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嘘と真実~正直な子に成りなさい~

作者: 白羽湊

…口をついて出るのは、今日も嘘ばかり。


…口をついて出るのは、今日も真実ばかり。



さあ、嘘と真実の価値はどちらが重いでしょうか?





真実ってなに?

____それはね本当の事、事実である事。


じゃあ嘘ってなに?

____それはね本当の事ではないこと、事実でないこと。




『正直な子に成りなさい。』

「嘘はいけない事だから、嘘をついてはいけないよ?」


___うん、僕は正直な子になる。

真実だけを追い求めて、嘘は許さない。

それがこの世界のあるべき姿なのでしょう?




『~さんは今日も綺麗ね。』

…誰もあんなブサイク綺麗だなんて思わないわ。


『 手伝いますよ?』

…老人がタラタラ歩くなよ。





思った事、感じた事…それが真実なのに。

この世界では「正直になれ」と言いながら「嘘をつけ」と言われる。


___遠慮、謙遜、お世辞、建前。



あゝこの世界では正直過ぎてもいけなくて、嘘つき過ぎてもいけない。

真実だけでも、嘘だけでも…ダメなんだ。


楽しくないけど、「楽しい」と言うし、

楽しいけど、「楽しくない」と言ってしまう。



そうやって心は嘘に侵される。


侵された心は真実を見失って、幼い頃に交わした約束も忘れてしまう。




『僕は正直な子になる。』

そう言って育った少年も、いつかは嘘に染まる。


だって…この世界は底無しの闇のような嘘とほんの一握りの真実で出来ているのだから。

そしてその信じる『真実』とやらも嘘の上に成り立つ、儚い幻想でしかない。



そして皆、白を黒といい、真実は…嘘になる。


_______でもそれがこの世界のあるべき姿なのでしょう?




自らの想いはいつしか捻じ曲げられて。


悲しいことを悲しいと言えず、


苦しいことを苦しいと言えず、


嬉しいことさえ嬉しいと言えなくなる。



始めての嘘をついてから、嘘は止まらなくなって、心は侵され続ける。




枯れ果てた心でもう一度考える、「この世界のあるべき姿はなんなのか」


そして思い出すんだ。

あの時の約束を…。

守られることのなかった約束を…。





『正直な子に成りなさい。』

そうして最期もまた口を開いて出るのは_______






_______あゝやっぱり嘘。

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