第36話「第四の刺客(後)」
ふと何か冷たいぬくもりに包まれた感じが一瞬して、意識がはっきりとしなくなり、気がついてときにはすでに地に伏せたグレアムさんがいたということだけだ。
「き、きさ、ま……。いったい、な、なにをつか、ったっ!?」
その人物は、必死にあとうとしているが、上手く筋肉に力が入らないようで何度も起き上りかけては地面に倒れている。
「いや、俺にもさっぱりわからないんだが」
素直にそう言う。するとグレアムさんの口から笑いの声が放たれた。
「ふは、ふははははははははははははははははははは」
ぐわりと、倒れながらもこちらに向けている目が開かれる。
「そうですか。私はそんなのにやられたというのですか。いいでしょう、見せてあげますよ。私の本当の恐ろしさというものを!」
と、さきほどまでは何度やろうとしてもできなかった立つことが、今度はいとも簡単に立ち上がれた。
否、たったのではなく、浮かんだ。そう表現した方がいい。
どす黒いなにかに覆われたグレアムさんのその身体は、徐々に変化してゆく。
その商人めいた風貌の面影はなにも無く、ただそこには自身の肉体を変質させた生物がそこにはいた。
「まあ、今回はこのくらいでいいでしょう」
右腕からは、直接槍が生えており、その先端は三又になっている。
左腕はひじから先が、よくわからない物質で筒状に変化している。
両足は消滅し、その代わりに二本の剣がそこからは伸びている。
背中からは、一対の黒い翼が生えている。
そんな姿をした元グレアムさんがこちらを向いた。
「さてと、一体何を使われたかはわかりませんが、今度地面から離れられなくなるのはあなた方ですよ!」
左腕から、オレンジ色の光が放たれる。
それは、ジュッという音を立てながら、俺のすぐ脇を通過していった。
それがけで、床は一瞬にしてドロドロに溶ける。
「おやおや、はずしてしまいましたね。何分この装備を使用するのは久々のことですからね。あ、安心してくださいね。次で必ず楽にしてあげますから」
そう言って、グレアムさんは此方へと近づいてくる。
「我が主よ、危ない」
が、それはリッカの攻撃によって防がれる。
両足の剣が、リッカの持つグングニルとせめぎ合っている。
「ふ、だがその程度の防御でどうなるというんだ?」
グレアムさんは余裕そうだ。
いや、実際今自身の左腕が変化したプラズマ砲もどきの銃口をリッカに向けている時点でかなり精神的に有利なのかもしれない。
しかし、
「そんなんじゃ、私たちには勝てないよ」
「ああ」「うん」
風音先輩のその一言で、他の二人も同時に攻撃する。
「草木をなびかす風の精霊よ。その力をここへ示せ。<フェアリーズ・バインド>っ!」
「全てを支える大地を作る、世界の番人よ。かの者を縛る枷なれ。<グラビティ・フェター>」
阿倍と風音さん。二人の放った魔法によって、グレアムさんは身動きの取れない状況となった。
「世界の根源となす、命の水よ。この者をこの空間より洗い流せ<バニシメント・ノヴァ>」
そして、その一言によってグレアムさんはこの場から消滅した。
どうも、ご無沙汰しておりますマチャピンです。
さて、今回もこんな短さとなってしまいました。これは前回あそこで区切った意味がなかったように思えますが、まあ、そういう使用と考えておきましょう。
次回は、3000字ぐらい行きたいなと、思っていますので期待しないで待っていてください。
さて、今回も、人類には理解できないシリーズで。
今回この仕事が片付いたら、足を洗ってもっとまともに誤字りたいと思うんだ…………
読者の迷惑となる行為は、なるべく控えてください




