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なかまたち

「おはよーございまーす」

「うーっす」

「おうガキども、さっさとしねえとお前らの取り分なくなるぞ」


 いつもどおりの変わらない光景。

 非番の人たちが食堂にはいっつも一番乗り。

 だけどご飯は全員分がきっちり用意されているから、誰かの分がなくなるなんてことはまずありえない。

 もしそうなるとすれば、誰かがいなくなった時だから。


「おはー」

「あ、ホノカさん」

「なになに、久しぶりにソルトレーション以外のまともなもの?」


 いつもだと食堂には匂いなんてない。

 だけど今日のこの匂いは。


「カレーじゃねえか! いやっほう!」


 ゼファーさんが走って列の後ろに並んで、待ちきれない様子でうきうきとしている。

 私たちも並ぼうと、スコールさんの後に続くと、座っていたクセロさんにスコールさんが手を置いた。


「中々抜け目がないな」

「あ、いや……」

「先日のああなった原因って、クセロがレトルトカレーのパッケージを欲張ってリュックに詰めたからだろ」

「あぁー……すまん」

「別にいいけどな、回収班がきっちりと持って帰ってきたから」


 そうです。

 なんであの日、私たちが本来安全なはずのエリアであれだけの大群に襲われたかと言えば、クセロさんが持てるだけ詰め込もうとして時間を取りすぎたからです。

 しかも五十キロほど詰めたお蔭で、リュックの方が耐え切れずに破れちゃったから落としたんです。

 やっと順番が回ってきて、お皿に盛られた白飯に湯気の上がるカレーを受け取ると席に向かう。


「うっしゃぁ!」

「いただきまーす!」


 騒がしいなぁ。

 まあ、これがホノカさんとゼファーさんのいいところだけど。


「…………」


 そして手を付けないスコールさん。


「どうしたんですか?」

「物資の調達で誰を使うか……」

「あ、それですか」

「とりあえずゼファー、お前確定な」

「なんで!? 僕、哨戒とかだけど!」

「言いだしたやつが一番危険な掃討班に入るのは当たり前だろ」

「えぇぇ……」


 何やらメモ用紙に空いてる人たちとの名前と使用する武器と弾をどんどん書いていく。

 普通、こういうのは出撃人員だけ書いて提出して、アサルトプランナーさんが後のことを組むんですけど。


「まあこんなもんか。全部組んでから出した方がAPに時間を取られないからすぐだ」

「どーゆープラン?」

「ワンスクワッド、シックスセルとワン」

「ってことは二人一組と一人の十三人か。僕は誰と組む?」

「ユキかホノカ。空いた方がクセロと」

「スコールは」

「いつもどおり一人だ」

「ええんかい……」

「いいだよ」


 そしてカレーを一口、スコールさんが固まった。


「おい、なんで激辛の上の超辛なんだ……」


 あ……そう言えば、クセロさん、一つだけ色が違うカレーも回収してたなぁ。

 いやでも、当たる確率って……だいたい百食分回収してたからすごい低いはず。


「おしかったー、おかわり!」

「ねえよ」


 一人一食、おかわりなんてないんだけど……。


「ホノカ、食べるか?」


 スコールさん、こういうときって親切に見えて結構黒いんですよね。


「あ、いいの? じゃもらうね」

「ホノカさん、それ……」


 気付かずにもらってそのまま一口。


「かっっっっらぁーー! 水、水ない!?」

「残念ながら水不足だ」

「うやぁーーーーー!」



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