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にちじょう

 街の一角をワイヤーとコンクリートのバリケードで多い、さらにそこに聖水を噴霧する。

 これが毎日の日課。

 感染した人たちは……あの悪魔たちは聖水と呼ばれる水に触れると灰になって消えてしまう。


「ゼファーさん、水と榊の備蓄ってまだありましたっけ?」

「あ……そういえばなかった。最近雨が降らないし、榊はこの前ので全部使ったし……後で柴でも採りにいこうか」


 聖水を作るにはいくつか方法がある。

 まず絶対に必要なのは綺麗なお水、これは少しくらいなら濁っていても構わないけど、なるべく綺麗な方がいい。

 そしてそこにあるものを浸ける。

 それは宗教関係のものだったらなんでもいい。

 とくに一番簡単なのは十字架。

 榊や柴と違ってきちんと手入れすれば金属製なら長い間使えるし、二本の棒を結び合わせて形を作るだけでも効果を発揮するから。

 でも、やっぱり国や地域ごとにそういうものには執着がある。

 だからここでは榊や柴、ほかにも使われている植物はたくさんあるけど、一般的なのはこの二つ。


「おーい、スコール」

「なんだ」


 見回り組には二つの班がある。

 一つは私たちのような保守点検といった軽い作業の班。

 そしてもう一つは壊れているところの修繕や付近の悪魔を掃討するきつく危険な作業をする班。

 全身黒一色の彼が担当するのは、悪魔の掃討。


「物資の補給だけどさ。聖水のストックはあるけど、水と材料がねえから後でいかね?」

「そうだな……。いっそ倉庫があるエリアまで結界を拡張するってのも……」

「ムチャだ。生存者の捜索に食料の確保を優先しないと」

「分かってる」


 掃討班とは普通一緒に回ることがない。

 基本的にあっちの班は遠出して偵察や索敵を行うから、普段は拠点にいないから。

 私たちのような班は、掃討班がある程度”浄化”した安全なエリアで、廃れたスーパーやコンビニから食料を回収する。

 班分けは適材適所って訳じゃなくて、その時々の気分で好きに入れる。

 明らかに実力不足ってときは、断られるか強い人がお守りに付くことになっている。

 例えば、私のお守りに付いていたクセロさんなんかがそうだ。

 四十代後半のクセロさんと十代半ばの私とで、よく親子だとかからかわれたりする。


「そろそろ朝飯だな」


 黒一色、私たちの中では相当強いスコールさんが懐中時計を見ながら言う。

 彼は十代の中では最年長で、みんなのお兄さんのようで、不愛想だけどいつも守ってくれる。


「んじゃ、後一か所、ちゃっちゃと終わらせっかね」


 早歩きでバリケードを見ながら、要所要所に聖水を噴霧していく。

 バリケードの長さは知らないけど、とても長いから普段”出入り”に使うところだけを念入りにチェックして、後は軽く視ながら聖水をかけるだけ。


「まったく、遠征するやつらもちっとは丁寧に入らんもんかねえ」

「今度隊長(シュネー)に文句言いに行くか」

「お、いいね。こういうときは年長者がいてくれると助かる」


 バリケードのワイヤー強度を確かめ、どこにも穴がないかを確認すると、ちょうど鐘が鳴り響く。

 悪魔たちが嫌がる音でもあるし、食事の用意ができたことを知らせる鐘。


「今日の朝ご飯ってなんでしょうか?」

「いやだぜ、あの粘土みたいな携行食料と塩だけってのは」

「まあ、楽しみしてろ。今日は久々にいいものが出るから」

「マジか!?」

「ほんとですか!?」


 こういうところでの楽しみと言えば、食事とゲームくらい。

 後、大人の人たちだけのナニかもあるらしいですけど、なんなのでしょうか?



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