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ベリーイージーモード

リーゼアリアとアリエルアと合流して城下町を脱出した俺たちだが…



「東か西か…」



アベルティア王国(笑)はこの世界で唯一の王国だった。最南端だからこそ100年前に滅ぼされる事なく悪政を続けられたのだとリーゼアリアが説明をしてくれた。


100年前、アベルティアを除いて4つの国家があったのだが滅亡して、その王都だった場所は自立都市として今は統治されている。


そのいずれの地も勇者所縁の地だった。


大陸北西部、炎の勇者所縁の城塞都市


大陸南西部、風の勇者所縁の魔科学都市


大陸北東部、水の勇者所縁の森林都市


大陸南東部、地の勇者所縁の観光都市


その中で勇者が直接関わっているのは魔科学都市だけだ。戦いを終えて、故郷へ帰れない灯里の同級生は故郷を求めた。食事、生活環境、法律などなど…それらは例えば貨幣単位「円」、調味料「醤油」といったものの普及を見れば努力が伺える。


この世界最大都市と考えても間違いないだろう。だからこそ、そこへ行くのは最後で構わない。東から回って行こう。そう2人に告げた。



「お兄ちゃん…地の勇者はかなちゃんだったんだよ」



リーゼアリアが悲しげに告げる。うん、知ってるとは言えない雰囲気だ。俺は灯里以上に事の顛末を知っている。俺の死も灯里の死も乗り越えて、大切な仲間を最後まで守り、他の世界も守り続けている奏多自身の口から直接聞いたのだから。


まあ、いずれ話さなきゃいけないな。この世界の歴史では奏多だけが最後まで戦い抜いて生死不明なわけだし。真の勇者だもんな…


次に会ったら改めていっぱい褒めてやろうなどと考えていると、アリエルアがこう言ってきた。



「東の街道近くが、例の魔物の異常増加地域なんですけど…」



まあ、ついでにサクッと倒しますか。2人のレベル上げも兼ねて。


そう言うと、2人は何故か顔を青ざめさせた。








この世界には恐ろしい魔物が沢山居る。ドラゴン、グリフォン、キマイラなどなどファンタジーではお馴染みの魔物だ。


その中でも、定番中の定番にしてそれだけは他のファンタジーと異なる強さを持つ最強の魔物が居た。


人類の天敵にして、誰もが恐れる魔王級のモンスター…


人はそれを「スライム」と言った。



「おい」



お兄ちゃんは、後ろに隠れた私たちに呆れた視線を向ける。うん、お兄ちゃんの言いたい事は分かる。灯里もそうだった。



「お兄ちゃんは分かってない。スライムだよ、スライム」


「人類の天敵スライムなんですよ。怯えて当然です」



将軍と騎士団長が侮ったから安易に考えるけど、それはきちんと対策をしていたからだ。このファンタジーではありきたりな魔物によって多くの人が犠牲になった。


別に金属色に輝いて云々じゃない。逃げられたからとかでもない…



「僕は前世で恐ろしい体験をするところだったんだよ…」


「恐ろしい体験?」



言っちゃうのか、マイシスター…思い出しちゃうのか。私はなるべく聞かないように耳を塞いだ。








「前世の僕たちは初陣にスライムを相手に戦う事にしたんだ。最初の戦いはスライムってのが定番でしょ?」


「まあ、そうだな」



俺の初陣はセイントドラゴンの訓練を除外すれば人間だったわけだが…最初から魔王ルート一択だったんじゃないか、俺。



「武器も防具良い物だったし、スライムより遥かに人数も勝っていた…でも、武器も防具も溶かされて、男女問わず何人かがスライムに取り込まれて…」


「もういい分かった何も言うな」



青ざめた上に震え出したアリエルアを止める。何が言いたいかはよーく分かった。むしろ、俺も人間に対してそれやりまくれと命じたわ。


最弱の魔物の代表格スライムによる蹂躙…まあ、スライムを使った屈辱的方法なんて限られるよな。ははは…やられた方は堪らないよな、それは。


しかも、2人の様子を見るに割と特殊なものではなさそうだ。野宿している背後に忍び這い寄る混沌スライム…うん、抹殺決定。



「ちょっと耳塞いで俺の後ろに居ろ」



無属性魔法【流星群】を使って妹を恐怖に陥れたグミ野郎を一掃しましたが何か文句でも?


ちなみに、この数秒の大虐殺によって2人のレベルが大幅に上がった。銀色でもないのに大盤振る舞いだな…というか、未だに基準が分からない。レベルって不思議だなぁ…

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