黒薔薇姫と白薔薇
「おねえさま、ごほんよんで!」
「いいわよ。どの本を読んでほしいの?」
「うーんと……これ!」
「『黒薔薇姫と白薔薇』ね。わかったわ」
むかしむかし、白薔薇と呼ばれる娘がいました。
白薔薇はとても美しく、働き者でした。
家はとても貧しかったのですが、白薔薇はとても幸せでした。
やがて年頃の彼女には婚約者ができました。
街中の女から人気の、美しい青年です。
たくさんの人が彼女たちを祝福しました。
むかしむかし、黒薔薇姫と呼ばれる娘がいました。
黒薔薇姫は、とても美しくお金持ちでした。
お金と家の権力で好きに振る舞っていました。
やがて年頃の彼女は、恋をしました。
しかし、恋の相手は彼女ではなく、白薔薇と婚約しました。
たくさんの人が白薔薇と青年を祝福するなか、嫉妬に狂った彼女は恐ろしいことを思いつきました。
白薔薇はある日、魔女として捕らえられました。
たくさんの猫が白薔薇の家の近くに住み着いていたから、という理由です。
「猫は悪魔の遣い」、「猫を飼うのは魔女」、それが当たり前の世界です。
魔女裁判で白薔薇は川に沈み、死にました。
白薔薇が死んだあと、青年と結婚した黒薔薇姫ですが……
結婚式の数日後、豪華な屋敷の池で溺れて死にました。
黒薔薇姫がなぜそんな死に方をしたのか知るものはいません。
「……おしまい」
「ありがとうおねえさま。あのね……」
「どうしたの?」
「くろばらひめとけっこんしたひとって、くろばらひめがなんでしんだかしってたのかな?」
「さあ、どうでしょうね……」




