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レベルとスキル

「強くなければ生き残れないにゃん」



魔王を自称し、巨大魔物を使役するだけあってミケはレベルの事に詳しく…なかった。使えねぇ…


小夏も【調教師テイマー】だったから分かるらしいがレベルなんてものはあくまで数字でしかないし、魔物に勝つか認められれば使役出来るらしい…


スキルも結構曖昧なものでこの世界に生まれたから皆が持つなんて事は無いらしい。リーゼアリアがその例だ。



「でも、後天的に手に入る事もあるから大丈夫だよ…多分」



リーゼアリアはそう自分に言い聞かせていた。まあ、俺も後天的に手に入れたわけだから慰めておいてやろう。



「僕たちの場合は転生しても【水魔法】が無かったよね。でも、ミケちゃんはある…これって何か意味があるのかな?」


「きっと偶然にゃん。我輩はもっと派手なスキルが良かったにゃん」


「あるだけいいじゃない…」



ヤバい、リーゼアリアの精神力が削られてる。話を切り上げないと…



「とりあえずスキルの話はさて置き、レベルの事なんだが…92ってのは高い方なのか?」


「知らないにゃん」


「将軍や騎士団長が70超えてたから高い方じゃないかな?」


「最狂の勇者様は350を超えてたって噂ですけど、あくまで噂ですし…」



むしろ噂でも350までは計測出来るはずなのに、俺は測定不能なわけなんだが…当てにならない数字だな、マジで。ますます色んな謎が深まったわけだ。



「まあ、スライムで50も上がる世界だからな…」


「ご主人様、スライム舐めたらいけないにゃん。あいつらは規格外だにゃん」


「…でも、お兄ちゃんは1回スライムに食べられるべきだと思う」


「お兄様はスライム並みの生殖欲求を持つべきだと思います」



まさか、このレベルの数字って残念度ってわけじゃないだろうなと思い始めた今日この頃。それだと癪に触るが測定不能なのも理解出来るわけなんだが。



「でも、これで方針が決まったよね」



不意にリーゼアリアがそんな事を言った。レベルを上げて残念度で俺を精神的に叩くつもりか?



「ネコちゃんのスキルをミケちゃんが持っていたんだから、偶然かもしれないけど同じスキルを持つ人を探していけば皆に会えるはずだよ」


「根拠ないんじゃ…」



灯里リーゼアリア灯里アリエルアがツッコミ入れた。虚しくないか、それ。





という事で私たちは覚えている限り皆のスキルを書き出してみた。


いいんちょは【鑑定士】、姐御は【弓使い】、しのぶちゃんは【暗殺者アサシン】。この3人は絶対に探す。今のところこれだけしか無いのが心苦しいけどすがれる藁があるだけマシだ。


他にも【火魔法】【風魔法】【鍛冶師】【結界師】【薬師】【調合師】【剣士】【拳士】なんかを地面に書いていく。ミケちゃんも手伝ってくれてかなちゃんの【土魔法】を除いてだいたいが出揃った。



「無駄な記憶力だな…」


「酷いよお兄ちゃん…」



これでも頑張って思い出したのに…でも、こうやって見てみるとどうして私たちは力を合わせなかったのかなって思う。スライムに負けて戦いが怖くなったり中毒や依存しちゃった子は居た。それでも皆で聖剣を順番に取りに行けば良かったはずなのに…まあ、考えても仕方ないよね。



「とにかく、スキルある人に片っ端からお兄ちゃんが技を使ってくれれば良いんだよ。特に女の子」


「だから、ハーレム止めろと」



お兄ちゃんはそんな事言うけど、これだけは絶対に譲れない。私が諦めるのは論外だけど皆が諦めるのだって論外だ。


お兄ちゃんに会わせなきゃ今度だってきっと死んでも死にきれない。



「でも、その理屈で考えたらあかりんがもう1人居ても不思議じゃないにゃん…」


「3号って不遇なんだよな…」


「敵対とかしそうだよね」



いや、アリエルアもだけど何言ってるんですか?

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