバイしてね」


「スケルトンが【光魔法】使うとか反則すぎる…」



まあ、気持ちは分かるし常識じゃ回復系はアンデット系にはダメージにかならないはずなのに回復してるのよね、近江くんだけは。やっぱりバカよ、彼。


まあ、とりあえずミケちゃんが説得出来たみたいだしインテリジェンス化してさっさと帰りますか。


でも、近江くんが【風の聖剣】ウィンディアになって話を聞いた途端、状況は変わる。


彼は四天王ではなかった…

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