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後輩が性転換して愛を囁いてくるんだが…



とりあえず、ミケの耳を優しく撫でつつ膝枕をしている。和む…まあ、「じゃあ子作りにゃん。今すぐするにゃん」と言われた時には敗北を覚悟したけどどうにかなったさ。扉が鉄格子じゃなきゃ負けてた。いや、負けちゃダメだろと…


と思いつつも猫耳の誘惑には勝てないのだから説得力ないなぁ…まあ、耳を触っている間はミケも満足しているのか何も言ってこない。むしろ寝てる。気分は縁側でネコを膝に乗せて日向ぼっこしてる老人だ…いや、暗くてジメジメした牢屋だけども。


そういう考えをしてるからちょっとネガティヴスイッチが入ったりする。加護とて万能ではないのだ。メアたちがリーシャに殺されたように…更に言えばミケを除けばリーゼアリアたちは戦いに不慣れなわけで取り囲まれたらお手上げだ。


引き離された時点で暴れるべきだったか…



「ミケ、脱獄するぞ」


「……にゃん?」


「いや、しないでください」



音もなく現れたのは老年と言っていい男だった。しかも、異質な感じのする…



「何者だ、お前は…」


「シュウゾウ・キタザトと申します。北里秀一の抜け殻と思っていただいて結構です…一応トウシューの領主をしております」



北里の抜け殻…意味が分からん。まあ、わざわざ領主が来たのなら人質にしてリーゼアリアたちの安全を確保させるか。



「妹君たちの安全は保障します。兵が不適切な対応をして申し訳ありませんでした、藤島燈真様、山根小夏様」


「……誰から聞いた。俺たちの前世の名前を?」


「初めから知っております」



どうも調子が狂う。一応は信じてやるか…北里の名前を出すなら。







「先輩だ、先輩だ、先輩だぁぁぁぁぁ」



お兄様が来た途端、北里くん…いや、シュウちゃんがお兄様に飛びついた。色々あったんだね、北里くん…



「状況を説明してくれ。その前に全員無事だな?」



さすがのお兄様も状況分からないよね。イリーナさん以外は僕たちも理解出来てないし。


お兄様の後ろに居る人は誰ですか?


後、北里くん…外見が小さな女の子だからって中身の事は考えようよ。









話を聞くに、北里は100年前に死んでいた。でも、記憶をコピーされた【ホムンクルス】1号体のシュウジ・キタザトによってトウシューはすぐ再興した。で、シュウジの老いと共に北里の記憶は改良を重ねた現領主のシュウゾウ・キタザトへ移植され、2年前に今俺の膝の上に座る少女・シュウへと引き継がれていたわけだ。


まあ、そこまでは理解した。更にいうなら北里の記憶を抜いたシュウゾウは【ホムンクルス】とはいえ彼自身の人格を持っているのだから、シュウという少女も北里の記憶を持った普通の女の子というわけだ。リーゼアリアたちと同じような…転生とは少し違うが、似たようなものと思うようにしよう。でないと北里が俺の膝の上に座って甘えてるって事だぞ。耐えられないっつうの…



「それでトウマ様…シュウをもらってやってもらえますかな?」



何言ってんの、この領主…ただでさえこの都市は文明進んでるが【ホムンクルス】なんて禁忌中の禁忌を俺に託すとか。


いや、話を聞いて北里の気持ちは理解したしこの都市がこんな姿なのも分かる…でも、それは理解の範疇超えてるわ。



「というわけで却下…そんな目で見るな」



膝の上の少女が今にも泣きそうな瞳で俺を見上げてきた。



「【ホムンクルス】って言っても生まれたてじゃないですし、【風魔法】だってありますし、称号は風の勇者ですし赤ちゃんだって作れますから、ハーレムに加えてください。お願いしますっ!」


「リーゼアリア、ちょっと表出ろ」



ハーレム云々言ったのお前以外にあり得ないし。








我輩は魔王にゃん。よく分からないけど勇者だと言う奴が現れたにゃん…ご主人様は別格だから構わないにゃん。今は外でリーゼアリアを説教中にゃん。それはどうでもいいにゃん。


小夏の記憶では北里は同い年の雄だったにゃん。嫌な奴だったけど、ご主人様のお陰でマシな奴に変わったのは覚えてるにゃん…だから、ご主人様が望むなら一緒に来れば良いにゃん。今は雌だから尚更にゃん…でも、ご主人様は嫌がってるから戦うにゃん。



「というわけで勝負にゃんっ!」


「どういうわけですか、山根さん?」


「ミケにゃん、そこ間違えんなにゃん」








「TSはロマンだよ、お兄ちゃんはそれが分からないかなぁ?」


「TSが何かは知らないが、北里に変な事教えるな」


「変な事じゃないよ。むしろ北里くんだから信じられるんだよ。そりゃ最初に私とかなちゃん、ネコちゃんに告白してきたのは驚いた事もあるけど、私のお兄ちゃんが好きって気持ちを真摯に受け止めてアドバイスくれたのは男子では彼だけだったんだよ。だから、女の子になって現れたら応援してあげたいし、お兄ちゃんには400年も待ち続けてくれた子を幸せにする責任があるよ」


「いや、言いたい事は分かる…でも、今の北里は人が作った事が知れてみろ。大変な事にならないか。永遠の命とかって…」


「大丈夫だよ。そんな事を考える魔王はお兄ちゃんが既に抹殺済みだから」



ヤバい…説教するつもりが説得されている俺が居る。北里は男だって言おうにもそれは俺が既に自己否定で片付けてる。年とかは400年の加算がとか言われたら逃げ場ない。何より、彼女の全てが北里でないのだから悩む事はあまりないのだ。


それに膝の上に乗せた彼女は柔らか…【色欲】【色欲】【色欲】。欲求不満になってるんじゃないよ、俺…



「と、とりあえずちょっと考えさせろ。話し合う時間が欲しい」


「そうにゃん。だから拳で語り合うにゃん」



ミケが飛び出してきてそう言った。しかも何故かシュウの首根っこを掴んでいた…

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