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しんたいけんさ

 結界バリケードを越えてすぐのところ。

 そこにホノカさん、ミコトさん、ゼファーさん。

 クセロさん率いる他の人たちが全員揃っていた。

 結界の前でハティという白狼はどこかへと行ってしまったけれど。


「全員帰還したな」

「ボロボロだけどなー。ったく、州軍がなんであんなところにいやがんだか」

「まあいいじゃない。結果的に装備剥ぎ取れたしさ」


 本物の銃と実弾がたくさん。

 私たちの装備は基本的にガンショップから奪った空気銃や、改造したエアソフトガンだから実銃はほとんどこうやって調達している。

 主な用途は人間が相手の場合と、山に入ってシカやイノシシを仕留めたりクマなどの危険動物から身を護る為。


「それより、そっちは随分と戦ったし身体チェックがあるぞ」

「あぁー、そーだった。面倒だよアレ」


 いつもいつもだけど、衛星から確認できない場所で悪魔と交戦した場合は厳重な身体検査が行われる。

 もし触れられていたとして、それを隠す人がいると全員を危険に晒すからだ。

 だから……スコールさんは……。


「…………ぁ」


 どう声をかけていいのか分からない。

 まだ他の皆さんはケガに気付いていないのだ。

 帰還途中で入手した服に着替え、簡単な手当てを自分で済ませているから。

 いままで州軍や他のテリトリーとの共同戦線で悪魔に触れられて感染した人は何人か見てきた。

 触れられた原因はもっぱら互いが嫌悪し連携がガタガタだったら。

 そうした人たちが自我を失って完全に意識を侵食されるまではかなり時間にバラつきがあった。

 ほんの数分の人もいれば、数日ほど保った人もいた。


『スコール、ゼファー、ホノカ、ミコト、ユキ。以上五名は検査室へ。クセロ、ナギサは戦果報告を』


 近くのスピーカーからAPさんの声が響く。

 正直検査室の方に行くのは好きではない。

 衣服をすべて、下着まで脱いでの全身検査。

 これは何の配慮もなく、男性が女性を、女性が男性をということがある。


「あーやだやだ」

「ほんと、そこにガン見してきそうな男が一人いるし」

「なんで僕だけ!? スコールだって」

「スコールは別でしょー」

「うんうん、なんというかそういうことに興味ゼロだしね」

「おいスコール! お前も男なら……あ?」


 すたすたと先に一人で行ってしまっていた。


「あいつ、もしかして人との関わり自体に興味ないんじゃねえの」


 そんなことを言うゼファーさんを置いて私たちも後に続く。

 結界バリケードの中にある建物をそれぞれ分担して使っていて、外側に近いものほど万が一の時に時間稼ぎに使われたり、検査室みたいに訳ありな部署が置かれている。

 しかも結構広いここにはいくつかの勢力が混在している珍しい場所だ。

 魔狼フェンリルと呼ばれる主に戦闘を担当するもの。

 名前は知らないけど傘下に加わっているほかのテリトリーの一部の人。

 何処にも属していなくてここを拠り所にしている人。

 ちなみにゼファーさんは魔狼所属で、スコールさんやホノカさん、ミコトさんに私は今のところ無所属フリーランス

 仮契約状態で所属していると言えば言えるのだけど、実際はクセロさんかスコールさんについて行ってるだけの私だから、何とも言えない立ち位置だ。

 しばらく歩くと二階建てのコンクリートむき出しの施設が見えてくる。


「あぅぅ……」

「嫌なのは分かるけどさ、検査終わらせないと他んとこに行けないから」


 ホノカさんがそう言いながら私の手を引いて行く。

 入り口には監視カメラだけで、中に武装した人たちがいる。

 一切の肌の露出がない重武装。

 万が一の為と分かってはいるけど、分かっているけど、それがとても怖い。


「来い」


 武装した人の先導で奥の方へと進んでいく。

 そこにエアシャワーのような装置があって、聖水を噴霧するようになっている。

 ミスト状で肌や服が濡れることなく、全身に聖水を掛けられるのだ。

 感染がある程度進んだ”危険な人”はここで確実に排除される。


「はぁ、まったく無駄だと思わない?」

「確かにねー」


 何事無く全員通過する。

 そしてさらに奥の部屋に入る。

 銭湯の脱衣所のように、棚と籠が置いてあって、ここで全部脱ぐ。


「すべて脱いでさっさとそこに並べ」


 銃の安全装置を解除した人たちが部屋の入り口と四隅で待機している。

 本当に念入りだ。



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