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初めての夜に

リーゼアリアはレベルが53に、アリエルアはレベルが52に上がっていた。相変わらず俺は測定不能だったが。


とはいえ、急激なレベルアップは反動が大きかったようで2人は鼻血を噴いて倒れた。決して、リーシャに貫かれていた穴から服が【流星群】の衝撃波で破れ広がって俺の胸板が見えたからとかではない…と思いたい。


とりあえず、街道から少し外れた林の中に小屋を建てて2時人を運び入れた。勿論、服は新しいのを模造した…最初からしておけば良かったと後悔している。


とりあえず、余り城下町から離れる事は出来なかったが急ぐ旅でもないし、この世界の魔物の力量を見る事も出来た。から数えた方が早い魔法であの様なのだから、あまり魔法は多用出来ない。世界を壊すつもりは今のところ無いからな。


とりあえず、夕食を作ろう。アリエルアに【嫉妬】を施した時に腹が鳴ったが【暴食】を用いて飢えを回復した。とはいえ、久しぶりの誰かとの食事は恋しいものだ。それが家族であれば尚更…


もっとも、残念系美少女筆頭の灯里が転生した2人に料理の腕を期待していないというのもあったのだが。干し肉ばかり買い込む姿を見た時は頭が痛くなったから尚更だ。


というか、この世界にインスタントやら冷凍食品やらがあって驚いた。恐るべし、人の業…まあ、電子レンジとかは無いみたいだから、その辺りは灯里の同級生ねんだいの理解力の限界なのだろう。俺にもレンジの仕組みとかは理解出来ていないわけだし、再現は無理だ。


そんな事を考えながらも調理をしていく。久しぶりに料理なんてものをする。魔王だった頃は魔王城に居た魔族のおばさんが料理を作ってくれた。その夫は執事として俺をサポートしてくれて、2人の娘はメイドとして俺を支えてくれた。


逃がさなければ良かったと悔やむ。魔族最後の生き残りだった3人を生かそうと逃がした。新たな勇者を討ち、人間を滅ぼし新たな環境で生きるはずだったのだ。俺とリーシャ、そして彼らだけで。


それなのに、リーシャは3人を殺した。どうして3人は俺を殺しに来る者のところへ向かってしまったのだろう…理由なんて分かってる。どうしようもなく家族だったのだ。リーシャも、あの3人も…


何が魔王だ、何が勇者だ…


灯里と再会して、今更になってようやく俺は理解出来たのだ。本当に大切なものが何だったのか…残された人の痛みがどれほどのものか。


俺がしていたのはただの八つ当たりだ…


アレクの父を、セイントドラゴンを、母を、慕ってくれた子どもたちを失った時にも流れなかったものが鍋の中に次々と落ちていった。



「今日のお鍋はお兄ちゃんの味かな…」


「お兄様…辛い事があったなら聞きます。だから、話してください」



気付けば、2人の妹に俺は抱き締められていた。温かく懐かしい感覚だった。


だから、俺は話し始めた。


愚かな子どもの物語をーー

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