第41話「来客」
何でも阿倍が言うにはこの『中央守衛隊』というものはこの国の軍隊である聖騎士団のうち、主に王都の防衛などを請け負っている部隊らしい。
「それにしてもあれだよな。なんで俺たちが急にそんなもんに入らなきゃいけないんだか」
「それには私からお話いたしましょう」
独り言のつもりだったのだが、俺の言葉に反応する声が背後から聞こえてきた。
どこかで聞いたことあるような、しかし聞いたことのないその声に俺は後ろを振り返る。
そこにいたのは、メイド服を着た一人の女性だった。
「阿倍さま。こちらがご所望なさった<簡易転移装置>です。使い方のほうはおわかりですか?」
阿倍はそれに頷く。
「えっと、こちらのかたは?」
阿倍にそう問うと、メイド自ら自己紹介をしてきた。
「申し遅れました。わたくしはサフラン(マスター)の生み出した分身のうちの一体で、フリージアとお呼びください。主にお嬢様やサフラン(マスター)との連絡や、皆さまの身の回りの世話をするために使わされました」
そう言ってぺこりとお辞儀したフリージアは少しお待ちくださいといって奥へと消えていった。
「みなさん、お久しぶりです」
奥から戻ってきたと思ったら、そこには見知った二人の顔があった。
「よう、フラーモ。久しぶりだな」
その来訪客、フラーモとサフランさんに阿倍は気安く挨拶をした。仮にも一国の姫君に対してその挨拶はどうかと思ったが、今までそう言う風に接していたためにそうするのが自然になっていた。
「で、なんでフラーモがこっちに来てんの?」
とりあえず、いろいろと情報を集めるのが先決だと考え、そう訊いてみる。
「それはですね、今日は皆さんが全員そろっているということをフリージアから聞いて、今回の『中央守衛隊』に編入するという話についていろいろと話そうかと思いまして」
フラーモはそう言うなり、あいている椅子に腰をかけた。
テーブルに椅子は五脚。あらかじめこれを想定していたというような感じがしてならない。
俺たち四人が皆席に着くなり、フラーモは説明を始めた。
「まずは『中央守衛隊』というものについて皆さんは、どれくらい知っていますか?」
フラーモのその問いに、阿倍が答える。
「まあ、一応、この国の軍隊の一部隊だってことぐらいなら知っているが?」
阿倍のその返答は、先程俺が教わった内容のみだ。
「まあ、普通ならその程度の情報しか知りませんよね」
フラーモが、どこか含みのある言い方でそう言う。
「実は『中央守衛隊』というものはある意味において存在しない軍隊なんです」
は? 俺にはフラーモがなにを言っているのか理解できなかった。
他の三人はどうかと思って、視線を動かすが皆同じように固まっている。
「えっ……と、それって、どういうこと?」
いち早く拘束状態から解放された風音さんがそう訊く。
「『中央守衛隊』というものはですね、ここ十年ぐらいに作られた比較的新しい軍隊なんです。表向きには少数精鋭の戦闘部隊ということになっていますがその実構成員の全てがサフランの分身なんです」
フラーモのその発言と同時に一同はサフランさんを見る。
しかし、サフランさんは先程までたっていた位置にはいない。
「あれ、サフランさんはどちらに?」
「ここですよ」
一瞬、サフランさんを探すために首を動かそうとした阿倍の後ろにはサフランさんが、なにかを持って立っていた。
「さてと、とりあえず言っておくべきことは言いましたし、皆さんそろそろ行きましょうか?」
何処へ? そう言おうとした。
しかし、それを言う前に俺たちは落ちていくような感覚とともに、その謎の物体へと吸い込まれていった。
みなさん、お久しぶりです。
マチャピンと申す何かです。
さて、今回はやや、短いですがもうめんどくさくなったのでこの辺で投稿します。
いや、ホントはもっと書きたいんですよ?
でも次回以降の展開から…………
さて、最後はいつもので
「説明しよう! 誤字というものは作者の生み出した決して生み出してはいけない読者に迷惑をかける最悪の失態なのだ!」
なんとなく雰囲気を出したかった。