いざ、観光都市へ
とりあえず、力と技のあかりん3号が居るか居ないかはさて置き、前世の記憶を思い出させるかは状況次第だと説得した。リーゼアリアとアリエルアは事故だったし、ミケには確信があったから【時戻】を使えたわけだがこれからはそういかない。
リーゼアリアは灯里にほぼ乗っ取られ、アリエルアは灯里とほぼ混じって、ミケは小夏の記憶を過去の一部と割り切った。とはいえ、間違いで前世を思い出させてそれが大罪人とかだったら洒落にならない。
それに、今世の人生がメチャクチャになる可能性の方が高い。変な理想に足を引っ張られ破滅した誰かのように…
リーゼアリアとアリエルアにはそれを理解してもらいたかったが…
「たとえ今がメチャクチャになってもお兄様と再会出来た方が嬉しかったし…」
「むしろ、今すぐメチャクチャにして欲しいよ」
無理です、諦めました。リーゼアリアは特に手遅れでした。いや、最初から手遅れか…
「諦めるにゃん。我輩は前世なんてなくてもご主人様と子作りするにゃん。前世があるからご主人様以外とは絶対しないにゃん」
あ、こいつもダメだ。これからは【色欲】と【怠惰】を駆使して乗り越えようと心に誓った。
◇
ご主人様たちが向かう観光都市は「ホンゴウ」って名前にゃん。本郷奏多…かなたんの名前からにゃん。
ちなみにご先祖様の国は「フジシマ」だったにゃん。よくよく考えればあかりんとかなたんの名字で戦争してたにゃん。不届き者たちにゃん。
それをご主人様に言ったら「滅ぼすか」って言ってたにゃん。さすがご主人様だにゃん。でも、あかりんズに止められてたにゃん。
「とりあえず、これで行くにゃん」
ホンゴウまではまだ馬車で半日近くあるにゃん。だから、九尾を召喚したにゃん。乗ってくにゃん。
ヘビはあかりんズに却下されたから残念にゃん…
「ミケちゃん…勿論、擬人化出来るんだよね?」
「ちょっと何言ってるか分からんにゃん」
「お兄ちゃんのハーレムを増やすために理解しようよ」
リーゼアリアを理解するのはきっと無理だにゃん。
「なら、憑依とかするんですね。分かります。ジャケット羽織るみたいにして特殊能力使うんですよね」
アリエルアも分からんにゃん…小夏の記憶では灯里は変な事を口走る奴だったから仕方ないにゃん。
「…さすがに4人は定員オーバーじゃないか?」
「失礼だよ、お兄ちゃん」
「そんなに重くないもん」
さすがご主人様にゃん…話を元に戻してくれたにゃん。でも大丈夫にゃん。4人くらい運べなくて九尾なんて名乗れないはずにゃん。
でも、ご主人様が乗ったらキツネ精神的に潰れたにゃん。威圧感半端なかったにゃん…
◇
どうして悪役が大きな動物とかメカに乗るか理解出来た今日この頃。【傲慢】使えば乗れたのかもしれないがそこまで強いる事じゃない。
【魔王研鑽】の影響で魔物に好かれてないんだろうと納得して3人の乗ったキツネを少し離れて追いかける。あまり近付くと恐怖で進まなくなるからだ。1人だけなら魔法を駆使して幾らでも早く移動出来る。ミケにも加護を付けたペンダントを渡したし何があっても大丈夫だろう。
観光都市の入り口まで着いたところで、巨大な魔物を操り人々を恐怖に陥れた猫耳魔王たちが騒乱罪で捕まったという話を聞いたが別人だろう。
俺はきちんと「都市の手前で魔物から降りて待っておけ」と言ったはずだ。入り口まで突っ込めとは誰も言ってない。言ってないったら言ってない。