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過去を乗り越えるために

という話を連日連夜2人に聞いてもらった。


大号泣しだすわ、リーゼアリアが弓使うの止めるなんて言い出すわ、挙げ句の果てに…



「「かなちゃんとリーシャちゃんをこの世界に召喚しよう」」



なんて言い出す始末。どうしてそういう考えに至ったかは分からなくもないが無理言うなや。特に奏多は不可能なんじゃないかと説得してみたが…



「400年もかなちゃんは頑張ったんだよ。しかも、お兄ちゃんを助ける事も叶わず未だに利用されてるのに、それはあんまりだよ」


「かなちゃんだけなんだよ。僕はこうして転生してそれなりに生きてきたのに、かなちゃんだけが昔の事をずっと抱えたままお兄様の事だけを思っていきるなんて…」


「リーシャちゃんだってそうだよ。お兄ちゃんも分かってるんでしょ。大好きな人を手に掛けて生きなきゃいけないんだよ。しかも、お兄ちゃんが無駄に施した加護のせいで死ぬ事も出来ない。私がどれだけお兄ちゃんの後を追いたかったか分かるならリーシャちゃんの事も考えてあげてよ」


「お兄様が思うほど女の子は強いし強くないんだよ。好きな人がどんなに悪い事してても気持ちは冷めないし、傍に居てくれないと寂しさで死んじゃうんだから。だから、【勇者の秘石】を探して2人をこの世界に召喚しよう」


「「ハーレムを作るために」」



なんか、最後に聞こえてはいけない発言があった気がする。夜中まで話してるから幻聴が聞こえたんだな。さっさと寝よう。



「「ハーレムを作るために。大切な事だから何度でも言うよ」」



【色欲】を使って抑制してもあまり意味の無い理由は灯里だけでなくリーゼアリアやアリエルアも同じ思考で相乗効果してるからで…



「「ハーレムを作るためにっ!」」



やっぱり使っても効果がナッシング…ハーレムってなんだよ。いや、意味は分かる。



「ハーレムとかないわー」


「何を言ってるんだい、お兄ちゃん。私は知ってるんだよ。告白してきた女の子の大多数が振られたにも関わらずお兄ちゃんの電話番号やメアドを教えてもらっていた事実を」


「僕の友達ネットワークを舐めてもらっちゃ困るよ。僕のクラスの女の子15人中お兄様の事を慕っていたのは僕とかなちゃんを含めて8人。その内2人は忌々しいスライムの毒牙にかかっちゃったけど、ネコちゃんにいいんちょさん、姐御としのぶちゃんは最後までお兄様の事を思って死んでいったんだよ。4人は必ずお兄様と再会するために転生してる。絶対間違いない」



ネコちゃんにいいんちょに姐御は心当たりがあるけどしのぶちゃんは聞かない名前だ。というか、スライムの毒牙にかかっちゃって何があったよ…



「4人を捜し出して、秘石も見つける。更に現地妻も手に入れてウハウハしないと転生した意味が無いよっ!」


「もう後悔はしたくないんだよ。僕たちがどれだけ後悔したと思う…好きな人が先に死んでしまって、どれだけ苦しかったか。ああしてればって何度思ったか…」



むしろ、こいつらがスライムに毒されてないかとか考えてしまったが、気持ちは理解出来た。後悔しない生き方なんて初見じゃ分からないものだ…それがハーレムに繋がるのは微妙だが。


とりあえず、興奮する2人を【怠惰】を行使して眠らせた。このままでは既成事実を作られかねなかったから。首輪の意味なさ過ぎだろ…


2人をベッドへ寝かせて、ハーレム…ではなく転生や召喚について考えてみる。


確かに転生して欲しいと思う人は居た。


アレクの両親や友人、セイントドラゴンやメアたちにあの村の人々…逆に燈真としてはあまり考えられないが2人の言う通り彼女たちや他の召喚された後輩たちが転生していれば嬉しいと思う。


そして、リーシャや奏多が召喚出来たなら…きっと楽しいんだろうなと思う。そこに人を虐殺したくせになんて気持ちはない。それが逆に怖かったりもする。


リーゼアリアとアリエルアはどうしようもなく灯里だからこそ今の俺を受け入れてくれる。それは有り難い事だ…そして、奏多は奏多で俺がこうなったのは自分の所為だと悔いているから助けてやりたいと思う。それで全ての世界が消え去るとしても。


だけど、他の人は違う。燈真の蛮勇とアレクの愚行とレトラの浅はかさで犠牲になった人たちだ。仲良くなんて無理だろう…


でも、もし会えたなら許してもらいたいなんて思ってしまう。もう2度と会えるはずもないのに。

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