第38話「ミッションリザルト」
「ふ、ふはははははははは。一体何を言い出すかと思えば『思い』? は、笑わせてくれるじゃないですか? まあ、そう言うのは、嫌いじゃないですけどね」
自身の手に持つ、それを弄びながらフェンギルドは嘲笑う。嘲笑いながら銃口を俺のほうへと向けた。
「さてと、一体だれから生贄にするつもりですか」
フェンギルドは、銃身を成実、阿倍、風音さんの順に向け、再度俺に突きつける。
「決まっている」
そこでいったん言葉を区切る。
「もちろん、俺から死んでやるよ。その代わり、こいつらには一切の手を出すな」
三人の表情が変わる。
「友紀、なに言ってる! だったら俺が代わりに……」
「お姉ちゃん。だったら私が!」
「友紀ちゃん。最年長者として、私が……」
みんなのそんな声が聞こえる。
「いや、いいんだ。俺は、俺の命でみんなが救えるならそれでいい」
フェンギルドが現れるより前の静けさが、室内へと帰ってきた。
静寂が支配した空間の中で、主導権を得て再び騒音を巻き散らかしたのは、やはりフェンギルドだった。
「ふっ、ははははははははははははははははははははははははははははっ!」
フェンギルドは、俺に向ける封装へさらに力を込める。
「これは傑作だ。『俺の命でみんなが救えるなら』? っは。笑わせる。最初にいましたよね? 『だれから死ぬか』って。一人が死ねばいいってもんじゃないんですよ。まあ、そうですね。私はとっても優しいんで皆さんの総意に従って全員一緒に葬ってあげようじゃないですか!」
フェンギルドの持つ封装が一瞬のうちに二つへ分裂した。
両手にそれを持つフェンギルド。重工の延長線上は、俺と風音さん。
「それでは、まずはこの二人を。あ、残りの二人も、この二人にすぐ追い付けますから、ご安心を」
封装が火を吹く。
直後、くぐもった悲鳴とともに色鮮やかな鮮血が舞い散る。
しかし、それは、俺や風音さんの物ではない。ましてや、阿倍や成実のそれでもない。
「ば、馬鹿な。一体……なに……が……、お……起こって……」
それは、フェンギルドの胸部。正確にいえばちょうど心臓がある辺りから撒き散らされていた。
どさっと、大きな音を立てて、その肢体が地面に倒れる。
深い紅が、上質なその軍服へと染み込み、それでもなお、まだ足りないのか地面を濡らしてゆく。
ピクリとも動かなくなったその肉体がまとっている、服には、一つの丸い穴が開いていた。そして、その穴はついさっきまでは開いてはいなかった。
「みんな、気を抜かないで。誰かいる!」
風音さんがそう叫んだ。
その言葉の直後、俺たちの背後から、足音が響いた。
あわてて振りむく。さっきみたいに、また新たなる襲撃者かと思いきや、
「みなさん。ご無事でしたか?」
そこにいたのは、どこかで見たことのあるメイドであった。
「あれ? な、なんでサフランさんが? さっき、そいつが殺したって? あれ? でもここにいるのはサフランさんだし…… あれー?」
成実は混乱状態に陥った。
そして、そのバッドステータスは俺たち三人に付与された。
「一つ訊いてもいいですか?」
そんな中、唯一状態以上になっていない風音さんがそう言った。サフランさんは頷いた。
「あなたは、実は死んでいなかった。これは今の状態を見る限り明らかなので訊かなくていいことです。さて、いつからあなたは入れ替わっていたんですか?」
風音さんのその問いで、俺は一つのことを思い出した。
「そうか。そう言えばサフランさんの能力って……」
他の二人もそれを思い出したらしく、皆納得したような表情だった。
一同の視線がサフランさんに集中する。一拍の間を開けて、サフランさんがそれに答えた。
「今朝から、と答えたほうがいいですかね? お嬢様がさらわれたのに気付いた時点からですね」
「それを証明できますか?」
一つといったのに再び質問をした風音さんをとが寝る野暮な人間はこのなかに誰一人としていなかった。
「できません。ですが私は、お嬢様を救出するためにいろいろと根回しをしてきました」
「具体的には?」
「……。それは言えません」
「何故ですか? 何もやましいことはしていないんでしょ? それとも……」
「私はお嬢様を救うことしか考えていませんでした」
風音さんの尋問はそこで終わった。
「これ以上聞いても埒が明かないだろうし、それに……」
そこで一度言葉を区切り、先ほどよりも少し柔らかい声で言った。
「はじめから敵対するつもりだったならば、こんなところに自身が来るなんてしませんよね? だから私は、サフランさんを信じます。信じてフラーモを託せます」
Mission result.
イベント名:欲望の王家(隠しシナリオ)
評価 :B+
報酬 :????? 2,000As
追加報酬 :Secret
中間成績
東の国 25(100)
西の国 25(100)
南の国 25(98)
北の国 25(99)
中央王国 25(100)
どうも、テストが折り返し地点を通過したマチャピンです。
今回の話で、ひとまず第3章は終了します。
7月7日にアザーサイドを書けば3カ月近く更新しなくなります。
それでま、また次週お会いしましょう。
----なぁに、すぐ誤字るさ……
今の自分の状況を端的に