第7話 「再開と出会いと」
友紀ちゃん、誕生日おめでとう。
「これより~、こんかいのげ~むの~せつめいを~はじめま~す。わたしが~こんかいのげ~むのがいよ~を~せつめ~させていただきま~す」
外見年齢が小6程度の少女が、ふわふわと空中に漂いながら言った。
だが俺はその意味を理解する前に、ある現象に見舞われた。
落ちた。一メーターほどの高さから、落ちた。
あの状態から急にテレポートしたため、上下が普通の状態になっても空中にとどまることなく落ちるのは、重力に愛された人類ならば当然の摂理だと思う。
そこは問題ない、問題があるのはその次だ。
「きゃっ」
我ながら、変な声が出たと思う。
これじゃまるで女じゃないか。
ほら、男がこんな声出すから周りの人が何事かとこっちを見てきたじゃないか。
落ち着け、落ち着くんだ俺。さっきの悲鳴は、即刻記憶から消すとしよう。
いや待て、さっきの丘でのあの感触はいったい・・・・・・。
軽い自己嫌悪と変な疑問が、頭の中を渦巻く中、俺はとりあえず立ち上がった。
制服についた砂を手で払っていると、後ろから歩いてきた誰かが俺にぶつかった
「おっと、失礼」
文句の一つでも言ってやろうと、振り返った。
そこには、俺より頭ひとつ分高く、褐色のフードで顔の半分以上が隠れている人物がそこにいた。
その男は、俺をみて若干驚いたような顔をしていたが、やがて納得したような顔になって、
俺の手をつかんで走り出した。
ロリコンって、怖いもんなんだな。ま、ほんとにロリコンかどうかはこの際関係ない。
俺のことを女の子に勘違いした挙句、誘拐しようとするなどとは。
そんなやり取りの最中にも、
「~かったひとには~なんでもひとつ~とはいっても~かなえられるはんいですが~なんでのひとつ~ねがいごとを~かなえさせて~いただき~ま~す」
という説明が聞こえてくる。
俺はこんな状況に遭遇に遭遇することが多いので、比較的冷静に対処しようとした。
とりあえず、丁重にお断りして逃げよう。
それでも放さなかったら、正当防衛的な言い訳を適応すればのうs・・・・・・。いやちょっとまて、たぶんだがここは異世界だ。異世界には殺人罪はないはずだ。ならいざとなったらやりたくないのだがその時は・・・・・・。
そんな考えは、粉々に吹っ飛んだ。
ついでにこの男に抱いていたイメージも粉々に吹っ飛んだ。
「教室でいつものように友達としゃべってたらいきなり時間がとまったような気がして。気が付いた時にはへんな町にいたんだけどそしたら、突然ここにテレポートして。結局ここはどこなの、お姉ちゃん?しかもなんか、ここにきてから、なんか男になってるし」
たったこの人でこの一言で。
おかまですか、この人。なるほど、顔を見えなくするためにコア対中フードをかぶっているのか。そして、召喚された拍子に性転換したことにして、女として生活するつもりか。
しかし、お姉ちゃんか。訂正するのがめんど・・・・・・え?
いま、なんて言った。
この男も教室の中で会話していたらここへ来たと。つうことは、こいつもここに召喚された。そして、俺のことお姉ちゃんと言ってくるのは、小学生以外なら一人しか心当たりが居ない。
・・・・・・この男、妹なわけですか?
いや、よく考えろ。妹は、一般的に考えて女の子のことを言うのであって決してこんな男を言うんじゃないよな。
とりあえず、忌わしいことだが、心なしか俺のからだも変なことになっている気がするので、もしかしたらということもあり、男に聞いてみた。
「それは、俺の妹ということか?」
「・・・・・・うん」
幸い、俺の声は変化していなかった。
しかし、問題は、この人がほんとに俺の妹だったということだ。
だが見た目はどうあれ、妹という知り合いが一人でもいるというのはやはり心強いものだ。
「しっかし、よかった」
「?」
「知らないところに、たった一人で生活しなきゃいけないかと思ったんだもん」
「俺も最初はそう思ったよ。なんか途中でそんなこと考える余裕もなくなってたけど」
そんな兄妹?の水入らずの会話に、横やりがはいってきた。
「ふたりとも、説明聞きかなくてもいいの?」
やっと投稿できた。
昨日、ほとんどPCが使えなかったので投稿できませんでした。
さて、妹?との再会です。
何か弟になってる気がしないでもないのですが、その能力については、今後の本編で解説すると思います。
今回も、誤字脱字の報告お待ちしております。