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捕らわれの聖女

そう告げられた後、俺は王城を追い出された。いや、正確にはリーゼアリアに頼み事をされたのでそれを果たしに行っているのだ。


リーゼアリアは貴族たちに事情の説明に行った。危害を加えられる事は無いと言うが心配ではある。



「心配か…」



彼女はある意味理想的なお姫様だった。いや、雇い主と言った方が良いのか…とにかく、今の段階で俺は信用に値すると思えた。


きちんとその後の策まで考えていたのだ。この国を王国ではないものにすると。民を惑わせた王族は居なくなり貴族が国を動かすのだと。


まあザルな考えではあったし王族としても最低なものではあると思う。結局は責任を取って逃げるのだから…とはいえ、俺にすればマシな考えと思えるのだ。同じ穴の狢としてだが。


結局、彼女はただの女の子で協力してくれる人が欲しかったのだ。それは勇者でなくとも良かった。むしろ、魔王の方が好都合だったかもしれない。



「リーゼアリアに頼まれて来た。無事か?」



灯台下暗しではないが、聖女は神殿の隣にある廃れた教会の地下牢に閉じ込められていた。


聖女アリエルア・テオライト。女神の生まれ変わりとも言われる彼女は質素なドレスを身に纏い、両足を鎖に繋がれていた。



「……あなた様は…」


「ただのしがない魔王だ。安心しろ」



魔王と言われて安心するわけはないが、勇者を名乗るにはおこがましい。本来、アリエルアを迎えにくるのは彼女の役目であり、彼女こそが勇者と名乗る資格があるのだ。


俺は大剣で鎖を断ち、アリエルアに切先を向けた。



「あ、あの…」


「安心しろ。回復させるだけだ」



魔法の扱いがこの世界でどうなっているのか分からないし、回復魔法だけでは到底回復しきれないほど衰弱していたアリエルアにはこの方法が一番なのだ。


この大剣は【七大罪処刑セブンエクスキューション】という魔剣だ。様々な使い方があるのだが…



「俺はその状態に【嫉妬】する」


「な、何ですか、いきなり…」



まあ、いきなりそう言われては戸惑うのは当然ですよね…だが、これが使い方の1つだ。



「…え、嘘…」



【嫉妬】というワードによって、俺の状態と彼女の状態が入れ替わる…つまり、彼女の衰弱が俺へと付与され、彼女はある程度の気力は回復する。ついでに【聖竜波動】で俺には衰弱は意味を成さない…はずなのだが、空腹状態まで入れ替わったのか俺の腹が鳴った。締まらないな…



「あ、えっと…」


「気にするな」



気まずい空気が流れるが、気にしたら負けだ。勝っても意味はないが。


とりあえず、有無を言わせないままアリエルアを抱え上げて地下牢を出る。「あの…その…」と戸惑い続けていた彼女は到底女神とは思えないのだが。



(にしても、灯里が女神ねぇ…)



教会に置かれていた女神の像は丁寧にも名前入りで女神アカリ・フジシマと彫られていた上にかなり似ていた。


もっとも、その生まれ変わりと称されるアリエルアは灯里とはまったく似ていないタイプではあったが美少女なのは間違いない。


そんな事よりトウマの悩みは別にあった。



(分骨とかしてないだろうな…)

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